全国でたった6人しかいないという牡蠣のプロ・牡蠣師が切り盛りする店『牡蠣Bar』が銀座にあるという。

「サイドメニューとかいらないから、とにかく牡蠣だけでお腹いっぱいになりたい」

そんな牡蠣マニアの常連客からのリクエストにより誕生したこの店の名物メニューが、全8品の牡蠣メニュー+ムール貝1品からなる「牡蠣づくしコース」である。

なんと、1コースで「27個」もの牡蠣を扱うということで、今回はそのスペシャルコースに迫った!


これが魅惑の「牡蠣づくしコース」だ!

まずはお通しとして、牡蠣のオイル漬けが登場。オイル漬けというと、味が濃いものも多いなか、こちらは牡蠣が宿している海水の塩分を生かしながらニンニクで味付けしたあっさりめのお味。

お皿ではなく、ツボでの提供というのが遊び心があり、コースの最初からワクワクさせてくれる。蓋を開ければほのかに香るにんにくの風味が、食欲をそそるだろう。


お次は、プチトマトやレタスなどの有機野菜を生牡蠣をドレシングとしていただく贅沢なサラダ。牡蠣本来の塩味とクリーミーさが、オリーブオイルとブラックペッパーと相まって、とびきり美味しいドレシングとなっていることに白目を剥く。

こんなに野菜と生牡蠣の相性がいいなんて!それもそのはず、各シーズン中、最もクリーミーな味わいの牡蠣を産地から選んでいるのだ。

この日は秋にクリーミーの最高潮を迎える北海道・釧路の「仙鳳趾(せんぽうし)」の牡蠣を投入。生牡蠣のおおらかなトロみが、新鮮な野菜を優しく包んでいる。


日本酒と一緒に味わいたいのが、こちらの牡蠣の佃煮。

一般的に、佃煮にすると牡蠣が固くなりがちなのだが、牡蠣Barの佃煮はあまり火を入れすぎないことで、牡蠣の柔らかさを存分に引き出している。味がしっかりと馴染んで、あれよあれよと酒が進んでいく。

続いては牡蠣比べならぬ、海比べができるメニューを紹介していく!


生まれ育った海をソースにし、そのまま生牡蠣を味わう

いよいよお待ちかね、生牡蠣の5種盛りの登場。牡蠣の名産地に足繁く通う泉店長のお眼鏡に叶ったオススメがまるっと堪能できるドリームディッシュだ。驚くべきはシンプルを極めたその食べ方で、上に塩も醤油もソースも、レモンさえかけずにそのまま牡蠣オンリーでいただく。

強いて言うなら”ソース”は、牡蠣がその内部にふんだんに宿している海水だ。その牡蠣を食べれば、その牡蠣が生まれ育った海が分かる。牡蠣の食べ比べ=海の食べ比べというわけだ!

このような雷に打たれたような発見があるのも、牡蠣を知り尽くした牡蠣師のお店ならではである。


この日のラインアップを左から時計回りに紹介していくと、まだ子供を産んだことのないヴァージンな「岩牡蠣・大黒神島岩(広島県)」。若さはじけるピュア&クリーミーな味わい。

続いて「坂越岩(兵庫県)」は男らしくて大胆な味。そして「カキえもん(北海道・厚岸)」、「まるえもん(宮城県生まれ、北海道・厚岸育ち)」は、同じ厚岸育ちだが前者はさっぱり甘く、後者は“まあるく”甘いのが特徴だ。

そしてサラダでも使っていた「仙鳳趾(北海道・釧路)」はやはり、どこまでもクリーミーで女子人気が抜群!


コースの中で唯一、牡蠣を使わないメニューがこちら。牡蠣を養殖していると、その殻にムール貝がくっついてくることがよくあるそうだ。

それを別の場所に移動し、育てたものをコース内では使用している。身入りがよく引き締まっているのが特徴で、牡蠣の魅力を再確認するための「中休み」にしておくのはもったいないほど、美味。

貝出汁もしっかり出ており、このあとのコースを考えず飲み干したくなってしまうほど。


生牡蠣の後は、蒸し牡蠣のお出まし!このプリップリに輝く仙鳳趾(北海道・釧路)の艶姿に思わず見入ってしまうビジュアルだ。

弾力のある食感と、何より、蒸すことで殻の上にたっぷり滲み出た牡蠣のスープをじゅるりと飲む。その瞬間に、生もいいけど、蒸しも最高!とガッツポーズしたくなるほど。


まだまだ終わらない、どこまでも続く牡蠣のコース!

ちょっともうお腹が……そんなことは言わせない、続いてのメニューはサクッと揚げた牡蠣フライ。

そして牡蠣フライのお供と言えばタルタルソースが一般的だが、せっかくの牡蠣の素材の味を殺さないためにも、ここは敢えての、ポテトサラダ(マヨネーズ抜き)という提案!

なんでも「牡蠣フライとポテサラを一緒に食べたら思いのほか美味しかった」という発見から生まれたという。こんな面白い発見が生まれるのも、牡蠣好きの店主がいるからこそ!


オイルに牡蠣の出汁が滲み出たアヒージョには、小ぶりな牡蠣がこれでもかと浮かんでいる!当初マッシュルームなど他の食材も入っていたが「もう、いっそのこと牡蠣だけでいいよ」という常連客の熱い要望により、潔く牡蠣だけの現スタイルに落ち着いた。

最後の〆メニューとして選べる牡蠣のリゾットの上に、アヒージョのオイルを垂らして食べるのが常連の間では人気だそう。パンに浸しすぎて、最後まで食べ尽くさないように注意が必要だ。


牡蠣づくしコースのフィナーレを飾るのは3種類から1品を選べる〆メニュー。

今回は一番人気の牡蠣の出汁を使った、「牡蠣たっぷりのクリームパスタ」。ニンニク、野菜と一緒に、なんと生クリームを一箱丸ごとフライパンの中に入れているため、まるで生クリームを食べている錯覚を覚えるほどにクリーミーなのだ。

ふわふわの牡蠣と生クリームが相まって、舌が溶けるんじゃないかと思うほど、とろとろ夢心地に浸ることができる。最後の最後までぬかりない、「牡蠣づくしコース」(8,000円)にぜひ一度溺れてみてほしい!


ちなみに全国で6人しかいない「牡蠣のプロ・牡蠣師」って何者!?

牡蠣を知り尽くした牡蠣師とは?

ここまでのスペシャルメニューをカウンターの中で腕を振るうのは、牡蠣師の資格を持つ泉祥子店長。牡蠣師とは牡蠣の知識、牡蠣開け技術などを総合的に評価された牡蠣のプロだけに認められる称号で、全国にまだ6人しかいない貴重な存在である。

泉店長はあまりの牡蠣好きっぷりが高じて、牡蠣の産地に通いつめ「自分が通いたい理想の店」をオープンして早4年。牡蠣道を邁進している。


牡蠣師の“必須習得科目”が、牡蠣の心臓の動きを生かしたまま丁寧に殻を開ける牡蠣開けの技術である。「牡蠣づくしコース」でも、心臓がまだドクドク動いている状態の、魚の活き造りならぬ、「牡蠣の活き造り」が楽しめるというからさぁ、一大事!

牡蠣にどうしても付いて回るのは、ノロウィルスなどによる食当たりのマイナスイメージだが、これを払拭したいという思いから、牡蠣Barでは生活排水が流れ込まない清浄海域で採れた牡蠣、しかも、料理方法にかかわらず、すべて衛生検査を通過した生食用のみを提供している。

そんな安全に美味しく牡蠣が味わえるこの店を、真の牡蠣ラバーなら知っておくべきなのだ。今日は思いっきり牡蠣が食べたい!ならば、こちらへ足を運んでみてはいかがだろうか。


飲み屋が多く入居する銀座・西五ビルの元スナックを居抜きで使っているため、Barというよりもスナックの雰囲気。カウンター7席に加え、4〜6人掛けのテーブル席が1つ。立ち飲みスペースもあり、女性の一人客も多いそう。


銀座駅B9出口から徒歩すぐの場所に、夜な夜な牡蠣好きたちが集う。この看板が目印。