こんな時代こそエロスの出番だ。日活は「ロマンポルノ・リブート(再起動)プロジェクト」として、この冬5人の人気監督による新ロマンポルノを製作、昨年末から順次公開している。塩田明彦(55)、園子温(55)、中田秀夫(55)、行定勲(48)らとともに若手の星として参加しているのが、映画「凶悪」(2013年公開)で数々の賞を受賞した白石和彌監督(42)。映画「牝猫たち」(関東地区14日公開)には、白石監督ならではのエロスがあふれている。

 ――「牝猫たち」には持ち味が出ている

 白石監督:旧作のロマンポルノには青春ものもあれば社会派ものもあった。僕が好きな田中登監督の作品に「牝猫たちの夜」という作品があるんです。オマージュとまでいかないんですが、3人の娼婦たちのオムニバス的な感じで現代に持ってきたら、僕が普段から持っている時事ネタや事件に、たまっていたものも乗っけつつできるかなと。

――製作条件が厳しい

 白石監督:予算と7日間で撮るのが(苦笑)。70分なら7回、80分なら8回ある(濡れ場は10分に1回)。1日に2回3回撮ったりして、大変だなと思いました。

 ――「僕だけ」といえる部分は

 白石監督:ドキュメンタリーチックな雰囲気で撮りたいと思っていた。ラブホテルでセックスしているからみなどを回して撮るのはエロくいったなと思います。

――こだわりのシチュエーションは

 白石監督:最初の「脱いで」とか、おじいちゃんも立って脱がせるじゃないですか。僕、脱いでる姿を見るのが好きなんですよ…ってことで許してもらえますか(笑い)。

――それが監督のフェチ

 白石監督:そうですね。自分だけ脱ぐって恥ずかしいじゃないですか。その恥ずかしがっている感じとかを見てるのが好きなんですよ。こんなこと初めて言いました。

――日本ではポルノジャンルに元気がない

 白石監督:ネットなどで簡単に見られるので、お金にならなくなっている。エロスだけで押すというのが難しくなった。若者がセックスしなくなったといわれるけど、コレだけ世の中に氾濫してるからわからなくもない。それでもお前らもっと発情しろ、みたいな気持ちはありますね。

 ――今後は

 白石監督:リブートした以上は続けてほしいし、続けるならやりたいですね。今回(5本の中に)メロドラマがなかった。やったことがないので、次は絶対にやりたい。あと本人からOKがでれば、また井端珠里ちゃん(29=女優・声優)でやりたいですね。作品としては映画を通して人間とは、今の社会とはなんじゃいみたいなことを描いていきたいので、それが描ければロマンポルノであろうがなかろうが、壁はない。

★ロマンポルノ・リブート・プロジェクト=1971年から始まった成人映画「日活ロマンポルノ」の45周年記念事業。5人の監督には(1)総尺80分前後、(2)10分に1回の濡れ場、(3)製作費は同一、(4)撮影期間1週間、(5)完全オリジナル作品・脚本、(6)ロマンポルノ初監督という、当時と同じような厳しい製作条件がついた。5作品は公開順に(1)行定監督「ジムノペディに乱れる」、(2)塩田監督「風に濡れた女」、(3)白石監督「牝猫たち」、(4)園監督「アンチポルノ」、(5)中田監督「ホワイトリリー」。

☆しらいし・かずや=1974年12月17日生まれ。北海道出身。映画監督。2009年「ロストパラダイス・イン・トーキョー」で長編デビュー。監督・共同脚本の「凶悪」(13年)で日本アカデミー賞優秀作品賞など数々の賞を受賞。16年「日本で一番悪い奴ら」公開。