『テルマエ・ロマエ』が大ヒットした漫画家、ヤマザキマリさんは、逆境をものともせず、たくましく生きる男たちの映画を紹介。ヒトのあり方や美徳を問う作品が集まりました。



※ピックアップ作品は、2012年末に発行された『シネマハンドブック2013』掲載のものとなります。ご了承ください。


ヤマザキマリが選ぶ「ヒトの精神力と生命力の強さを感じる映画」5本



スラムドッグ$ミリオネア




第81回アカデミー賞(R)で作品賞ほか全8部門を受賞。国民的クイズ番組に出演したスラム出身の青年の快進撃が、彼のたどってきた波乱万丈の人生とともに描かれる。



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キャスト・アウェイ




キャスト・アウェイ




『フォレスト・ガンプ 一期一会』の監督&主演コンビが再タッグを組んだヒューマンドラマ。墜落事故で無人島に漂着した男の、生還するための孤独な闘い。



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パピヨン




パピヨン




殺人罪のぬれ衣で孤島の刑務所に送られた主人公パピヨンが、13年に及ぶ刑務所生活を強いられながら、不屈の闘志で脱獄に挑む姿を徹底したリアリズムで描く。



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無能の人




無能の人




つげ義春の同名漫画を俳優の竹中直人が映画化。多摩川の河原で石を売る男とその家族を中心に、現代社会から落ちこぼれた人たちを温かく見つめた人間ドラマ。



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デルス・ウザーラ




デルス・ウザーラ




第48回アカデミー賞®外国語映画賞を受賞した黒澤明監督による感動の叙事詩。シベリアのウズリ地方を舞台に、厳しい自然の中で育まれる測量隊と現地人の友情。



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『スラムドッグ$ミリオネア』―前に進んでいくしかない子どものエネルギーに圧倒された



『スラムドッグ$ミリオネア』

『スラムドッグ$ミリオネア』




子どもが、子ども扱いされていない世界でストイックに生きる映画が好きなんですが、この映画は、悲嘆に暮れる間もなく前に進んでいくしかない子どものエネルギーに圧倒されました。エンターテインメントとしても完成度が高く、人を飽きさせずにサービス精神を出し惜しみしないエネルギッシュさはものづくりをしている身として勉強になります。スラム生活の経験値が大きな教訓となるというテーマですが、辛い思いをしてきたおかげでお金がもらえて何が悪い! 観終わった後は爽快感を味わえるはず。1粒で2,000キロカロリーぐらいの映画です(笑)。



『キャスト・アウェイ』―チャックの浦島太郎的な心境は、私も日本に帰るたびに感じる



『キャスト・アウェイ』

『キャスト・アウェイ』




ポルトガルで観たんですけど、それまで私も家族もハリウッド映画ってあまり観なかったんですよ。ただ、これはハマっちゃって。チャックがバレーボールのウィルソンと別れるシーンはどれだけ号泣したことか! つくづく人間は孤独がダメな生き物なんだなと感じますよね。結局彼は無事にアメリカへ帰ってくるわけですが、そこで抱く浦島太郎的な心境は私も日本に帰るたびに感じます。特に日本は変化の速度が速いし。ロビンソン・クルーソーみたいな話だけど、その背景に資本主義って何だろう? というメッセージが垣間見られたのもよかったです。



『パピヨン』―映画を通して、人間が自由を求める執念のすさまじさを感じた



『パピヨン』

『パピヨン』




子どものときに観て、“人って拘束されたらいけないんだ”と感動しました。先日も、イタリアで87歳の男性が老人ホームを脱走したニュースを見ましたが、理由が『あんな老人ばかりの場所にいられない!」(笑)。いいですねぇ。『パピヨン』には、人間が自由を求める執念のすさまじさを感じますし、主人公が脱獄し普通の社会に戻ったところで幸せになれるかを定義づけしてないのが素晴らしい。漫画にしてもそうですが、ここ数年、説明過剰な作品が多いですよね。『パピヨン』のように“余韻”のある作品こそ、今の時代には必要だと思います。



『無能の人』―生命力の強さが醸す哀れさという意味で興味深い作品



『無能の人』

『無能の人』




イタリアでド貧乏生活しているときに観ました。元々つげ作品は大好きですが、映画にもハマりまして。石を売るって究極ですよね。何でも商売にしてやろうという気迫がすごいのと、破綻しそうなのに絶対死ぬところまではいかない。結局生命力が勝つということだし、死にそうな人間だからこそ醸せる美徳がある。だから、極限に追いやられても悲観しなくてもいい。生命力の強さが醸す哀れさという意味で、とても興味深い映画ですし、ドラマチックどころか、暗くてしょぼい自分に酔いしれるのもいいじゃない? と問いかけるような作品だと思います。



『デルス・ウザーラ』―デルスにとっては樹も火も動物もすべて“人”なんです



『デルス・ウザーラ』

『デルス・ウザーラ』




イタリアでは、黒澤明というと『羅生門』でも『乱』でもなく、この作品。海外における知名度はスゴイです。主人公デルスはシベリアのタイガに一人で生きているんですが、彼にとっては樹も火も動物も“人”なんです。測量隊も、観ている私たちも彼の存在に引き込まれるし、自然を敬うデルスを見ていると、人間だからと驕ってはダメだと思えるし、何事にも謙虚になれる。測量隊を案内中に夜になり、凍死しそうになるシーンがあるんですが、デルスは草を集めて小屋を作ります。そのたくましさに感銘を受け、長男にデルスという名前をつけました。


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プロフィール





ヤマザキマリ



1967年東京都出身。17歳で日本を離れて以来、世界を転々としながら漫画を描きつづけてきた。'10年、『テルマエ・ロマエ』がマンガ大賞2010や第14回手塚治虫文化賞短編賞を受賞。








山崎まどか

山崎まどか

「女子パワー炸裂の ガールズムービー」10本


細田守

細田守

「渋い子どもを描いている映画」10本


深川栄洋

深川栄洋

「今を生きる、少女を女優にした映画」10本


氷川竜介

氷川竜介

「明日からモノの見え方が変わるアニメ映画」10本








西村賢太



「横溝正史原作の映画」10本










花沢健吾



「愛すべきダメ男が登場する映画」10本










玉袋筋太郎



「車離れしている人たちに観てもらいたい映画」10本










竹中直人



「チャーミングな女優が出ている映画」10本










渋谷紀世子



「VFX業界に入るきっかけとなった作品と映像的に影響を受けた作品」10本










椎名 誠



「SF好きも思わずうなる 傑作SF」5本










坂井真紀



「子どもが輝いている映画」10本










KENCHI



「男の生きざまを感じる映画」10本










クリス・ペプラー



「現実と“もうひとつの世界”との境目を楽しむ映画」10本










ガッツ石松



「人生や社会について考えさせられる映画」5本










新井浩文



「出演したかった映画」5本










和田竜



「最高にカッコイイ男が出てくる」5本










福田雄一



「愛すべきダメ人間が笑える」7本










ダイアナ・エクストラバガンザ



「女の在り方、生きざまを描いた」9本










谷垣健治



「映画『るろうに剣心』のアクションの“素”」11本










コトブキツカサ



「TSUTAYAだけで借りられる悲しくても涙だけじゃない」5本










熊切和嘉



「兄弟の固く、もろい絆を描いた」5本










黒木華



「夜に一人で観たい」10本










大根仁



「大人の胸キュン映画」8本










入江 悠



「激シブなオッサンに 憧れてしまう」10本










和月伸宏



「傑作アメコミ映画」マイBEST10










辻村深月



「青春と思春期の光と残酷さを描いた」傑作9本










関根勤



「ロバート・デ・ニーロを堪能する」9本










桜庭一樹



「女二人の危うい絆を楽しむ」10本










綾辻行人



「驚愕の結末が楽しめる映画」10本






いとうせいこう





いとうせいこう



TSUTAYA「発掘良品」からの発掘6本






栗原類





栗原類



「観るたびに味が出る」10本






武井壮





武井壮



「人生の扉を開いてくれる映画」9本






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