世の中には「女は30歳までに結婚しろ」「男性が40歳過ぎて未婚・バツなしだと何かあると疑え」という、シングル・バッシングがまかり通っている。

その呪縛に囚われたように焦る人も多いが、果たしてそれは本当に正しいのだろうか?

そんな、あえて“結婚しない”人たちの事情に迫る。

これまでに、仕事が楽しくて結婚しない美奈子、 アラサー女子と付き合うのは重いと言われた紗江、結婚したら鬼嫁に豹変する女性に怯える伸夫、弱男強女の時代の産物・奈々絵などを追った。

今週は?



<今週のお独り様>

名前:真美
年齢:30歳
職業:フラワーアレンジメント講師
ステータス:彼氏なし
理想の男性:優しくて毎日アイラブユーを言ってくれる人


ただのマリッジ・ブルー?それとも相手が違ってた?


真美の婚約破棄事件は巷で有名である。

3年間付き合っていた啓介との出会いは友達の紹介だった。優しくて、スマートで帰国子女、英語も堪能。外資系金融に勤め、年収は3,000万円越え。長年やっているテニスのお陰か、細マッチョでスタイルも良し。買い物に行ったら花を買ってくれるような、本当に完璧な男性だった。

付き合っている時から喧嘩も多かったが、啓介のニューヨーク本社勤務が決定したことがキッカケとなり、29歳の時にプロポーズされた。

まるで映画のようなプロポーズは、今でも真美の周りの友達の間で“伝説”となっているほど有名な話だ。ナイトクルージングに連れて行かれ、花火が上がったと同時にふと横を見ると、ハリーウィンストンの指輪と100本の真っ赤な薔薇の花束。そして膝まずいてプロポーズ。

テレビのドッキリ企画かと思う位、女性なら誰もが夢見るような最高のプロポーズだった。

濃紺の両開きのリング箱に君臨していた、1.5カラットもある大きなダイヤが付いたハリーウィンストンの指輪。あまりにもダイヤが眩し過ぎて、感動して涙で前が見えなくなったのを今でも覚えている。


しかし、前が見えなくなったのは涙のせいだけではなかった。二人の将来も、見えなくなった。


そんな最高の相手にプロポーズをされても、婚約破棄した理由とは?

恋人からフィアンセになった瞬間に変わる関係性


啓介と真美は3年間付き合っていたが、一緒には住んでいなかった。お互い仕事が忙しいこともあり、結婚するまで生活は別々にしていた。

派手なことで有名な外資系金融勤めなのに、いたって真面目な啓介。平日は一切お酒を飲まず、夜遊びもしない人だった。帰国子女に多い、無駄にクラブで散財する癖もなく、見栄のためにブランドを買うこともない。誠実で、堅実だった。

「真美さえいてくれればいいから。本当、他に誰もいらないよ」

そう言ってもらう度に愛を感じていたし、大事にしてくれているのがひしひしと伝わってきた。

そんなストイックで忙しい啓介を考慮して、会うのは週末にしていた。真美も仕事があるのであまり平日に会いたくなかったこともあり、週末に会う関係性は非常に楽で心地良かった。

しかし、これがダメだったのかもしれない。婚約をし、一緒に生活をし始めると普段気にしていなかった部分が色々と目につくようになった。



婚約した途端にプラスとマイナスが大逆転


婚約前の大好きポイント→婚約後の幻滅ポイント

・ストイック→自分にも他人にも厳し過ぎる
・真面目→この先永遠に、一緒にいて楽しいの?
・平日飲まない→遠慮してこっちも飲みに行けない
・真美だけ→他の人といることを許してもらえず仕事の打合せさえNG
・細マッチョ→プロテインが大好物。毎晩鶏のササミを食べたがる(こっちは毎日鶏のササミじゃなくて違う物を食べたい)
・控え目→コミュニケーション不足


婚約前は大好きだったポイントが、婚約後は一気にマイナスポイントに反転した。痘痕も靨(あばたもえくぼ)という諺通り、好きだった時は相手の欠点さえ愛おしく思えた。

しかし婚約して、恋愛関係からリアリティーを帯びる婚約関係に変わると、一つの小さな欠点が気になり始め、欠点を拡大して見てしまうようになった。

婚約した途端に痘痕は可愛い“えくぼ”ではなく、気になる“ニキビ跡”に変わった。


婚約破棄は予想以上に両者のダメージが深い...今も感じる1.5カラットの重み

サヨナラ、大好きだった人


婚約してから一緒に住みだしたが、真面目で堅実過ぎる啓介との共同生活は日に日にストレスとなり、半年で8kgも体重が落ちた。しまいには、あまりにも窮屈すぎる生活にまさかの突発性難聴にまでなってしまった。

耐えきれず、婚約してから半年後に婚約破棄を願い出た。

今でも真美は婚約破棄した日のことを鮮明に思い出す。荷物をまとめて出て行こうとした日の、悲しそうな啓介の背中。ここまでしてもらっておきながら、残酷にも突きつけてしまった婚約破棄という結論。

本当に、申し訳なさで一杯である。未だに、その背中を思い出して夜眠れないこともある。婚約破棄は、する方もされる方も傷が深い。



婚約破棄を一度経験すると結婚恐怖症になる


現在真美はフリーだが、好きだと言われても中々付き合えずにいる。年齢的にも付き合う人とは結婚を考えなければいけない。

でも、もう二度と誰かを傷つけたくない。お互いがズタボロになるような悲しい思いもしたくない。婚約という言葉が怖いのだ。

婚約破棄を経験して、すっかり恋愛に対して、結婚に対して臆病になってしまった。こんなにも婚約破棄が辛いなら結婚しといた方が良かったのかともたまに思うくらい、自分の選択が正しかったのか未だに分からない。

しかし、とりあえず今は結婚という制度からひたすら逃げている。今は傷が深くならないように、独りでいたい。


真美は、雑誌で同じタイプの指輪を見るたびに胸が締めつけれらる。「ハリーウィンストンに何も罪はないのに」と思いながらも、キラリと光るダイヤモンドの輝きを未だに直視できずにいる。


次週10月23日日曜日更新予定
「既婚者=遊んでいる」。経験が邪魔をして結婚を信じられないアラサー女子


【これまでの独りですが何か】
Vol.1:33歳未婚。仕事が恋人で何が悪い?
Vol.2:責任とか負いたくないっす。毎週末飲み過ぎちゃう広告代理店マンは結婚願望ナシ!
Vol.3:30歳を過ぎた独女との交際は重い...。勝手に責任を感じられるのは大迷惑!
Vol.4:結婚前は可愛いかったのに...(泣)妻になった途端に態度が急変する女性たち
Vol.5:東京市場は良い男で溢れてる?選択肢が多いと婚期が遅くなるのでご注意を
Vol.6:肉食男子、絶滅の危機。繊細過ぎて面倒臭い30代男子とパワー不足な20代男子
Vol.7:30代の男がパワー不足すぎて、バブル世代にしか惹かれない女性経営者