日銀の金融政策の成果を、株価で測る傾向が世にはびこっている。金融政策発表後に日経平均が上がれば「成功」、下がれば「失敗」とする論調が多い。それにつられて、いつのまにか日銀が、「株価を政策目標とする中央銀行」に変わりつつある。

市場は日銀の「実現不可能な口約束」を好感した

その意味で、9月21日に発表した金融政策は、成功だったのだろう。発表内容を好感して、この日の日経平均は、前日比315円上昇した。日銀のマイナス金利導入で収益にダメージを受ける銀行株がこの日は大幅高になった。

大手銀行株がこの日急騰したのは、日銀が「イールドカーブ・コントロール」を導入すると発表したためだ。10年物国債金利が概ねゼロ%で推移するようにコントロールするとした。

年80兆円のペースで、国内債券の保有残高を増やす量的緩和は続けるが、10年以上の金利がマイナスにならないように、買い付ける対象を調整するとした。具体的には、10年以上の国債の買い付けを減らし、それよりも短い国債をたくさん買うことになる。買い入れ対象について、平均残存期間の定めを廃止することによって、中短期債券の買い付けを一段と増やせるようにした。日銀の発表を受けて、10年国債利回りは一時+0.0286%まで上昇した。

この日のマーケットは、日銀の口約束に素直に反応したと言える。日銀は、マーケット関係者が喜びそうなことを、これでもかと言うくらい並べたてたからだ。私は、日銀の口約束には、実現不能の内容が含まれていると考えるが、21日の金融市場は、とりあえず日銀の口約束を素直に評価した形だ。

日銀の狙い通り、長期金利が上がれば、年金基金や金融機関の運用悪化を防ぐ効果がある。一方で、中短期金利を下げれば、円高を防ぎ、設備投資のためのファイナンスをしやすくする効果も期待できる。いいとこづくめである。