新米の季節になると「せっかく新米なんだから美味しくご飯を炊きたいな……」と思う人も多いだろう。そこで「(お米を)炊かれたい男」の異名を持つ、代々木上原にある土鍋ご飯の名店『おこん』の店主・小栁津大介氏に簡単に美味しく炊けるコツをお教えてもらった。

一見難しそうに思える土鍋ご飯だが、慣れれば炊飯器で炊くよりも早く、そしておいしく炊くことができる!このシーズンにぜひチャレンジしてみてほしい。


新米を美味しく食べたい!簡単にできる土鍋ご飯の炊き方

代々木上原から徒歩10分ほどの住宅街に位置する『おこん』。周りには住宅街のみで、ここに本当にお店があるのかと不安がよぎる頃に、ポンと灯る優しく光る看板が出迎える。隠れ家的な立地であることから、著名人も多く訪れるという。

そんな『おこん』の店主・小栁津大介氏は、米・食味鑑定士の資格を持ち、米の産地、銘柄に精通する人物。別名「炊かれたいオトコ」とも呼ばれている。お店で提供する米は炊き方はもちろん、精米方法にまでこだわっている。

そんな彼から直々に「家庭で簡単にできる土鍋ご飯の炊き方」を教えてもらうことができたので、全行程のポイントを紹介しよう。


①お米は軽〜く研ぐこと

まずお米の研ぎ方は、何度も研ぐ必要はなくサッと水に通す程度でよいという。水も白濁した状態で問題なし。精米された時点で、ヌカはほとんど取れているので、強く研いでしまうと手の力で米が割れてしまうそうだ。


②冷蔵庫で浸水させよう

研ぎ終わったら米全体がしっかりと浸かる程度の水を入れて、30分以上浸水させる。常温で浸水させてもいいが、小栁津氏のおすすめは冷蔵庫で冷やしながら浸水させること。常温の水で浸水させると、米の旨みが水にしみ出てお米がだれてしまうそうだ。

冷たい水でゆっくりキューッと浸水させていくことで、旨みが米に留まり最高の状態になるという。この間に、白米のお供は何にしようか考えておくのも楽しい!


③浸水させたお米をザルできっちり水を切る

一度水をしっかりとザルで切るのも大切。浸水させた水を切らずにそのまま炊くのはNG。

30分以上の浸水が終わると、米が浸水前よりも白くなっているという。浸水行程は、白く美しいお米を炊くうえでも欠かせないのだ。


④土鍋に米を移し、水をいれる

水の量は米1に対して、水1〜1.2ほどがベスト。かためが好きならば米:水=1:1、少し柔らかめが好きならば米:水=1:1.2がいいだろう。

例)お米300g(2合)に対して水300g


⑤土鍋を火にかける時間はたったの12分!

タイマーを用意して、12分にセット。土鍋を強火にかけてじっと待とう。6分後にグツグツと土鍋の蓋から湯気が出てきたら、沸騰のサイン。

このサインが出たところで弱火にチェンジだ。6分間弱火でグツグツ。言わずもがなだが、この間、中が気になっても蓋を開けてはいけない。

水炊き用の土鍋であれば6分強火、6分弱火。土鍋がない場合は、蓋のあるフライパンなどでも炊くことができるそうだ!


⑥タオルをかけて蒸らす

12分経ったら、火を止めて、バスタオルを三つ折りにして土鍋にかけよう。このタオルをかけることで土鍋の保温力がアップする。熱が逃げないようにゆっくりと熱を落としていくのがポイントだ。蒸らす時間は火を入れた時間と同様の12分でタイマーをセットしておこう。

12分蒸らし終わったら、完成だ。蓋を取るとほわ〜っと湯気が立ち、周囲に食欲を刺激する「お米の炊けた」香りが漂う。


炊きあがり!お米が立ってる〜‼ ご飯のお供はいくらの絶品グルメ!

しっかりとした行程で炊きあげた土鍋ご飯は見た目も違う!

お米の粒が立った炊きあがり!さすが土鍋!

「炊飯器は火力の問題と、ちゃんと計らない適当な水の量、浸水させないという負の条件が重なる。炊飯器で炊くお米はおいしくないという印象になるんですよ」と小栁津氏。

さすがに土鍋を使って毎日炊くのは厳しいかもしれないが、炊飯器でも少し気をつかうだけでも、お米はおいしくすることができる。ポイントを押さえて、おいしいお米を味わってみてはいかがだろう?


『おこん』の先付けで提供される白米が旨すぎる!

『おこん』は美しく繊細な味付けの土鍋ご飯が名物である。しかし、多くの著名人や食通を唸らせているのは、コース最後の土鍋だけではないのだ。

同店の特徴と言えるのが、先付けのタイミングで提供される「白米」だろう。〆の土鍋ご飯に使用する米のテイスティングという意味を持つという。ひと口だけと自分に言い聞かせ、頬張るとその白米のおいしさに、テイスティングであることを忘れて全部食べてしまいそうになる。

「あくまでテイスティングなので、全部食べてしまうとメインの土鍋ご飯が入らなくなってしまう。でも、ほとんどのお客様がおかずとともに完食してしまうんですよ」と笑いながら小栁津氏は語ってくれた。


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究極のおかずとともに白米を実食

炊きたてを味わうべく、さっそく白米を実食してみた。同店で使用しているお米は青木功樹氏が栽培する山形県南陽市産ミルキークイーンだ。

特徴は光沢がよく、食感はもっちりと、ほのかな甘みを感じるところ。米・食味鑑定士協会主催「全国米・食味分析鑑定コンクール」(現「米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」)金賞など数々の受賞歴を持つ有名なお米である。そのお米を小栁津氏は、特別に「米の薄皮が一枚だけ残る」ように精米して仕入れているという。

まずは、白米だけでじっくりとその甘みを噛みしめて欲しい。心から「日本人でよかった……」と思えるはずだ。またおいしいお米は冷めてもおいしいという。「冷めた時に本当の味が出るんですよ。恋愛と一緒ですね」と小栁津氏は語る。


いつもはコースの先付けとして白米、ごはんに合う煮物や和え物などのおかず、そして刺身、魚、肉料理と続く。

この日は特別におかずとして「いくらの炙り」を提供していただいた。これがまたご飯が進む味である。生の部分と炙られた部分の2つのいくらの食感が堪らない。

ホタテの貝の器から少しずつ剥がして食べるので、お酒のアテとしてもぴったりだ。通常時もコースを注文すれば、「いくらの炙り」を追加注文できるので、食べたい方は予約時に問い合わせを。

ぜひこの季節に「炊かれたい男」小栁津氏が炊きあげる絶品白米を味わいに『おこん』を訪れてみて欲しい。白米のおいしさを再認識し、自宅でもきちんと炊いてみたくなるはずだ。