大学時代「慶應ガール」と呼ばれ、華やかなイメージを持たれている慶應卒の女性。しかし、そのすべての女たちがそのイメージ通りの生活を送っているのだろうか?

慶應というブランド力を持ちながらも、その派手さを苦手とし、日陰の人生を送るのを好む女もいる。そんな「慶應ガール」の人生とは?

東京出身で現在は広告代理店勤務。同じく慶應出身のトオル(32)が、自身の大学時代の人脈を駆使し、さまざまな“慶應ガール”に斬り込んでいく。



<今週の慶應ガール>
氏名:ユリエ
職業:外資系製薬会社MR
学部:経済学部
年収:900万
住居:広尾の1LDKで夫と2人暮らし
家賃:22万円
出自: 親の転勤で中学からニューヨークへ。慶應のNY校から内部進学。
ステータス:昨年、会社の同僚と結婚。


NY校出身のイケイケな慶應ガール、ユリエの場合


「透さん、相変わらず本ばっかり読んでるね。」

無遠慮な声が懐かしく響く。ユリエはゼミの後輩で、僕の1個下の31歳だ。

彼女を初めて見たとき、「やけに派手な女だな」と思った。ネイルも化粧も抜かりなく、足元はいつもハイヒール。慶應のNY校からの内部進学と聞いて納得した。派手な格好が妙に板についている、帰国子女独特のオーラがあった。

派手な見た目の割に気さくな彼女は、何を考えているか分かりづらいと言われる僕にも構わず話しかけてきた。いつも皆の中心にいるような目立つ子だったが、ふとした拍子に皆の群れから外れ僕のところに来て、とりとめもない話をしていた。

ユリエとは卒業後も頻繁に会っていた。彼女の恋人である雄太と僕は親友で、そのどうしようもないダメ男の愚痴をよく聞かされていたからだ。


ユリエの順風満帆なキャリアと、悲惨な恋愛事情とは?

世田谷区成城出身のお嬢様。29歳のときに起きた事件とは?


ユリエは成城出身の生粋のお嬢様だった。父親は大手証券会社に勤めており、中学生のときに一家でNYに渡り慶應のNY校に進学。そのまま彼女だけ日本に戻り、慶應の経済学部で大学生活を過ごした。

大学卒業後は、外資系の製薬会社にMRとして就職。ノルマは毎月決められており、社会人になってからしばらくは精神的に厳しい日々が続いたらしい。

「月末になると、すごくブルーな気分になっちゃって…。」

当時を振り返りこう語った。しかし、根が真面目な彼女は課された目標に必死に食らいつき、最近マネージャーに昇進したらしい。

彼女は茶目っけたっぷりな感じでこう言った。

「透さんも知っているように、29歳のときのことは思い出したくもない。」

29歳のとき、彼女は大学時代から付き合っていた雄太と破局した。正確には婚約破談だった。


しっかりしている女性ほどダメ男好き?


周りを見ると、大学時代から付き合っているカップルが30歳を過ぎて結婚した、という事例はあまり聞かない。結婚の話題をのらりくらりとかわす雄太を説得し、30歳を前に何とか結婚にこぎつけた。

雄太は僕の友人で、キー局に勤めるバラエティ番組のプロデューサーだった。お調子者で女好き、友だちとしてはいい奴だが恋人としてはお勧めできない。そんなタイプだ。

しっかりしている女性ほどダメ男好き、というのは本当だと思う。雄太は大学時代から浮気を繰り返し、常に喧嘩の絶えない2人だった。彼女が折れて元さやに収まった、というのを何度も聞かされた。

就職してからも2人の仲は相変わらずで、いつも雄太は彼女を振り回していた。テレビ局に勤める彼の忙しさは尋常じゃなく、会うのもいつも深夜を過ぎ。



彼女は、就職してからしばらく成城にある実家から通っていたが、仕事から帰った後、雄太からの呼び出しで深夜家を空けることが多くなった。彼からの誘いも気まぐれで、いつ呼び出されるか分からない。これ以上両親に心配をかけられないと感じた彼女は、家を出て一人暮らしを始めた。

一人暮らしをしたばかりのときは、寂しかったのだろう。しょっちゅう僕を呼び出し、遅くまで2人で飲んでいたが、彼女は横にある携帯をいつも気にしていた。

そんな彼女を見ているとさすがに不憫な気がした。しかし、僕がアドバイスするより早く、察しのいい彼女は幾度となくこう言った。

「調子がいいのは見た目だけで、本当は真面目な人なの。私といるときが一番落ち着く、って言うし…。」

ダメ男好きな女が言う典型的なセリフに、思わず頭を抱えそうになった。


幾度となく別れの危機に陥る2人にようやく転機が…?

釣った魚にエサはやらない?同棲して初めて分かった彼の本性


そんな彼女の健気な想いが通じたのか、29歳のときに2人は婚約をした。さすがに遊んでばかりの雄太も、そろそろ落ち着きたくなったのだろう。彼女の再三の説得をようやく受け入れた。

そして、2人は結婚前に同棲を始めることになった。彼女の誕生日である入籍予定日まで、ちょうど半年の期間があった。半年あれば結婚式の資金も貯められる、そんな軽い気持ちだったという。

しかし、同棲生活はうまくいかなかった。彼は典型的な「釣った魚にはエサをやらない」というタイプで、2人のコミュニケーションは激減した。

多忙な彼だったので、一緒に住めばあらゆることは解決するだろう。彼女はそう思っていたらしい。しかし、そんなにうまくはいかなかった。

雄太は帰ってくるなり「疲れた」を連発し、彼女が一生懸命作った料理はゲームをしながら食べる。そして、食べたあとはすぐに寝室に直行する。そんな毎日だった。忙しい合間を縫って会っていたときより、会話は少なくなっていた。

話し合おうとしても、「今疲れたから後でね」と言われるばかりでなかなかコミュニケーションが取れない。我慢できなくなった彼女は、とうとう家を飛び出した。

別れてからはあっという間だった。ハワイでやるはずだった挙式はキャンセルし、2人で借りていた豊洲のタワーマンションも解約した。

彼女の我慢によって成り立っていた2人の関係は、呆気なく終わりを告げた。


彼女が気付いた幸せの秘訣とは?


その後すぐ、彼女は会社の同僚と結婚した。雄太とは違い、穏やかで優しい男性なのだろう。記念日や誕生日など色んなレストランで食事を楽しむユリエのSNSの投稿に、周囲は胸をなでおろしているようだ。



「彼は、これまで全然タイプじゃなかった、穏やかで家庭的な人。」

恥ずかしそうにそう言った。そして、こう続けた。

「今までは、自分が好きだと思う人と付き合っていたけれど、今の旦那は、“彼といる自分が好き”って思わせてくれる。自分を大切にしないと相手も大切にできないんだって、彼と付き合って初めて気がついた。」

NY校出身のイケイケだった慶應ガール。穏やかな幸せに、ようやく気付いたようだった。




【これまでの慶應ガールたち】
vol.1:人生、負け知らずの外銀セールス美女。初めて訪れる挫折とは?
vol.2:このまま秘書でいいのかな。独立を迷ったあの頃 → 今は女社長
vol.3:温室育ちのゆるふわ専業主婦の、30歳を目前とした変化
vol.4:慶應ガール、29歳:出世か?実家の後継ぎか?メガバンク勤務の女、人生に迷う
vol.5:2度の婚約破棄に、重度のマリッジブルー。慶應ガールらしからぬ人生を送る女のその理由
vol.6:「結婚」は「幸せ」とは限らないと気づいた、シングルマザー
vol.7:美人で仕事もデキるパーフェクト・ウーマン。それゆえ恋愛迷走期もあったが、ついに!?
vol.8:校内でも浮きまくっていた“帰国子女”が抱えていたコンプレックスとは!?
vol.9:婚約者に逃げられ、荒れまくった代理店女子を救ったモノとは?
vol.10:シングルライフを謳歌していた美人編集者に、やっと結婚願望が!?
vol.11:東京の生活を捨て、地方に嫁いだ慶應ガールが見いだした幸せとは?
vol.12:元ギャルのイケイケ慶應ガールが、真面目路線へとキャラ変えした理由
vol.13:「自分らしさ」なんて馬鹿らしい?大病院の娘が、親の敷いたレールに戻った理由
vol.14:キャリアに邁進するワーキングマザー。子育てとの両立に悩んだ彼女が取った行動とは?
vol.15:ミスコンを断り続けた伝説の美女。幸せな駐在妻になったはずが…?