世界戦ラッシュだった昨年末のボクシング界で最も強烈な印象を与えたのは、大みそかにIBF世界スーパーバンタム級新王者となった小国以載(28=角海老宝石)だったと言っていいだろう。23戦22勝(22KO)1無効試合という驚異の戦績を誇っていたジョナタン・グスマン(27=ドミニカ共和国)に3―0の判定勝ち。世界をあっと言わせた新ヒーローが本紙のインタビューに応じ、快挙達成直後のリング上での仰天計画や、過去に「グスマン以上の強敵」がいたこと、さらには深田恭子(34)への熱〜い思いなどを赤裸々に告白した。

 ――世界王者になって約2週間。まだ勝利の余韻に浸っている

 小国:それが、あまり実感ないんですよね。それと実は、世界王者になったあのリング上で「引退宣言」しようと思っていたんですよ。

 ――いきなり何を…。本気でそう思っていたのか

 小国:はい。キャンディーズみたいに「普通の男の子に戻ります」って言おうと思ってました。

 ――ボクサーなら誰もが憧れる「世界王者」の称号を手に入れた瞬間に手放そうとするなんて…

 小国:これが井岡(一翔=WBA世界フライ級王者)や井上(尚弥=WBO世界Sフライ級王者)みたいに3階級制覇とか、長期防衛が目標だったら世界王者になることは長いステップの一歩目でしかないと思う。でも僕は世界王者になれただけで超御の字。彼らみたいな目標は持てないし、それなら過去に誰もやってない「史上最速返上」をやって名前を残そうと。これはボクシング始めた時から考えてました。

 ――だが、さすがに思いとどまった

 小国:世界戦をやるためにたくさんの人とお金が動いてることを冷静に考えたら、ここ(リング上)では言う雰囲気と違うな、と。でも22歳とかの若さだったら言っちゃってたかも(笑い)。

 ――IBFからはランク1位の岩佐亮佑(27=セレス)との対戦指令が出ている

 小国:日本人対決はやりたくないですわ〜。

 ――やはり、いろいろなしがらみというか、複雑な感情などがある

 小国:だってもし負けたら、すぐ近くにいるからこの先、いろんなところで何度も顔合わせるんですよ。外国人だったら一生会わないだろうけど…。それって嫌じゃないですか。

 ――そんな理由…

 小国:試合が決まれば、ちゃんとやりますよ。やらなきゃいけないのを「逃げた」と言われるのは、もっと嫌ですから。

 ――ところでボクシングを始めたきっかけは

 小国:中3の時に「はじめの一歩」を読んだことですね。幕之内一歩が伊達英二に倒されて、じゃ俺が伊達に勝つしかない、と。友達4人ぐらいと地元のジムに入りました。

 ――アマチュアを経て、プロでは順調に東洋太平洋と日本王者になった

 小国:でも俺、デビュー戦の初回にダウンしてるんですよ。

 ――え?

 小国:スエーして戻ったところに、相手のタイ人のオーバーハンドがモロに当たって…。

 ――デビュー戦でそこからよく盛り返した

 小国:3回でKO勝ちしました。グスマン戦でもダウンしなかったから、俺の中で過去最強のボクサーはこの時の相手、チャーンサック・シットサイトーンです(笑い)。

 ――グスマン戦に向けては「勝って深田恭子と会いたい」をモチベーションにしていたとか

 小国:深キョン、高校生のころからファンなんです。前だったら、会えるとか絶対に何もないでしょうけど、世界王者になったらそういうこともあるのかな〜と。この記事読んでくれたりしないですかね?

 ――実現を願ってます。ほかに何かかなえたいことなどは

 小国:車を持ってないので、カッコいいのが欲しいですね。多少見え張ってでも、世界王者になったらこんなにスゴいんだ、と子供に憧れてもらえるような車に乗りたいなと思ってます。

☆おぐに・ゆきのり=1988年5月19日生まれ、兵庫・赤穂市出身。中3からボクシングを始め、アマチュアでは高校総体3位。芦屋大時には全日本選手権3位などの成績を収めた。2009年11月にプロデビュー。11年11月に東洋太平洋Sバンタム級王者となるも、13年3月に和気慎吾にTKO負けして陥落。一度は引退を決意したが、同年に角海老宝石ジムに移籍して14年には同級日本王座を獲得した。プロ通算成績は21戦19勝(7KO)1敗1分け。スタイルは右ボクサー。173センチ。