「一億総中流社会」

かつて日本はそう呼ばれていた。

「普通が一番幸せ」と今なお信じる人も多いが、それは本当だろうか?

容姿、学歴、収入。全てにおいて「中流」の少し上に位置する人間は口を揃えてこう言う。

「上を見ればキリがないが、知らなければいい世界もある。」

”中の上”に位置するが故に、上も下も、いろんな世界を見すぎて起こりうる悲劇もある。

その”中の上”の男女に起きた、さまざまな悲劇に迫る。

これまで登場したのは、男友達に“中の上”と烙印を押されて困惑したメグミ。彼女の出没エリアなどその生態に迫った。また、東大卒エリートサラリーマン・サトルや商社マン・健二にも話を聞いた。今回登場するのは、元CA・麗子だ。



Aランク美女が30代半ばで感じる悲しき「ランク落ち」とは?


麗子、35歳独身。以前は大手航空会社でCAをしていたという。すらりとした長身と美脚の持ち主で、小さい顔にややつり気味の目と赤い唇が行儀よく配置されている。

見た目は間違いなくAランク美女。しかし、35歳になり「ランク落ち」をひしひしと感じているらしい。

「一番感じるのは出会う男性のレベル。最近食事会をすると、まさしく“中の上”レベルの人が多いんです。」

現在彼女は婚活中で、これまで登場したサトルと知り合いらしい。

「自分が35歳まで売れ残るとは思っていなかった…。」

そう語る彼女の過去の恋愛遍歴を聞いてみた。

CAをしていた彼女は、20代の頃、出会いには全く困らなかった。そんな彼女が28歳のときから3年間付き合っていたのは、大手法律事務所で弁護士をしていた2歳年上の翔平だった。

友人が開催したバーベキューで知り合い、翔平が麗子に一目ぼれ。当時他に恋人がいた彼女は、初めは彼からの連絡を“未読スルー”していたが、猛アタックに根負けして交際がスタート。しかし、誠実な彼にどんどんハマっていったらしい。

「好きだ」「愛している」といった甘い囁きはもちろんのこと、常に彼女のことを「可愛い」と連発する彼との付き合いに、麗子はすっかり調子に乗った。


高スペックな彼との付き合いに調子に乗った彼女の失態とは?

情緒不安定な女が言う、禁断のセリフとは?


そしてついに、芝にある彼のタワーマンションに転がり込むかたちで同棲生活をスタートさせた。しかし、生活を共にするようになり、2人の仲は徐々に壊れていくことになる。

きっかけは彼女の仕事だった。憧れのCAという職業に就いたものの、月に何度も海外に行くため彼女は、時差に悩まされ体調を崩しがちだった。まとまった休みが取れてようやく時間ができたと思っても、大企業のM&Aの案件を抱えていた彼は早朝から深夜まで仕事で全く家に帰ってこない。

当時、2人は付き合って3年ほど経っていた。落ち着いた関係を望む彼と、どんどん情緒不安定になっていく彼女。体調が悪くそばにいて欲しい時でも、彼には仕事がある。

「仕事と私、どっちが大切なの?」

巷で聞くこんなありふれたセリフをぶつけるようになった。

そしてとうとう、我慢できなくなった翔平から別れを告げられた。31歳のときだった。

失恋でボロボロになった彼女は、埼玉にある実家に逃げるように帰った。仕事も辞め、IT系の会社に事務職として転職した。


“中の上”男との出会い。そこで手を打とうとしたら…?


その後何とか立ち直った彼女は、数々の食事会に足を運んだ。以前は、少なくとも年収1,000万を超えるような男性しか結婚相手として考えていなかったが、彼女は徐々にそれに限界を感じる。

何より、それまで頼りにしていたCAの同僚たちが次々と結婚を決めていき、食事会で出会う男性のレベルがぐっと落ちたのが痛手だった。唯一の独身仲間である高校時代の友人・智恵に誘われた食事会に足を運ぶことが多くなった。

そこで知り合う男性は、20代の頃は当たり前だった弁護士や医者などではなく、メーカー勤務のサラリーマンや公務員がほとんどだった。見た目や学歴を総合しても“中の上”止まりだ。

そんなときに出会ったのが、大手電機メーカー勤務のサトルだった。



その日は待ち合わせの15分ほど前に店に着いてしまい、手持ち無沙汰で過ごしているとサトルが現れた。

彼は非常に愛想がよく、普通の男性には「高値の花」と敬遠されがちの彼女にも臆せず話を振ってきた。

「なかなかいいかも…。」

食事会に行き始めて約1年。正直、元彼の翔平のような高スペック男子と比べると、年収面では大いに物足りない。しかし、このくらいで手を打つのがいいのかもしれない。そんな打算的な気持ちが働いた。


“中の上”男へのアプローチの結果は?

Aランク美女からの連絡を、まさかの未読スルー!?


食事会が終わりその日は一次会で解散したが、話し足りないと感じた彼女は勇気を出してサトルに連絡することにした。

「自分から男性に連絡したことがないので、どうきっかけを作ればいいか分からなくて…。結局“最後のお会計大丈夫でしたか?”というような内容を送りました。」

悩んだ末、食事会の金額を代表してカードで払ってくれた彼を気遣う内容にしたらしい。

正直、こちらから連絡すれば「楽勝」だと思っていた。しかし、待てど暮らせど彼からの返信はない。それどころか、既読にすらならなかった。

「20代の頃、高スペック男子からの連絡を未読スルーしていた私に限ってそんなことあるはずない。信じたくない気持ちでした。」

結局未読スルーのまま1か月ほど過ぎたある日。一緒に食事会に行っていた智恵から衝撃の事実を聞かされることになる。

「私、サトルと付き合うことになったんだ。」



思わず耳を疑った。大学職員をしている智恵は垢ぬけない感じで、顔も”中の中”ランク。麗子の数段落ちの女だ。性格は良いが、それでも女性として自分より勝っているとは到底考えられなかった。

高校時代クラスで「1番可愛い」と言われていた彼女が、格下だと思っていた相手にあっさりと負けてしまった。

後日聞くところによると、サトルに一目ぼれした智恵は、彼が好きなサッカーチームの試合観戦に誘い、そこから一気に急接近したらしい。

作戦負けだ。麗子はひどく落ち込んだ。



彼女はもうすぐ36歳になる。未だ彼氏はできず、年収も500万にも届かない。都内に一人暮らしをしたいと思いながらも、未だ埼玉の実家から通い続けている。

恵まれた美貌を持ちながらも、それに甘んじていた麗子。

彼女は今後どんな人生を歩むのだろうか。その道のりは決して平たんではないはずだ。


次週10.15土曜日更新
「年収2,000万以上の人しか結婚したくない」と語る30歳キャリアウーマンの限界