次々に崩れる「ブラックスワン待望論」

昨年来、日本の株式市場では、さまざまな危機到来論が市場を震撼させ、その都度「売り崩しを狙う投機家」が一時的に利益を得てきた。一般の投資家は市場の乱高下に振り回され、すっかり「リスクをとる意欲」を失ってしまった。

だが、日本株式の投資家心理を「裁定買い残」や「信用取引倍率」で見ると、いずれも歴史的低水準に沈み込んでいる。外国人、個人、機関投資家のほとんどが悲観派、売り方に回り、買い方は日銀と年金などの公的資金のみという状況だ。

世界を見渡せば、危機に陥れると騒がれた、ギリシャ、中国、ユーロ銀行不安などは難なく通り過ぎ、危機待望論者は失望しているのではないか。残るのは11月8日の米国大統領選挙だが、それも政策継続が見込まれるヒラリー・クリントンとなる公算が濃厚だ。もはや悲観論者は球を打ち尽くし、ポジションを大々的に巻き戻さざるを得ない時期が近づいている。米大統領選挙の結果が出る前に、「見切り発車的な世界的リスクテイクの波」が押し寄せ始めている可能性がある。

そうした中で、日本銀行は(1)イールドカーブの制御 → 長短金利の管理、(2)オーバーコミットメント → 際限なく目的達成を追求する、(3)追加的手段は潤沢(短期金利・長期金利の水準操作、資産買い入れ、マネタリーベースの増加加速等)、という「3つの柱」からなる新政策を発表した。