仕事面での能力はある優秀な人なのになぜか出世できない。周囲に評価されず、ここいちばんで結果を出せない。あなたの周りにそんな残念な人をみたことはないでしょうか。

その原因のひとつは「感情」特に「怒り」にあるかもしれません。怒りだしたら止まらない。上司に、同僚に、お客に。何かあるごとに、いつまでもイライラムカムカ。生きていれば誰しも腹の立つような事態に遭遇するものですが、それがいつまでたっても収まらず、怒りを爆発させて人間関係を壊してしまったり、仕事に支障をきたしてしまったりする。

怒りのような激しい感情をセーブできない人となると、いくら業績がよかったとしても、社内での評価が高くなることはありません。精神科医として35年の経験をもち、『マインドフルネスの教科書』の著者でもある藤井英雄氏が、そんな人間の怒りのメカニズムとコントロール法を解説します。

私は35年の間、つねに人の精神や感情と向き合ってきました。その中で、感情というもののメカニズムが少しずつ見えてきています。

あなたの理性が怒りに支配されてしまう3パターン

2年ほど前から私の主催する研究会に参加しているMさんが、ある日、「部下に対して怒りが収まらない」と打ち明けてくれました。

旅行代理店に勤務するMさんは、今年の4月、昇進して主任となり、3人の部下を持ちました。最初のうちは「しっかり指導するぞ」と燃えていたMさんでしたが、最近はなかなか言ったとおりの結果をあげない部下たちにいつも腹を立てていました。

部下の指導をしているうちに自分の仕事をする時間がなくなり、主任になってから残業時間が月に30時間も増えてしまったとか。詳しく聞いてみると、その指導というのはほとんどが叱責で、部下の非を追及していると、止まらなくなってしまうのだそうです。

Mさんの話を聞いているうちに、ピンときました。Mさんは、怒りが長引く定番のパターンにしっかりとはまっていたのです。