貴方は今の仕事に満足していますか?

終身雇用が当たり前でなくなり、デジタル化が進み、AIの脅威にさらされる職業も出てきている昨今、自分の市場価値を常日頃意識しつつ働く東カレ読者も多くいることでしょう。

弁護士や医師といった専門職に自営業と、一般的な転職の概念を持たない読者もいる一方で、現在進行形で転職を検討中だったり、転職活動中の人も多くいるはず。

そんな中でも一風変わった転職経験者たちの話を等身大で語ってもらった。初回は、市ヶ谷の出版会社からアドテク業界へ異業種転職した三井さんに話を聞いた。


出版社での英語学習事業から、広告アドテクの最先端へ


三井さん(29歳)は、現在六本木にあるアドテクノロジー関連(以下アドテクと表記:最先端のインターネット広告のこと)ベンチャー企業で営業マネージャーとして勤務する。

既存の広告手法を変える国内初の新しいインターネット広告サービスを開発以来、市場を牽引し、益々成長を続ける同社で、今後は海外支社の立ち上げを行う予定だという。

「この業界で働く人は、新しいテクノロジーを駆使して世の中の仕組みを変えたり、前例のないことに挑戦することが好きな人が多く、そういった人たちと毎日仕事ができることはとても刺激的です」

そう言って、その日プレスリリースされたばかりの、イギリスのFinTech企業がローンチした新たな海外送金サービスについて興奮気味に話していた。

そんな三井さんは、大学卒業後、海外経験を積みたいと米国・ニューヨークへ単身渡米。現地で広告代理店のインターンシップを行った後、日本に帰国後まもなく、第二新卒として語学系出版物に強みのある市ヶ谷の出版企業に入社した。

社員の英語力向上を強化する上場企業の英語研修事業に携わってきたそうだが、出版業界からデジタル業界へ異業種転職した背景を詳しく伺った。

「地元は九州でしたが、戻ることは考えませんでしたね。元々、父親が単身赴任で東京に住んでいて、かつ中学生の時に池袋ウエストゲートパークが好きでよく東京に来ていました。日本で仕事をするなら、東京の一択以外ありませんでした」

前職時代の年収は、420万円ほど。祐天寺にある3LDKのマンションで友達とルームシェアをし、飲み会の出没エリアは専ら中目黒と恵比寿が多かったという。週に2,3回お食事会好きな友達に連れられ、男女のお食事会に行く生活を続けていたそうだ。これまで200回以上もお食事会に参加してきた。

三井さんが転職を考え始めたのは、仕事にも慣れ、入社してから1年半ほどになろうとしていた頃だった。

「職場の人間関係は非常に良好で、結果も残し、社内でも評価されていました。ただ社外に目を向けた時、出版業界自体が右肩下がりの中で自分の市場価値ってどんなもんだろうと思うようになったんです。

組織の仕組やお金の回り方も理解してきた頃で、役職が付いても、している仕事は同じような気がして、そのまま同じところにいるべきか悩み始めました」


未経験の分野への異業種転職のきっかけとは?

最先端のアドテクノロジ―分野で、市場価値を高めたい


転職が、人生の大きな転機になったと話す三井さん。新卒で入社した当時、ベンチャーやデジタル業界が自分に適性があるとは思わず、転職活動をしていく中で次第に認識合わせをしていったそうだ。

「留学をしていたので、周りは自分よりも2年早くキャリアをスタートしていましたし、遅れを感じ始めました。友人と直近の仕事の状況や年収の話をするじゃないですか。焦りというか、一体自分はどのくらい社会で求められる人材になれているのか、気になりなったんです」

決して前職での仕事に不満があったわけではないが、自分の望む成長スピードと市場価値をもっと上げたいという想いが、彼を転職活動へと後押しした。

転職活動を始めると同時に、転職支援サービスの『Wantedly』と『マスメディアン』に登録した。Wantedlyを利用する中で、転職支援サイトの企画運営をする企業に出会ったという。

「元々は転職先の候補として話を聞きに行ったわけですが、話を伺う中で、是非御社のサービスを利用させてくださいよ、となったわけです。コンサルタントの方から転職活動のアドバイスを受けたり、企業を紹介してもらい、進みたい領域も明確になったところでデジタル広告業界の主要企業7社を受けることにしました」

転職活動中に受けた会社は、WEB専業代理店、メディアレップ、テクノロジーベンダーなどで、全社から内定をもらった。成長性の高い市場でビジネスを展開し、自分自身の市場価値も一番高くなりそうと考え、現在の勤務先への転職を決めた。

転職活動を通じて出来た縁は今も個人的に繋がっており、定期的に情報交換をしているという。

「やはり、会社との相性というのはあると思います。実際に転職先を決めかねていた時、現職の社員と直接話をする機会をいただけたことで納得出来ましたね。最終面接で話したCOOの考え方にもとても共感出来たことも大きかったです」


三井さんを突き動かしたCOOの考えとは?

どこにセンターピンを置くか


三井さんの気持ちを突き動かすのは、世の中の常識や旧態依然として今の時代には最適でないシステムを疑い、それを変えていこうとする人だという。

「僕は弊社の経営陣、特に自分と歳も近いCOOをとても尊敬しています。夢やビジョンだけを無責任に語るようなタイプの経営者ではなく、簡単には実現できないけれど、実現すればとても価値のあることを社員に伝え、それをかたちにできる人。

こんなに尊敬できる人のもとで仕事をする機会は人生を通じても少ないと感じていますし、今の環境にとても満足しています。」

三井さん自身は、転職を通じて急成長を続ける独立系ベンチャー企業に自分の将来を見据えた。

「目的達成のためにやらなければいけないことはたくさんありますが、その中で一番重要でインパクトが大きいこと、つまり、何がセンターピンなのかを常に意識しています。」と、やるべきことをいかに正しい順番で実行するかに知恵を絞る。


気になる転職後の変化と言えば、祐天寺から住まいを職場から徒歩15分圏内の六本木エリアに移したことがある。年収は前職の1.8倍ほど増加したというが、基本的なライフスタイルには大きな変化はないようだ。

「今は同世代で自分よりも年収が高い人がいたとしても、気にすることは一切なくなりましたね。前は羨ましさというか焦りみたいなものを感じていましたが、

今は寧ろ、その人が何をして稼いでいるのかというところを見るようになりました。貯金ですか?いやぁ……飲み会に全部使い切っちゃってますね」

自宅も職場も六本木駅から徒歩15分圏内で、美味しい店巡りには目がないという、まさに東カレ男子の要素を持ち合わせた三井さんだが、食事会も六本木と麻布十番で完結してしまうことが多い。

六本木エリアでよく行くのは、『クッチーナ イタリアーナ アリア』や乃木坂にある『bird酉男man(バードマン)』。麻布十番であれば、『十番右京』、『博多ほたる』、『がいがい、』が行きつけだ。交際費の額は今はそこまで気にしておらず、毎回1〜1.5万円程は使ってしまうという。

―転職によってまさに「水を得た魚」になったのではと思いますが、三井さんの今後のビジョンは?

「まずは海外支社のビジネスを成功させる任務を全うしたいですね。僕自身は、長期的なキャリアビジョンはなく、今やりたいこと、やるべきことをするというタイプなので、まだ先のことはわからないです。ちなみに今後数年間は海外なので、結婚は目下の課題なんですけどね。まあ、彼女も1年以上いないですが……」と苦笑い。

元々思い描いていた夢を転職で実現する者もいれば、転職をきっかけに自分の適性ややりがいを見つける者もいる。三井さんは社内の評価だけに囚われず、市場規模で自分のポテンシャルと強みを客観的に判断し、新たに人生のやりがいと夢を見つけたようだ。