安倍晋三首相による“1強”政治が一段と加速する中、永田町でまたもや解散風が吹き荒れている。首相が、日本とロシアの深い溝となっている「北方領土と平和条約締結」という外交最大の難問解決に道筋をつけ、その成果を掲げて年明けに解散・総選挙を断行するというものだ。

政界では「日ロ解散」「北方領土解散」などの言葉も飛び交う。首相の自民党総裁任期延長のための党則改正を視野に、同党執行部が定期党大会の3月5日開催を決めたことも絡み、「史上最長政権」を狙う“安倍戦略”の強かさも浮き彫りとなる。

首相は、12月15日に地元山口県の長門市にプーチン・ロシア大統領を招き、北方領土問題と平和条約締結交渉について、「ギリギリの首脳会談」(政府筋)に臨む。両首脳は第1次安倍政権時代も含めて、すでに14回も会談を積み重ねてきた。目的はもちろん「最大の外交懸案の解決」(同)で、「ウラジミール」「シンゾ―」とファーストネームで呼び合う両首脳の親密な関係が交渉進展への拠り所となっている。

日ロ首脳とも強い指導力、米国は空白期間

第4代ロシア連邦大統領のプーチン氏は、第2代時代も含めてすでに12年間も大統領職を務め、2024年までの在任が確実視される剛腕で独裁的なトップリーダーだ。対する首相も第1次政権も含めて在任期間はすでに4年9か月を超え、自民党総裁任期の「連続3期9年」が実現すれば5年後の2021年9月まで首相の座を維持する可能性もある。

年齢はプーチン氏が2歳年上だが、どちらも60代前半の壮年期。日ロ外交の歴史をみても、両国首脳がいずれも長期安定政権で強い指導力を維持して交渉に当たるケースは初めてだ。しかも、これまで日ロ接近を強くけん制してきた米国は、11月8日大統領選の前後数か月は「レームダック期間」となり、外交的圧力をかけにくい状況だ。だからこそ、首相らは「山口会談が唯一最大のチャンス」(側近)と意気込むのだ。

ただ、領土の帰属をめぐる交渉は外交の中でも極め付けの難題だ。北方領土以外にも複数の領土紛争を抱える両国だけに、交渉結果はほかの紛争にも大きな影響を与えることになる。