以前から課題となっているホーム上の安全対策。8月中旬に東京メトロ銀座線の青山一丁目駅で視覚障害者の男性がホームから転落、電車にはねられて死亡した事故を受け、ホームの安全性向上が緊急の課題としてクローズアップされている。

ホーム上での列車との接触や転落を防ぐ最大の切り札は、なんといってもホームドア(可動式ホーム柵)の設置だ。ホームドアは不慮の事故を防ぐ効果はもちろん、自殺に対する抑止効果も高いことが東洋経済オンライン記事「鉄道自殺防ぐ『ホームドア』は効果絶大だ」でも示されている。

ホームドアのネックはコスト

だが、ホームドアの設置には課題も多い。特にネックとなっているのが設置費用だ。ホームドアを設置するためには1駅あたり数億〜十数億円のコストがかかるとされる。あるメーカー関係者によると、コストはドア1つにつき200万円程度。4ドア車の10両編成が停車する駅なら、ホーム1面につき約8000万円かかる計算になる。多くの場合、設置にはホームの補強工事なども必要となるため、費用はさらに増す。

国土交通省のデータによると、2016年3月末の段階でホームドアが設置されているのは全国の665駅。国は2020年度までに設置駅数を800駅とする目標を設定している。だが、利用者数1日10万人を超える駅でも、設置が完了しているのは全国251駅中77駅。安全面では最善の策とはいえ、整備はなかなか進んでいないのが実情だ。

国交省は8月の事故を受け、同月から大手私鉄やJRなどの鉄道関係者による「駅ホームにおける安全性向上のための検討会」を開いている。9月30日に開かれた第2回の検討会では、視覚障害者団体などによる意見の発表が行われた。その中で、線路側と内側の区別が明確になる「内方線付き点状ブロック」の全駅への設置などとともに、ホームドアが整備されるまで、また設置が困難な駅などでの安全対策の一つとして提示されたのが「固定柵」だ。