この夏も、アジア太平洋地域の44カ国・地域から、11歳の子ども227人をはじめ引率者など総勢303人が福岡へやって来た。彼らは海辺の宿泊所で国際交流や日本文化を体験したあと、同年代の子どもがいる県内の家庭に1週間ほどホームステイ。帰国の日、空港ではあちらこちらで別れを惜しむ子どもたちの涙が…。言葉がさほど通じない子ども同士でも、ほんの1週間でこんなに心通わせることができるのだ。そんな草の根の交流「アジア太平洋こども会議・イン福岡(APCC)」は、実に28年も続き、これまで訪れた人数は55か国・地域から1万人を超える。

アジア太平洋から集まる11歳の少年少女たち

行政や学校単位で数カ国と交流するケースは多いが、これだけ多くの国・地域から、しかも11歳に限定してホームステイを受け入れる例はおそらくほかにないだろう。舞台裏を探るべく、主催する「NPO法人 アジア太平洋こども会議・イン福岡」の事務局を訪ねた。

毎年夏に11歳の子どもたちを招聘するようになったのは、1989年のこと。福岡市政100周年を記念した「アジア太平洋博覧会」(アジア太平洋地域から37カ国・地域、国内1056企業・団体が参加)がきっかけだった。この事業に際して、福岡青年会議所(福岡JC)で「アジア太平洋地域の11歳の子ども1000人を招聘しよう」という話が持ち上がったという。福岡JCは、明るく豊かな社会を目指して活動する20〜40歳の団体。完全なボランティアで、いきなり世界各国の子どもたち1000人を“子ども大使”として招待しようというのだから、無謀ともいえる大チャレンジだ。ほとんど前例がなく、実は外務省には反対されたという。