4年に1度の米国大統領選挙が約1カ月後の11月8日に迫っています。

大統領選挙の制度はもちろん、予備選挙での有権者たちを丹念に取材して、米国の社会状況にいたるまでを解説した、ジャーナリストの池上彰氏と増田ユリヤ氏の共著『徹底解説!アメリカ――波乱続きの大統領選挙』の一部を抜粋しながら、予備選挙を通して見えてきた米国の現状、大統領選挙のキーポイントを解説します。

第1回目の討論はクリントン氏が優勢

投票を前に、民主党候補のヒラリー・クリントン氏(68歳)と、共和党候補のドナルド・トランプ氏(70歳)の有力候補によるテレビ討論が行われています(9月26日、10月9日、10月19日の3回。なお、副大統領候補の討論会は10月4日に行われました)。

有権者の支持を大きく左右するとも言われるテレビ討論。9月26日の第1回目の討論は、クリントン氏の優勢と報じられました。雇用問題やTPP(環太平洋連携協定)をはじめとした経済政策、安全保障政策など、お互いの考えを述べ合いますが、クリントン氏がトランプ氏の政策について批判すると、トランプ氏は口を挟んだりして話を遮りました。そういったトランプ氏のふるまいが、有権者の評価に結びついたと報道されています。

ここまでの選挙戦を振り返っても、“暴言王”と呼ばれるトランプ氏の過激な言動は、メディアで繰り返し取り上げられてきました。ただ、トランプ氏の扇動的なふるまいにばかり注目が集まり、彼の政策が具体的にどんなもので、実現可能なのかどうかも含め、なかなか見えてきません。

また、女性初の大統領を目指すクリントン氏も、「クリントン財団」への献金問題や、9・11の米国同時多発テロから15年目の追悼式典での途中退席以降、健康問題が取りざたされ、政策についてはあまり詳しく伝わってきません。

日々のさまざまなニュースのなかで、断片的に扱われる大統領選挙に関しての情報だけでは、具体的に候補者たちが大統領になって何をしようとしているのか。米国の有権者たちがどんなことを考えているのか。そして、どのように選挙が行われ、大統領が決まっていくのか。その全体像がなかなかつかみにくいのではないでしょうか。