昨年、オープンするやいなや人気に火がついた乃木坂の『亜細亜割烹 蓮月』。名物の餃子があまりに好評で、毎晩美食家が足を運ぶ一軒の中華料理店だ。

ここの餃子を食べると、誰もが必ずと行っていいほど再来を望んでしまう。来年(いやすでにこれから?)確実に予約が取れなくなるであろう、東京カレンダーが太鼓判を押す名店のひとつだ!

芸能人餃子部を束ねる女優の鈴木砂羽さんもハマったという、人々をたちまち虜にしてしまう魅力に迫る。


一番人気!カリッ、モチッの焼き餃子

まず、こんがりした焼き目と、ムチッとしたルックスがそそる「特製手作り焼き餃子」(600円)から行ってみよう。箸で持つとずっしり重みがあり、食欲に拍車がかかること間違いなし!

自慢のラー油を混ぜたタレにつけて頬張ると、皮のモチモチ感が優しく舌に触れる。ああ、うっとり。独特のひだを施した耳にも弾力があり、歯ごたえがいい。

モッチリした手延べ皮の内側には、期待を裏切ることなく、隙き間なくパンパンに豚肉が包まれている。オープン当初は約25gだったが、なんと今年に入って約30gに増量したんだとか。肉汁がジュワッと爆ぜ、追いかけるようにパァッと拡散する甘み。この展開がまた、たまらない。


「豚肉は国産ですが、特別なものは何も使っていません」と店主の品川祐司さん。野菜を加える前に、肉そのものにしっかり下味をつけるのだが、その調合のバランスや順番、野菜との配合比率で素材のポテンシャルを引き出す。

もちろん、皮も毎日店内で手作りしている。自分でも餃子好きを名乗るだけあって、品川さんはとても研究熱心。餃子を包む形、ひだの厚さなど、こだわりはどこまでも尽きないのだ。


口どけのいいモッチリ水餃子もたまりません!

ちゅるん!ぷるん!官能的な水餃子

焼き餃子を一皿ぺろっと平らげてしまい、はやる気持ちを抑えきれずにいた。すると、絶妙のタイミングで「羊肉の手作り水餃子」が登場。食べ始めてからなお膨らんだ食欲に導かれるように、迷うことなく口に運んだ。

ちゅるんと舌の上を滑る口どけのいいモッチリ皮。中に封じ込められていたスープが肉汁と共にスーッと流れ出て、食べ進めるごとに食道、そして胃袋をじんわり温めてくれるのがうれしい。

「修行のため、中国東北部の寒い地域に滞在していた時期がありました。そこでは羊肉を使った料理が多かったんです」


品川さんは羊の肩肉とバラ肉を自ら包丁で叩き、挽き肉を作る。焼き餃子同様、こちらもパクチーやネギなどの野菜を加える前に、しっかり下味をつけるのが肝心なんだそう。

羊肉の香りはほどよい強さで、決して味を邪魔せしない。いわば、鼻腔をそっとくすぐる程度。こちらも一口でハマった!一方、主役である餃子の陰には、その存在を引き立てる名脇役がいる。ズバリ、この店の場合は特製のラー油である。

八角や山椒、茴香、桂皮、黒胡椒、高良姜、陳皮、さらにナツメグ、クミン、丁香、生姜、甘草、山奈など、13種の薬膳を調合し、鷹の爪、ネギ、ニンニクを熱して漬け込んだもの。餃子の皮と餡、特製ラー油を使ったタレが三位一体となり、ここでしか味わえない一品になるという寸法だ。

ここまで餃子を紹介してきたがここは“中華料理店”。旨いのは餃子だけではない!


〆に食べたい、中国人直伝の麺!

〆を飾るのは、やっぱり麺!中国人直伝の一品をどうぞ

さて、心地よい満腹感に満たされてすっかり夢見心地に。しかしながら、ここで忘れてはならないメニューがもうひとつある。〆の一品は、「タラコと干し貝柱の冷やしソバ」で決まりだ。

品川さん曰く「修行時代に同僚の中国人がまかないで作ってくれた料理」がベースにあるそう。ひんやり冷やした麺とアツアツの餡というコントラストがポイントだ!よくかき混ぜ、景気よくズズッと啜れば、麺に絡んだタラコの粒がプチプチと愉快な舌触りを生み、味にメリハリを与えてくれる。

餃子でお腹いっぱいだったはずなのに思わず手が伸びる、起承転結の「結」を担うのにぴったりの一品だろう。


カウンターと4人掛けテーブル1席のみの、小体で品のいい店構え。店に入れば品川さんが気さくな笑顔で声をかけてくれる。威勢よく鍋を振るったり、餃子の焼け具合を確認したり、手際よく動き回る様子から溢れる活気を感じることができるのだ。

今年は4年に一回開催される中国料理の世界大会へ出場し、個人で銀を獲得したという。餃子愛が強く研究熱心で、世界を股にかける店主。明るく気さくな品川さんとのおしゃべりも、この店を訪れる醍醐味のひとつかもしれない。

予約してでも、順番待ちしてでも食べたくなる理由がよくわかった。ここでしか出合えない唯一無二の餃子や、品川さんとの会話を楽しみに、今度は友人を連れて訪れたい。

そうそう、品川さんの餃子は冷めても美味。そのひと味違った味わいも魅力なので、テイクアウトしておみやげにするのもおすすめ!また公式通販サイトにて餃子の販売も行っているので、餃子ファンが感激した味を家庭でも味わえる。


草木が生い茂る都心のオアシス、青山墓地の裏通りを歩くと立て看板が。これが目印。


閑静な住宅地の中にある乃木坂の新名所。有名人もお忍びで訪れるほど。