農業ビジネスも手掛けるJR東日本グループ。その農産物を首都圏で展開するにあたっての第1弾として、「JRとまと」を使ったさまざまな商品が販売されます。またその背景には、農産物を販売することにとどまらない、震災とも関係するある目的が存在していました。

1次+2次+3次=6次

 JR東日本グループは2016年9月21日(水)、グループの農場で生産した「JRとまと」を首都圏で本格展開することについて、記者発表を行いました。

「地域に生きる」をコンセプトに、管内各地における地産品の販路拡大や、農業家が作物の生産(1次産業)から加工(2次産業)、販売(3次産業)までを手がける「6次産業化」に向けたプロジェクト「のもの 1-2-3」に取り組んでいる同グループ。その一環として自社での農産物の生産にも着手し、2014年9月、福島県いわき市に地元の農業者と共同出資で「JRとまとランドいわきファーム」を設立しました。

 そして2016年7月からトマトの出荷を開始し、9月以降、出荷量が安定してきたことから、この「JRとまと」を首都圏で本格的に展開することになったといいます。

各店舗でメニュー続々 1個350g、1000キロカロリーのハンバーガーも

 今後、JR東日本グループが運営する首都圏の店舗などで、「JRとまと」を使用した商品が次々に登場する予定です。

 ジェイアール東日本フードビジネスが首都圏の駅ナカを中心に展開する「ベッカーズ」では、ブランド誕生30周年を記念して、10月1日(土)から「熟成アンガスビーフ 『別格』ザ★プレミアムバーガー」を販売。「JRとまと」によるオリジナルケチャップが使用され、1個350g、1000キロカロリーというボリューム満点のハンバーガーです。10月いっぱい、限定4000食、1280円で販売されます。

「ベックスコーヒーショップ」では、定番サンドイッチの「B.L.Tトマト」(420円)に使用するトマトを9月から順次、「JRとまと」に変更。コンビニの「NewDays」では、「JRとまと」を使ったサラダ2種が10月18日(火)から登場します。

 このほか、JR東日本ウォータービジネスが展開する駅ナカ自販機「acure」で、これまでの「青森りんごジュース」に「JRとまと」をブレンドした「青森りんご とまとブレンド」(160円)を10月25日(火)から約2000台で販売するなど、「JRとまと」が首都圏で展開されていきます。なお、価格はすべて税込みです。

首都圏展開、トマトを売るだけが目的ではない?

 JR東日本グループが自ら農産物の生産にまで携わる背景には、何があるのでしょうか。JR東日本 地域活性化部門の笹川俊成課長は、地域に優良な農産物がありながら、生産者や生産量の減少という問題を抱えている地域の現状に接し、同じ思いをもつ農業者と連携するため、JRとまとランドいわきファームを設立したといいます。

 特にそれが設立された福島県いわき市は、東日本大震災による原発事故で農産物の風評被害を大きく受けた地域。JRとまとランドいわきファームの元木 寛社長は、「鉄道会社と組むことは、農業復興に意義深い先進的な取り組みです」と話し、今回、首都圏で本格的に展開することの目的として「いわきの人々とつくった農産品を首都圏に発信し、その商品の裏にあるストーリーをしっかり伝えることで、いわきに足を運んでもらうこと」も挙げました。

「JRとまと」は、年600トンの生産を予定。JRとまとランドいわきファームでは農産加工品の生産、販売のほか、トマト狩りやトマトジュースしぼり体験なども実施しており、JR東日本が販売する旅行商品「旅市」には、これらの体験を組み込んだツアーも発売されています。

 また、観光列車などでの「JRとまと」提供について、現時点での予定はないとのこと。ただ笹川課長によると、「地域の交流人口を拡大するうえで、鉄道事業と何らかのコラボレーションを行うことはぜひ検討したい」とのこと。今後、車内でもその味を楽しめるようになるかもしれません。