住みたい街ランキングでは常に上位にランクインする、恵比寿。エリア特化型・東カレNIGHT初開催も、恵比寿にて10.26(水)に予定されている。

そのブランド力に惹かれ、多少背伸びをしてでもセルフ・ブランディングのために恵比寿に住む女性がいる。

恵比寿に生息する恵比寿女子、通称、“エビージョ”。

一見華やかに見える彼女たちには、窺い知れない裏の顔がある。

そんな典型的なエビージョである、マナミの恵比寿での日々を覗いてみよう。



エビージョ・マナミ、参上!


今から何か楽しいことが起こりそうな、大人の熱気に包まれた金曜夜20時の恵比寿が好きだ。

「あの子、声掛ける?」

西口のえびす像前は、金・土曜日は特に混み合っている。そんな人混みの中、スーツ姿の男性二人組の視線を感じる。多分、年齢は25,6歳。職業を聞いてから、番号を教えてあげるかどうか決めよう。

男性の視線を意識し、髪をかきあげると同時に佳奈恵がやって来た。

「あれ、今日のマナミの靴ルブタンの新作!?すっごい可愛い」

「ふふ、先週ヒルズのエストネーションで見つけて思わず買っちゃった」

佳奈恵が、足元の赤いラバーを見て羨ましそうな顔をしている。佳奈恵にはバレていないみたいだ。

その辺で売っている普通のヌーディーなベージュパンプス。それを都内某所のお直し屋さんに持っていくと、ルブタン“風”に加工してくれるお気に入りのお店がある。ソールだけでなく、ヒールの裏部分までルブタン・レッドにしてくれるので、一見、ルブタンに見える。

「マナミって、本当オシャレだよね〜」

「そんなことないよ〜ありがとう。」

お気に入りのミラオーウェンの白のセットアップ。褒められるのは嫌いじゃない。


—でも、誰も知らない—


毎回せっせとツテを作って展示会に忍び込み、破格の値段で洋服を買っていることも、いらない洋服はせっせとメルカリで売っていることも。

25歳で恵比寿に引っ越してきて、丸1年になる。美容系の輸入会社の給料は手取りで30万円。その内、家賃は12.8万円。

生活は、意外にキツイ。


恵比寿に住むことの価値とは...?

恵比寿に住むことが、ワタシのプライド。


今日の食事会は恵比寿女子なら知ってて当たり前の『オーギャマン・ド・トキオ』。以前他の食事会で知り合ったIT系の会社経営者・裕太達とのお食事会だ。



メディアにも度々登場している裕太は一緒にいるだけで少し鼻高々になれた。今日も、お店に入った瞬間から何人かに声を掛けられている。

そんなハイクラスな男性と一緒にいる時は自然と背筋が伸び、まるで社長夫人になった気分になれる。軽い会釈で挨拶をする瞬間なんて最高だ。このSクラスの男性と一緒にいることで味わえる優越感がたまらなく好きだった。

「マナミちゃん、家はどこ?」

「恵比寿です。ここへも、徒歩で来ちゃいました」

「恵比寿なんだ。マナミちゃんって、誰かいい男でも捕まえて頼れそうなのに、ちゃんと頑張ってるよね。俺、そういう自立してる子が好きで」

恵比寿に住んでいると言うのか、蒲田に住んでいると言うのかで、男の対応が変わることは、経験から知り尽くしていた。


いつでもどこでも、出動可能なエビージョ


「マナミちゃん、もう一軒行こうよ」

「もちろんです!佳奈恵はどうする?」

「どうしようかな...まだいたいけど、終電だから帰らないと」

佳奈恵は実家住まいで、家は杉並区の方だ。残念、と口にしながらも、佳奈恵が帰ることは計算済みだった。

「そっかぁー。そしたら佳奈恵ちゃんは電車の関係もあるだろうからここでバイバイかな?気をつけて帰ってね。駅前のナンパに気をつけて(笑)」

裕太が優しく佳奈恵に話しかけているが、終電なんて恵比寿に来てから気にしなくなった。

恵比寿に住んでいると二軒目に行きやすい。終電のことを考えて行動する必要もあまりなく、銀座方面に行かない限りタクシーで2千円以内で帰ってこれる。


本当、恵比寿って最高だ。


「マナミちゃんって、今彼氏いるの?結構気に入ってるんだけど」

キタキタ。二軒目に移動しながら、計算通り裕太が軽いジャブを打ってきた。裕太の会社の年商は既にチェック済み。顔も合格。背が少し低いがそこは目を瞑る。


裕太との結婚生活を想像する。もう家賃を払う必要もなくなるし、かなり良い生活ができる。完璧な将来像が輝きを放って待っている!!

今日着けてきた下着を思い出し、こんなこともあるかと思って準備を万全にしてきた自分を褒めながら、二軒目の『BAR Noir』に入る。


しかし、LINEが入っていた。飲食店経営者の紀行からだった。

「今何してる?経営者仲間で飲んでるんだけど、今から来れない?良い人も結構いるからおいでよ」


紀行からのLINEにマナミがとった行動とは!?このセリフを言われたことがある男性は多いはず...

「明日、朝早いんで。」嘘も方便と言いますが


「すみません、お手洗い行ってもいいですか?」

紀行からのLINEが気になり、お店へ入ってすぐにお手洗いへ直行する。 時計を見ると、23時を少し過ぎていた。紀行と裕太は違うグループだ。行っても、バッティングはしないだろう。そして何より紀行の会社は裕太の会社より規模が大きく、交友関係もかなり華やかなことで有名だった。

ー了解です、行きます♫こっち終わってからなので、30分後くらいになるかと。ー

慌てて化粧を直し、クロエの香水を胸元につけて気合を入れ直す。こちらは適当に切り上げよう。でも、裕太を手放すつもりはない。フルーツ系のカクテルを飲みながら、携帯電話で時間をチェックする。23:42だった。

「裕太さん、すみません。すごく楽しいしお酒も美味しいし、もっと一緒にいたいのですが... 明日、“朝が早くて”」

「そうなんだ。それは残念だけど仕方ないね。じゃあ一杯飲んだら帰ろうか」



広いようで狭い東京・恵比寿界隈の交友関係


五差路を過ぎ、少し曲がった所の線路沿いにあるマンションのドアを開ける。結局、裕太は家の前までタクシーで送ってくれた。

「裕太さん、引っ越し費用とか家賃出してくれないかな...」

窓を開けるとすぐそこには山手線。線路の音は意外にうるさい。でも、渋谷区東3丁目で恵比寿という立地で12.8万円ならば、それくらいの我慢は必要だろう。家賃も15万円くらい払えれば部屋の広さも立地もアップグレードできるが、今は家賃より靴やカバンに使いたい。

「やば!!行かないと」

再びヒールを履き、勢いよく夜の恵比寿へ飛び出す。鞄の中で携帯が鳴っている。裕太からお礼メールが入っていた。恵比寿駅前のソフトバンク前に着いてから返信を打った。

「私もとても楽しかったです!またご飯行きたいです。今日はもう寝ますね、お休みなさい❤」

裕太と付き合って、結婚まで行けばだいぶ生活が楽になる。このまま良い感じで進めたい。スキップしながら紀行が指定したお店のドアを開ける。


しかしとびっきりの営業スマイルでドアを開けた瞬間に、凍りついてしまった。


「え、嘘でしょ...」


紀行の隣には、裕太が座っていた。


次週10月14日金曜日更新
まさかの鉢合わせに大ピンチ!?しかしここからがエビージョの真骨頂だった