阪神のドラフト戦略が混迷している。1位指名を巡って、即戦力タイプを推す声と素材型でいくべきとの声が分かれたまま、それどころか、投手か野手かもいまだに一本化できない状態というのだ。創価大・田中正義投手(22)、履正社・寺島成輝投手(18)、中京学院大・吉川尚輝内野手(21)ら逸材が多すぎるゆえの現象。「1位はドラフト本番ぎりぎりまで決まらないかも」とまで言われだした。

 10月20日に行われるドラフト会議まで残り1か月を切った中、阪神の球団幹部は何とも言えない表情でこう明かした。「ドラ1に関しては、まだまだ検討していかないといけない。リストアップしている選手の最終報告を待っている段階。即戦力タイプなのか、素材タイプなのか、投手なのか、野手なのか、ということも最終決定はしていない」

 今年のドラフトは逸材の宝庫といわれている。即戦力組では186センチ90キロの恵まれた体格から投じられる直球が最速156キロの創価大の田中。最速153キロを誇る直球と切れ味鋭いスライダーが武器で、今春の首都大学リーグ戦では7試合に登板し防御率0・27と驚異の数字をマークしたスリークオーター右腕の桜美林大・佐々木。野手でも俊足巧打の遊撃手、中京学院大・吉川や、走攻守三拍子揃った早大・石井がいる。高校生組も粒揃い。最速150キロ左腕の履正社・寺島、152キロ右腕の横浜・藤平にも虎スカウト陣は二重丸印をつけている。

 それだけに球団内では意見がなかなかまとまらないという。実際「今年、メッセンジャー以外は苦しんだし、すぐに一軍で使える投手はいくらでもいた方がいい。田中ら即戦力候補のレベルは例年以上に高いのでそちらにいくべき」(あるスカウト)との即戦力投手を推す声があれば「高校生投手のポテンシャルも素晴らしいものがある。ウチは『超変革』といって育成を掲げているし、高卒投手を獲ってチームの看板にするのがいい」と素材型の高校生投手を薦める声もある。さらには「野手の候補たちも鍛えがいがありそうで金本監督好み。去年も当初は投手がドラ1候補だったが、結局、高山にいったでしょ」(チーム関係者)とも…。

 若手の積極起用を続けた金本阪神1年目だったが、力不足を露呈し、4年ぶりのBクラスが決定。指揮官が「練習するしかない」と話したように現有戦力のレベルアップのため秋から地獄キャンプを課すつもり。それと同時に今後のチームの命運を握るのが戦力補強だ。投手、内野手、外野手など多くのポジションでの底上げが急務だが、そんな中でのドラフト戦略の混迷状態。球団幹部は「1位指名を誰にするかは、監督もかなり悩むだろう。ドラフト本番のギリギリまで判断を待つことになるかもしれない」とまでいうが、どうなるか。