ニュースとテクノロジーの両面を柔軟に

ジョーイ・マーバーガー氏は高校時代、パンクバンドのベーシストだった。ある日、バンドが州外のライブに向かう途中、乗っていたワゴン車が故障してしまった。彼には自動車修理の知識が少しあった。そこで自動車修理部品の「オートゾーン」から部品を入手し、ワゴン車を修理して事なきを得た。「この出来事から学んだのは、人生には往々にしてとにかくやるしかない、ということだ」と同氏は振り返る。

最近の新聞業界は、「ワシントン・ポスト」のようなところでさえ、マーバーガー氏のような冷静なタイプでないとやっていけない。アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏は、2013年に「ワシントン・ポスト」を買収して以降、資金を注ぎ込んで技術者とジャーナリストを大量に雇い、同紙の再生を象徴するにふさわしいKストリートの立派な新しいオフィスに会社を移した。

買収以降、「ワシントン・ポスト」はピュリッツァー賞を2回獲得し、「ニューヨークタイムズ」をトラフィックで上回ったが、トラフィックの成功を持続可能なビジネスに変える方法をまだ見つけられていない。デジタル広告は売上が結びつけにくいうえに、アドブロックが増加しており、オンライン購読は「ワシントン・ポスト」の売上全体のほんの一部でしかない。

この問題を解決するために、「ワシントン・ポスト」が注目している人物のひとりがマーバーガー氏(32歳)だ。マーバーガー氏は、だらしない格好をしたよくあるタイプの新聞社幹部ではない。仕立屋がフレンチカラー、赤のネクタイ、カフスボタンを選びがちな街のなかで、マーバーガー氏はパンク風の黒い服をスタイリッシュに着こなし、オフィスにはスター・ウォーズのスケートボードを飾っている。「かっとならない。怒鳴らない。耳を傾ける。多くを語ろうとはしない」と、同氏はギークの旗を誇らしげに掲げる。