何かが「速い」のか、その名も「高速そば」という立ち食いそば店が存在します。高速道路のSAやPAで営業している店舗でもありません。いったいなぜ、そのような名前になったのでしょうか。背景には、もっともな理由が見えてきました。

「高遠そば」ではなく「高速そば」

「高速そば」という立ち食いそば店があります。

 名前からすると、高速道路のSAやPAにあるのでしょうか。あるいは、注文したら手際よく秒速でそばが提供されるのでしょうか。はたまた、丼が高速で運ばれる回転ずしのような設備が導入されているのでしょうか。まさか、信州のそば処として知られる長野県伊那市の「高遠(たかとう)」に店名をあえて似せたのかも……。

 提供されるメニューも、一般的な駅の立ち食いそば店と大きな違いは存在せず、量が少なすぎて高速で食べ終えてしまう、というわけでもなさそうです。

 この「高速そば」、兵庫県神戸市のとある鉄道駅にあります。

関西ならではの店名?

「高速そば」は、兵庫県内を走る神戸電鉄(神鉄)の始発駅、新開地駅(神戸市兵庫区)のホーム横に所在しており、同駅で40年以上にわたって営業しています。

 運営するエキ・リテール・サービス阪急阪神に、何か「速い」ことがあるのかと聞いたところ、「特段ありません。昭和の雰囲気を残した、ごく普通の立ち食いそば店です」とのこと。では、店名の由来はどこにあるのでしょうか。

「関西の私鉄の立ち食いそば店は、たとえば阪急電鉄ならば『阪急そば』、阪神電鉄ならば『阪神そば』、山陽電鉄ならば『山陽そば』というように、電鉄会社の2文字の名称を冠しています。それに合わせて、『神戸高速そば』ではなく『高速そば』にしたのでしょう」(エキ・リテール・サービス阪急阪神)

 ただそう考えると、この店舗があるのは神戸電鉄の新開地駅であるため、「神戸そば」や「神鉄そば」になりそうなものです。しかし「高速そば」で、不思議なことはありません。実はこの神戸電鉄の新開地駅、駅施設は神戸高速鉄道という会社の所有。そのため、「神戸そば」などではなく「高速そば」になった形です。

 営業時間は、月曜日から土曜日は6時より22時30分、日曜祝日は7時から20時まで。「最も多いのは、朝の出勤前に利用されるお客さま」(エキ・リテール・サービス阪急阪神)だそうで、「高速そば」、その朝は“早い”ようです。