私はこれまで1万人を超えるさまざまな職業人にインタビューをしてきましたが、ひさびさに「これは!」という人に出会いました。その人の名は、松岡由起子さん。彼女は31歳の美人会計士なのですが、その経歴に驚かされます。

松岡さんは、金髪ミニスカのギャルだった17歳で妊娠。学校の温情で何とか卒業できたものの、結婚生活では夫の浮気とDVに悩まされ、我慢の末に子どもを守るために離婚。21歳でシンママ(シングルマザー)となり、家事・育児をこなしながら27歳で三大国家資格の公認会計士に合格したのです。

ここでは、「参考書の漢字すら読めなかった」という高卒の彼女が、なぜ難関を突破できたのか? とっておきの勉強法と、その後の人生を尋ねていきます。

集中力を高めるツールとフロー

会計士という職業柄なのか、松岡さんは「常にコスト管理やコスパを考えて行動している」そうです。とりわけ目を引くのは、時間に対するコスト意識の高さ。17歳の妊娠時から自分の時間がなくなり、家事や育児に追われていた松岡さんは、集中力を高めることで学習効率を高めていたのです。

「毎朝起きてすぐにメイク、ヘアセット、着替えを済ませて、オンモードに切り替えました。ノーメイクで部屋着だとダラダラしてしまうので、気合いを入れるための儀式として」

朝起きてすぐにダラダラモードになってしまうと、誘惑の多い自宅での切り替えは難しいもの。だからこそ、朝起きてすぐに、仕事で人前に出るときのような臨戦態勢が必要なのでしょう。たとえばサラリーマンも、ヒゲを剃り、髪を整え、スーツに着替えることで集中力が増して、勉強がはかどるかもしれません。

「勉強時間を1時間ごとに区切って科目を変え、『ここまでやろう』という目安を決めておきました。区切らないと『まだ時間あるから』と思って集中力が欠けてしまうので、ストップウォッチを使って時間の経過を意識しながら勉強していたんです。ただ、勉強範囲の目安はきっちり決めておくのではなく、おおよそでOK。『絶対ここまでやるんだ』と決めてしまうと、時間が足りないときに焦って理解が浅くなってしまいますから」