「勉強はしているのに、なかなか英語が話せるようにならない」――。これは、多くの日本人に共通する悩みの種ではないでしょうか。

ただし、日本人が英語を勉強していないわけでは決してありません。現在は、中学校で3年、高校で3年、大学の一般教養過程で2年と、計8年間を英語学習に費やしています。さらに、文部科学省は2020年度から、小学校の5、6年生を対象として英語を正式教科とすることを予定しています。

しかし、筆者はこれでも日本人が英語を話せるようになるとは思いません。「聞く」、「話す」、「読む」、「書く」の4技能のうち、「読む」と「書く」では学校教育の中である一定のレベルに達すると思いますが、「聞く」と「話す」に関しては、多くの人がなかなか超えることのできない英語の「壁」に苦しんでいるのです。英会話に苦しむ大学生や社会人と接する中で、TOEICのスコアが900点を超えているのに、自己紹介すら苦労する人を多く見てきました。彼らはボキャブラリーが不足しているわけではないのに‘My name is・・・’の後がなかなか出てこないのです。

日本語を「英語訳」しようとするのが誤り

英語の壁とは、一体何でしょうか。1つ目の壁は、「英語思考」ができていないことに起因する壁です。日本人特有の癖として、英語を話すときにまず日本語で考え、その内容を英訳しようとしがちです。当然、日本語は全てを言語化しなくても通じる「高文脈」の言語なのですが、日本語で暗に言っていることを英語で逐一言語化しようとすると、英語力がついていかないため、言葉に詰まってしまうのです。また、会話や思考のリズム感も日本と海外では全く異なり、円滑なコミュニケーションを妨げてしまうという悪循環を生み出します。

もう1つの壁は、日本人独特の「英語コンプレックス」の強さによるものです。日本の学校教育の中では、常に正解が求められます。すると、実際の英会話でも頭の中でしっかりと正解を導き出してから話そうとするので、どうしてもワンテンポ遅くなりがちです。またネイティブ慣れしていないことによるある種の苦手意識も影響して、自身の英語能力を100%発揮しにくいことで、発言に至らないこともしばしばです。