米国ほど極端ではないものの、日本でも貧富の差は大きくなりつつある。そのうち昨今、特に注目の集まるテーマが「貧困」だ。東洋経済オンラインでも貧困に苦しむ人たちの実態を数本の連載で追っている。

一方、貧困世帯の対極には「富裕層」がいる。彼ら、彼女たちはどのようにお金持ちになり、どんな日常を送っているのだろうか。本連載では富裕層ビジネスを知り尽くした筆者が、日本のお金持ちのリアルにフォーカスしていく。

(編集部)

お金持ちは身近にいる

「富裕層はどこにいるんでしょう?」

富裕層ビジネスを多角的に展開する私の会社には、よくこのような問いかけが投げかけられる。私はほとんどの場合こう答えることにしている。

「意外とあなたのとなりにいると思いますよ」

小中学生の頃を思い出してみてほしい。友人の自宅にお邪魔してみると、「すごいお家だなあ」と思ったような家はなかっただろうか。意識してみると、実はお金持ちは身近にいる。もちろん高級住宅街と呼ばれるようなところにお金持ちは集まっているが、意外と普通の街にも庶民には考えられないほどの資産を持っているお金持ちは点在している。オフィスで席を並べている同僚の中にも実家が相当な資産家で、年収は自分と同水準であっても、相対的に裕福な生活を送っている人もいる。

東京都港区に在住する榎本博之さん(仮名)は、横浜生まれの70歳男性だ。10歳年下の妻と結婚して28年。子供は20代の長女と長男の2人。長女は嫁いで広島に在住、長男は東京でサラリーマン3年目だ。約10年前に勤めていた会社を定年退職し、現在は妻と一緒にビル管理業を営んでいる。15年前から東京・南青山近辺にビルを購入し始め、現在は5棟を所有している。

それぞれのテナントはほぼ満室で年間所得は1億円をくだらない。おまけに保有しているビルの価値を合算すると購入時点から約2倍になっているそうだ。ビルを売却すれば総資産は「今は30億円をくだらないでしょうね」。