13番人気の皐月賞で4着に食い込んだメタルスピード

日本ダービー2023

[GⅠ日本ダービー=2023年5月28日(日曜)3歳、東京競馬場・芝2400メートル] 

 3戦3勝で皐月賞馬となったソールオリエンスが1番人気に推されるであろう今年の日本ダービーで、人気の盲点になりそうなのが、200万円の追加登録料を払って出走するメタルスピード(牡、斎藤誠)だ。これまでの出走レース数はトップナイフの9戦に次ぐ8戦。使いながら力をつけてきた。

 重賞2戦を含む戦績は〈2・0・3・3〉。馬券に絡まなかった3戦はいずれも4着で、大崩れがない。力を出し切れなかったのは入厩当初、モタれグセがあったのが一因だ。

「以前は右にモタれていたのですが、修正できてきました。原因はトレッドミルなどのトレーニングだと思います。どうしても自分のクセで走ってしまうんですよね。やはり、人が実際に乗って手綱を引き、正しい首の位置で走らせる必要があります。しっかり乗り込んで変わってきました」(斎藤誠調教師)

 手間暇をかけての丁寧な馬づくりが同厩舎の特徴。近2走はいずれも中山の重馬場で、スプリングS3着→皐月賞4着と結果を出してきた。そしてこのタフな戦いを乗り越えたことで、馬がさらに一段階上がってきた。

 最終追いは美浦南ウッドで馬なりのまま、5ハロン66・6―11・0秒と絶好調。またがった津村は「しまいの反応は抜群。皐月賞に比べて動きは良くなっていますね。操縦性はいいし、距離延長はプラスでしょう」と満足げな表情を浮かべた。

 毛ヅヤは冴えてメタリックな輝きを放っている。「今回は短期放牧を挟んですぐに坂路で乗り出せたほどいい状態で入厩しました。皐月賞の時より明らかに状態が上がって、一番いいデキですね。追い切り後の疲れもありません。悔いなくレースに臨めます」(相田助手)

 斎藤誠調教師は「シルバーステート産駒ですし、マイル中心かなと考えて皐月賞までしか登録していませんでした」と追加登録料の支払いについて苦笑いしつつ説明したが、要は馬の成長曲線が陣営の想像を超えたということだろう。異例のチャレンジャーが波乱の立役者に名乗りを上げる。

著者:東スポ競馬編集部