一般的に「急行」のほうが「快速」よりも停車駅が少なく、“速い”列車です。しかしその関係性が逆転し、「快速」のほうが速い路線があります。なぜそういうことが起きるのでしょうか。そこには、それぞれの“ワケ”があるようです。

かつては「急行」が上だったが…

「特急」「急行」「快速」「準急」……。列車には、停車駅の数に応じたさまざまな種別があります。そのうち、「急行」と「快速」の双方が存在する路線では、「急行」のほうが停車駅が少ない“上位”の列車、というのが一般的ですが、なかには、その関係性が逆転しているところもあります。

 そのひとつが東武鉄道です。伊勢崎線や日光線などの東武本線系統では、「快速」は有料の「特急」に次ぐ上位の列車。北千住駅(東京都足立区)と春日部駅(埼玉県春日部市)のあいだ28.2kmを、「快速」は「特急」と同様にノンストップですが、「急行」は、途中5駅に停車して走ります。なぜ東武では「急行」と「快速」が逆転しているのでしょうか。

 かつて東武本線系統では、「急行」は「快速」よりも速く、「特急」とともに有料の列車でした。

 それが2006(平成18)年、ダイヤを東京メトロ半蔵門線、東急田園都市線との直通列車を中心とするものに変更した際、「急行」は「特急」に一本化され、半蔵門線に直通していた無料の「通勤準急」に、直通先の東急における列車種別へ合わせた形で「急行」の種別名が適用されます。

 一方、「快速」はそのままだったため、「快速」より停車駅が多かった元「通勤準急」の「急行」よりも「快速」のほうが速い、ということになったのです。

 ちなみに東武では、池袋と埼玉県西部を結ぶ東上線系統でも、「急行」より「快速」のほうが上位種別となっています。

関西でも「快速」のほうが速い路線が

「急行」と「快速」が逆転している路線が、もうひとつあります。兵庫県神戸市の市街地と六甲山地の北側方面を結ぶ神戸電鉄です。神戸電鉄に有料の列車はなく、速い順に「特快速」「快速」「急行」「準急」「普通」となっています。

「『快速』は1991(平成3)年に新設されたもので、それまでの神戸電鉄における列車種別は『特急』『急行』『準急』『普通』でした。『快速』は、『急行』よりも停車駅が少ない通勤需要に応える列車として新設しましたが、かつて神戸電鉄には『通勤急行』という種別があったため、それと混同しないよう『快速』を使ったのでしょう」(神戸電鉄)

 つまり利用者の混乱をふせぐ目的から、「急行」の上位に「快速」をあてたようです。ちなみに、日本でここだけの種別「特快速」は1995(平成7)年に新設。その後、「特急」が廃止されて、現在の種別の順番になりました。

 新しい列車種別をつくる際、もともとあった種別も考慮して、いかに利用者にわかりやすく誤解を与えないようにするか、「急行」と「快速」の関係性は、その過程で路線ごとに築かれてきたようです。今後も「急行」より速い「快速」が生まれるかもしれません。

 また「快速」は、「特急」より速い種別の意味で「快速特急」などと、形容詞的に使うこともあります。