『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』と『一流の育て方』(ミセス・パンプキンとの共著)が合わせて21万部突破の大ベストセラーになった「グローバルエリート」ことムーギー・キム氏。

彼が2年半の歳月をかけて完全に書き下ろした最新刊『最強の働き方――世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ77の教訓』が発売と同時に5万部を超えるベストセラーになっている。

本連載では、「最強の働き方〜仕事のIQを高めよ」をテーマに、キム氏が「世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ『最強の働き方』」を紹介していく。





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おカネ以外に相手を喜ばす術のない二流の人

「この人、それだけカネがあるのに、ほんま、ガメツイな……」

世界中の人と一緒に働いて驚くのは、「お金持ちの中でも優秀な人に限って、おカネに非常に細かく、厳しい」ということだ。

たしかに、香港やシンガポールの大富豪の二代目、三代目の中には、子どものころから「空気と水とカネは無限大」と思っているような人もいる。

彼らは、一緒に飲みに行ったら、何十万円だろうと、何事もなかったかのようにブラックカードで明細も確認せずに支払い、おまけに「今日は一緒に来てくれてありがとう」といったありがたい言葉までかけてくれる。

しかし、そういう人は、友達として付き合うには申し分ないが、実際にはたいして仕事がデキない「二流止まり」というケースが少なくないのだ。

一方、お金持ちの中でも一流の人に限って、数十億円、数百億円の個人資産があるにもかかわらず、レストランでもホテルでも飛行機でも「必要がない」と判断したら、驚くほど最安値を追求する。

しかし、そういう「ケチな人」に限って、仕事や投資で大きく成功していることが多い。

金銭感覚も一事が万事で、おカネに対してルーズな人は、たんに「おカネの問題」だけにとどまらない「より本質的な問題」をはらんでいるのだ。

では、金銭感覚によって「デキない二流の人」のどんな欠点がバレるのか。「一流と二流の差」はどこにあるのか。

一流の人に学ぶ「おカネの使い方」とあわせて早速、解説しよう。


「貧乏根性」はここでバレる

金銭感覚によってバレる「デキない二流の人」のひとつめの欠点は、「他人のカネで遊び倒そう」「他人のカネならムダ使いしても平気」という「貧乏根性」「たかり根性」である。



最初のミーティングで、プラダのバッグを配る二流


【1】「貧乏根性」「たかり根性」が出る

たしかに金融の世界では、「ディナーミーティング」という名の接待が非常に多い。某大手金融機関など、予算を持っている人の中には、月に何百万円も飲食に使い込んでいる人も少なくない。

そういう人のまわりには、必然的に「ごちそうになってやろう」「他人のカネで遊び倒そう」という貧乏根性、たかり根性を有している人たちが大勢集まってくる(実際、最近は公的年金だけでなく企業年金なども過剰接待を受けて資産運用会社に便宜を図ったことがバレてお縄になる人も増えている)。

ディナーに誘っても、そこに営業サイドの「大きな財布」の持ち主がいないと、自腹を切ることになるので絶対に出てこない。逆に、「二次会はXXXXファンドが面倒を見てくれます」となると、まったく仕事相手でも何でもないのに、喜び勇んでわれ先にと駆けつけてくるのだ。

そういう人に限って、(私は絶対に行かないが)仮に六本木にある、大学生が接客をするキャバクラに行こうものなら、本来の目的である「仕事相手と親睦を深める」という目的を放り投げ、一目散に自分の好きなタイプの子を見定め、ひたすら向こう2時間、その女の子を独占して話しまくるのだ。

そして会計タイムになると、事もあろうにトイレに逃亡。支払いが済んだころを見計らって帰ってきて、「あれ、もう支払っちゃったの? 次は俺に払わせてよね!」などと白々しく逃げ帰るという、遊び方もことごとく二流なのである。

ここまでのケースはまれとしても、「ごちそうになってやろう」「おごってもらえるなら出かけよう」という貧乏根性は早晩、あの人は「おカネに汚い人」「ケチな人」「フェアでない人」という悪名を広げてしまい、仕事でもプライベートでも、まともな人から相手にされなくなるのだ。

【2】「金品で人を釣らない倫理観」の有無が出る

「おごってほしい」という“たかり根性”は、食事だけでなく贈り物も同じだ。二流の人に限って「刹那的な贈り物攻撃」に弱いものだが、じつは贈る側も「二流の人ほど、安易にプレゼントで相手の歓心を買おう」とする。

実際、私は某国の財閥ファミリーの娘さんと最初のミーティングにのぞんだ際、なぜかプラダのバッグをお土産にもらって、内心有頂天で舞い上がってしまった。そしてあろうことか、舞い上がりすぎてホテルのロビーに忘れて結局持ち帰れなかったのだ。

仮に持ち帰ったとしても、まず税関で30%の15万円くらいとられ、おまけに会社に帰ったらコンプライアンスオフィサーに自己申告で渡さなければならないのでじつは税金の払い損で終わってしまうわけだが、そういう「贈り物攻撃を相手にしかける二流のカネ持ち」は思いのほか多い。

二流の人ほど、ほかに「相手をもてなす、喜ばせる術」を持たないので、いきなり「おカネにモノを言わせて歓心を買おうとする」のである。こういった「倫理観なきプレゼント攻撃」は、二流を舞い上がらせる効果は強くても、「ビジネス・エシックス」に厳しい一流のビジネスパーソンからの信頼を一挙に失ってしまうものである。


「ケチな人」ほど仕事ができる?

もうひとつ金銭感覚によってバレるのは、あなたが「おカネを稼ぐためのビジネスパートナーとして、信頼できるかどうか」ということだ。



敵にしたら厄介だが、味方にしたら頼もしい


【3】ビジネスで「おカネを稼げる人かどうか」が出る

私が別名「ミセス・合い見積もり」と呼んでいた女性のボスは、古今東西、すべてのものに合い見積もりを求めていた。

どれほど年収が上がろうと、ホテル一室の10ドルの差にこだわり、飛行機のルートを多少変えて不便な時間帯になっても、フライトの値段を500ドル下げることに粉骨砕身、全力を注いでいた。

私があきれたのは、高級レストランで食事しているにもかかわらず、支払い時に一つひとつ明細を確認しては間違ってマンゴープリンを多めに払っていないかと厳重にチェックしたり、スープが遅かったからといって支配人を呼んで、その一品を無料にしようとしたのだ。

「あなた大金持ちなんだから、マンゴープリンやスープくらい、ええやないか……」とも内心思ったが、こういう人ほど、投資でもビジネスでもバンバン稼ぐものなのである。

なぜ、大富豪である彼ら彼女らが、それほどまでにささいなおカネにこだわるのか。それはお客さんである取引先や投資家へのメッセージでもあるのだ。

みなさんもよく考えてみてほしい。もし自分のおカネを預けて投資してもらうなら、やたらとカネ遣いが荒く、おカネにルーズな人に、みなさんは大事なおカネを預けたいと思うだろうか。むしろ、多少、というか多大に、おカネにがめつい人に任せたくはないだろうか。

これは、交渉のタフさでも同じだ。いい人で人当りがよく、こちらの要望をどんどん聞いてくれる人は、「敵」として接する分には最高だが、「味方」の立場になると、「誰に対しても譲歩しすぎるのでは?」と心配になってしまう。

「敵にしたら厄介だが、味方にしたら頼もしい」と思われるからこそ、人望も資金も集まるのだ。「この人はカネを無駄にしない」という信頼感が、ビジネスを大きくしていくのである。

実際、おカネに細かい一流の人のもとには、投資家から潤沢な資金が集まる。そして、その期待に応えるよう、投資でしっかり利益を出しつつ、余分なコストをビシビシ絞っておカネを稼いでいくのだ。

プライベートで一緒に時間を過ごすにはホトホト疲れる。しかし、仕事を任せるなら、ささいなコストもゴリゴリ削って、会社の経費を絶対に無駄にしないプロフェッショナルに、おカネも人脈も信頼も集まりやすいのである。


「人間としての深み」もバレる

もうひとつ、金銭感覚でバレるのが、その人自身の「価値観」「精神の成熟度」「人生の優先順位」である。



「何におカネを使っているか」を見れば、その人がわかる


【4】その人の「価値観」「精神の成熟度」「人生の優先順位」が出る

何におカネをかけるかというのは、これは個々人が毎日下している「人生の予算配分」、もっともらしく言い換えると「アセットアロケーション」と考えることができる。

あらゆる世界中の大金持ちのおカネの使い方を見てきた私が断言できるのは、おカネの使い方には自身の「価値観」や「精神の成熟度」「人生の優先順位」がもろに反映されてしまうということだ。

あなたは将来のことを考えずにすべて、自分の洋服と六本木のクラブ代に費やしているかもしれない。趣味のカメラにボーナスをすべて突っ込み、実家の老いた両親にはその墓代を出すまで、何かを買ってあげようという気が一切ないかもしれない。恐ろしいことに、自分はハワイに行くが、親は熱海にすら連れて行ったことがないかもしれない。

はたまた、あなたはひそかに善行を働き、収入の10%を、見上げたことにフォスターペアレントに寄付して世界の貧困にあえぐ子どもたちを支援しているかもしれない。

ひょっとすると、まだ10代の子どもたちがテロリストに蹂躙(じゅうりん)されている現実を知ったあなたは、居ても立ってもいられず、ISISに残忍な迫害を受けている不遇な難民を支援するために、寄付をするかもしれない。

本題に戻ろう。ここで言いたいのはただの一言。「自分がどういう人か」「他人がどういう人か」を知りたければ、「何におカネを使っているか」という事実を見ると一目瞭然だということだ。

もちろん、「自分のことで精いっぱい」という苦しい状況にいる方はまったく別だ。しかし比較的おカネに余裕があるのに、自分のおカネの使い道が、高級レストランと宝飾品と、港区にある高級マンションの家賃か住宅ローンしかない方に申し上げたい。

あなたはこれからも、自分を物質的に満たしはするが、「自分で稼いだおカネを、自分以外のより大きな目的のために使う」ようなことは、まずもってしないであろう(それも個人の自由な生き方の選択ではあるのだが)。


では「一流のカネの使い方」は?

では、一流の人に学ぶ「おカネの使い方の秘訣」は何なのか。

「”おカネの使い方”で一流・二流と言われたらたまらん」「自分で稼いだおカネなんだから、他人に迷惑かけなければそれでいいでしょう」という反応を予想し、今回は「少なくとも永遠の二流」にだけはならないために、以下、「二流の人の反面教師」という形で紹介しよう。



お金を使うことは「他人へのメッセージ」


【1】「みっともなさ」を自覚する

先ほど言及した「貧乏根性」「たかり根性」に関していえば、反面教師には事欠かない。

舛添前都知事がやり玉に挙げられたが、彼はまさに氷山の一角で、国会議員、地方議員の中には、自分がマスコミの注目を浴びないように願っている“先生方”はゴマンといらっしゃることだろう。

税率が高く、巨額の負債を次世代に押し付け、さらに自分たちは他人のおカネ、税金を無駄遣いして世界で豪遊している醜さを鑑みたとき、「他人のおカネに群がって生きる貧乏根性」のあさましさを胸に深く刻むことが金銭感覚正常化の第一歩である。

【2】「カネを使う=他人へのメッセージ」と認識する

もうひとつ大事なことは「カネを使う=他人へのメッセージ」だということをいつも肝に銘じておくことだ。

あなたのカネの遣い方を、仕事相手はよく見ているものだ。そして、「こいつはカネにだらしない」といったん思われると、大きな仕事、大切な仕事を任せようと思われなくなってしまう。

他人のおカネを、自分のおカネを節約する以上の執念で節約するからこそ、「ビジネスパートナー」としての信頼を勝ち取ることができるのだ。

【3】カネの使い道を振り返り「自分の価値観、人生観」を問い直す

そして最後に最も大切なのが、「使い方」の金銭感覚から、自分の価値観、人生観を問い直すことである。

自分がいま何におカネを、どのくらい使っているか、まずはそこから見つめなおしてほしい。すると、「あなたがどんな人か」が浮かび上がってくるはずだ。

おカネも人生も、限りあるものだ。その限りある資源をどう配分しているかによって、あなた自身の「価値観」や「精神の成熟度」「人生の優先順位」が垣間見えるのだ。

あなたが「頭の良さ・学歴」とは関係ない、高い「仕事のIQ」の持ち主かどうかは、普段のカネ遣いによって、よくも悪くも如実にバレてしまうのである。


『最強の働き方――世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ77の教訓』

ムーギー・キム氏が2年半かけて書き下ろした「働き方」の教科書。一流の「基本」「自己管理」「心構え」「リーダーシップ」「自己実現」すべてが、この1冊で学べます。


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