JR東日本グループのホテルメトロポリタン高崎に、「D51 498ルーム」がオープン。高崎にとって「宝物」という蒸気機関車、それを体感できるという、細部にまでこだわって作られたその部屋をリポートします。

高崎を拠点にするデゴイチ

 JR東日本グループのホテルメトロポリタン高崎(群馬県高崎市)が、2016年10月1日(土)から「D51 498ルーム」をオープンさせるのに先駆け、「デゴイチ」一色になったその室内を9月24日(土)、報道陣へ公開しました。

 部屋の名前になった「D51 498」とは、「デゴイチ」の愛称で知られるD51形蒸気機関車の498号機、という意味です。室内は、D51 498が原寸大で壁紙にデザインされているほか、窓からは高崎駅を眺めることが可能。同駅を煙をたなびかせて発車していくD51 498を、この「D51 498ルーム」から楽しむこともできるといいます。

 ちなみに、D51 498は1940(昭和15)年、鉄道省の鷹取工場(兵庫県神戸市)で誕生。1972(昭和48)年に一度引退しましたが、1988(昭和63)年に復活したのち、四半世紀以上にわたりJR東日本の高崎支社管内を中心に、「SLみなかみ」といった観光向け列車やイベント列車をけん引してきました。

入室前からある「仕掛け」

「D51 498ルーム」には、入室前から“仕掛け”が施されていました。

 その部屋の前に来ると、ドアに機関車の銘板と同じデザインで「D51 498」という“ルームナンバー”が。部屋のカードキーも専用のデザインになっており、持ち帰ることができるといいます。

 入室したのち、すぐ左側のクローゼットから特別なものになっていました。古い旧型客車にある表記をイメージしたという扉には「荷物室」の文字。それを開くと、機関車の整備に使用するスパナなどの工具が壁紙にズラリと並んでおり、“機械”らしい蒸気機関車の雰囲気が漂います。これもまた、原寸大で整備現場のものを再現しているとのこと。

 このクローゼット……ではなく「荷物室」では、上の棚にも注目です。

高いところにあって「自然」な文字列とは

「荷物室」の上にある棚には、「架線注意」という表記がされていました。

「架線」とは、線路の上に張られている電気の流れている電線。そしてこの「架線注意」の表記は、整備で車両に登ってそれに触れてしまう、といったことがないよう、注意喚起のため蒸気機関車などの上部に貼られているものです。ごくかんたんにいえば「頭上注意」的な意味であるため、「D51 498ルーム」の高いところにある棚へこの表記がされていることは、鉄道ファンにはとても自然で、また「ニヤリ」とするポイントでしょう。

 同様な「ニヤリポイント」は部屋の各所にあり、たとえば客室のドアには対応するATS(自動列車停止装置)を示す「P」「Ps」、JR東日本の高崎車両センターに所属することを意味する「高」など、実際のD51 498にある表記が再現されています。

部屋のなかで「D51 498」の体感を そのお値段は…?

「D51 498ルーム」は、22.9平方メートルの室内に幅120cm、長さ195cmのベッドが並ぶツインルームです。

 素泊まりは1室、2名利用の場合で2万5000円、1名利用は2万2000円です(税込)。加湿機能付き空気清浄機やインターネット接続(有線・無線)、温水洗浄便座付きトイレなどの設備があります。

 1泊2食でオリジナルギフトが付くプランもあり、こちらは1室、2名利用の場合で5万1498円、1名利用は3万8498円です(税込)。その価格はいうまでもなく、「D51 498」にちなんで設定したものだそうです。

 なお、オリジナルギフトのひとつとして用意されているのは、蒸気機関車の機関士が着用する「ナッパ服」がイメージされたパジャマ。男性用と女性用のフリーサイズが用意されています。

 部屋には大画面テレビとタッチパネル式ディスプレーが用意され、前者ではD51 498の出発や連結の映像などを、後者では機関車の運転台内部などを360度ビューで表示可能で、「D51 498の大迫力を五感で体感」できるといいます。

ただの変わり種ではない理由 蒸気機関車は「宝物」

 ホテルメトロポリタン高崎によると、全体の稼働率は8割ほどあるため、その意味では特に、改装で費用としばらく使えない期間を出して、このような部屋を作る必要性はないといいますが、高崎駅と同ホテルの魅力向上、群馬への観光誘致を目的に「D51 498ルーム」を設けたとのこと。

 高崎は明治時代から機関庫が設けられた「機関車の街」で、現在もJR東日本とJR貨物が機関車の拠点を設けている場所。そうしたなかこのたび高崎に登場する「D51 498ルーム」は、一見すると変わり種のようにも思えますが、高い“ご当地性”と歴史的背景が存在するものです。JR東日本高崎支社 営業部の大友信介部長は、蒸気機関車は「宝物」として大切にしていきたいと話します。

 また今後、カードキーや映像コンテンツの更新などを随時行って継続的に楽しんでもらい、リピーターを獲得することも計画しているそうです。

・ホテルメトロポリタン高崎
http://takasaki.metropolitan.jp/

【写真】回転するデゴイチ