「男は40代からが勝負」

精神的、また経済的にも豊かになる40代。血気盛んな40代はまだまだ多く、その余裕ある姿に憧れ、その男性が未婚か既婚かに関わらず、恋に落ちる女性もまた数多い。

しかし、憧れのまま恋に落ち結ばれるときもあれば、40代というその年齢の実態を知り、その魅力は幻想だと考える女性もいる。

「40代からの魅力」は真実なのか幻想なのか?その実態に迫る。



43歳、テレビ局プロデューサーとの出会いは就職活動!?


―20代女子がハマる年上男性の魅力とは?

雑誌で特集されていた景気の良いキャッチコピーを前に、複雑な胸中の女性がいた。美紀、32歳独身。大手出版社で女性ファッション誌の編集者として働いている。

人生の経験値も経済力も豊かな40代の男性が、若く美しい20代の女性と付き合い、その経験値を一気に引き上げる。そんな「プリティ・ウーマン」のような話が、東京ではいくらでも転がっている。

美紀も、その魅力に取り憑かれた一人だった。

153センチほどの小柄な体に、透き通るような白い肌。丸くて可愛らしい二重の目は少女のような雰囲気で、20代の頃の彼女は非常にモテた。

しかし、彼女が一番の女盛りの20代を捧げたのは、20歳年上のテレビ局プロデューサー・健一だった。

美紀が慶應義塾大学在学中に志望していたのは、マスコミ業界だった。政治学を専攻していたという彼女は、テレビ局の記者職に憧れていた。

そんなある日、OB訪問を通じて、健一と出会った。

彼は当時43歳。キー局のプロデューサーとして数々の番組を手掛け、まさに「脂がのっている」時期。常にサングラスをかけているような業界人ぶっているところは多少痛々しいと思ったが、難関のテレビ局に入社し敏腕プロデューサーとして活躍している彼への尊敬の念は大きかった。

初めて会ったときは、彼の仕事への熱い想いを知り、テレビ局への入社の意思が強くなっただけで、恋愛関係に発展することはなかった。

しかし、就職してから事態は急展開した。


就職後、美紀が健一に連絡を取ろうと思ったきっかけは?

年上男性への尊敬の念が、いつしか恋愛感情に…?


美紀はテレビ局への就職は叶わず、第二志望で受けていた出版社へ内定をもらい、働いていた。しかし、彼女の想いは複雑だった。元々報道記者志望だったのに、配属されたのは女性ファッション誌。

「やりたかったことと違う」と悩む彼女が連絡をしたのは、1年以上前に一度会っただけの健一だった。彼の仕事への熱意と話の面白さに惹かれ、非常に印象に残っていた。美紀にとっては天上人のような存在だったのだ。

彼と行った先は『ラ ボンバンス』だった。社会人になって初めて異性と行った高級レストラン。久しぶりに会う彼のエネルギッシュさも健在で、すぐにその魅力に引き込まれた。

帰りのタクシーの中で、健一に手をつながれ2人の付き合いはスタートした。

その日以来、彼は豊かな財力と経験値で美紀を魅了し続けた。

バツイチ子なし。持ち家も慰謝料もなかった彼は、独身貴族を存分に謳歌していた。松濤にあるという実家もかなり裕福だった。

『カンテサンス』や『ガストロノミー ジョエル・ロブション』、『ロオジエ』など名だたるレストランを覚えたのもこの時期だ。記念日やクリスマスなどのイベントごとにもまめで、「グランドハイアット東京」や「ザ・ペニンシュラ東京」などことあるごとに泊まっていた。

また、忘れられないのが2人で行ったパリ旅行だ。エルメス、ルイ・ヴィトン、ヴァンクリーフ&アーペルなど、数々のブランドショップを梯子し、ショッピングで使った金額は覚えているだけでも100万円近い。


アラフォー男の喜び「若い恋人が試着室から出てくる瞬間」


健一は美紀に買い物させるのが大好きだった。好きな人が喜ぶ姿を見たいというのはもちろんのこと、試着室から出てくる彼女の姿を見るのが何より好きだとよく言っていた。



今思えば、子供がいなかった彼の父性本能だったのだろう。20代前半の垢ぬけない、しかし若く美しい素材を自分の手で染めていく。これが40代になった健一が覚えた、何よりも楽しい遊びのようだった。

パリで、銀座で、六本木で、表参道で。彼は「姫(美紀)のファッションショーが見たい」と毎週のように買い物に連れて行きたがった。

しかし、順調に見えた2人の付き合いも終わりを迎えた。

高級フレンチもブランド物の鞄も板についてきた、「姫」と呼ばれるには恥ずかしさも覚えていた28歳の頃。きっかけは年末に宿泊した箱根の温泉宿だった。

2人の付き合いはこのとき5年目を迎えていた。最後の1、2年は、体の関係もほとんどなく老夫婦のような付き合いだった。

その旅行で久しぶりに見た彼の体は、43歳で出会ったあの頃と比べて明らかにしわが増え老いていた。

30歳を前に、「若さ」を手放しつつあった彼女は、彼の老い始めた体を見て衝撃が走ったという。世の中には「枯れ専」といってシワシワの体に萌えるという女性もいると聞いたことがあるが、美紀はそこまで振り切れなかった。


アラフォー男との恋愛。その反動とは…?

健一と別れた後に見た、驚きのfacebookの写真とは?


結局彼とは別れ、美紀は他の男と婚約した。相手は5個下の広告代理店の男。積極的に年下を探していた訳ではないが、健一との反動で若い男に走ったと周囲からからかわれると、潜在的にそうした意識が働いていたのかもしれない、とも思う。

アラフォー男・健一は美紀にぞっこんで、別れたあとは非常に落ち込んでいた、と共通の友人からは聞かされていた。しかし、別れたあと登録したらしいfacebookで、美紀は驚きの光景を目にした。

それは、明らかに20代半ばと思える女性と健一のツーショット写真だった。どうやら、彼は美紀と付き合った後も立て続けに若い女性との交際を続けているらしい。



歳を重ねるほどに、女性は経済力を男性は若さを異性に求める、と聞いたことがあるが、美紀は複雑な気分になった。


全てを手にしたアラフォー男の魅力と、抗いきれない「初老」の影


キャリアが順調な場合、40代は経済的にも精神的にも余裕が出てきて面白くなるときなのかもしれない。しかし、同時に背負うものもどんどん大きくなり、息をつく暇もなく日々を過ごしている。

普段滅多に弱みを見せない健一だったが、付き合いを重ねていく中でどんどん幼児化していき、まるで母に甘えるかのように美紀に甘える場面も増えていた。

そもそも仕事の相談に乗ってもらい、恋愛感情より尊敬の念が先にあった美紀は、そんな彼を見て幻滅する場面が増えていった。

また、それに追い打ちをかけるように見えた「初老」という影。20代の美紀は知らなかったが、40代になると一気に加速していく体のたるみやシワ。そのシワが一つ増えるごとに彼をどんどん遠ざけてしまったように思える。

経験の浅い若い女性が憧れる「年上の男」の魅力。

その魅力は真実でもあり、しかし一種の幻想でもある。美紀は今そう思っている。


次週10.12水曜更新
大企業の部長との恋。出世街道まっしぐらな41歳の正体とは…?