「うわー、これはいくらなんでもひどすぎる! 大統領テレビ討論に、WWEのプロレスラーがマイクパフォーマンスで殴りこんできたみたいや……」

というわけで米大統領選も佳境に入り、いよいよ民主党のヒラリー・クリントン候補と共和党のドナルド・トランプ候補の間で3回にわたるディベートが始まった。9月26日夜(日本時間27日午前)に行われた第1回のテレビ討論は、アメリカの有権者の62%がヒラリー優位と答えた。

連載「最強の働き方」の"番外編"として、このディベートについて率直な感想を述べていきたい。このディベートには、一流を目指すビジネスパーソンにとって、大いに参考になる内容が含まれているからだ。

聴衆を見誤ったドナルド・トランプ

まず、いくら共和党・トランプ陣営であり、またヒラリー候補のことが嫌いとはいえ、引き分け、よりによってトランプ優勢と答えた人が3割もいたのは驚きだ。

しょせん人は客観的に物事など見ることができず、好き嫌いで判断の9割は決まっている悲しい現実を再度思い起こさせてくれる、いい事例である。

今回の大統領テレビ討論でバレてしまったのは、ドナルドトランプ候補のコミュニケーション能力が、以下の3つの理由でいかに「三流の人間」かということであった。

第一にバレたのが、トランプ氏の幼稚さであった。ヒラリー候補が話している間に何度も割って入り、大声で叫び散らしている。あの落ち着きのないボディランゲージも、トランプ氏の焦りがにじみ出ていた。もしくはトランプ氏は、この感情的なパフォーマンス芸が自分の支持層に響くと思っているのだろうか。

これに対し、ヒラリー候補は悠然とした表情とボディランゲージ、トーンで余裕を演出し、大統領候補の風格を十分に演じてみせた。トランプ氏が幼稚にふるまえばふるまうほど、ヒラリー氏は感情的な対立に付き合うことなく、ますますゆっくりと落ち着いて話し、「大統領らしい風格」という面で明白すぎる差を見せつけたのだ。