『ハドソン川の奇跡』ってどんな映画?



乗客乗員155名を乗せたUSエアウェイズ1549便が離陸直後、鳥の群れの衝突によって、わずか850メートル上空で両エンジン停止というアクシデントに見舞われてしまう。サリーの愛称で仲間たちから絶大な信頼を得るベテラン機長のチェズレイ・サレンバーガーは、唯一の生還手段としてハドソン川への不時着水を決行。無事に全員の生命を救ったが…。2009年1月15日、極寒のニューヨークで実際に起こった航空事故とその後の顛末を描く。



観るべき理由:1――クリント・イーストウッド監督、86歳にしてまたまた傑作



現在86歳にして、現役最高峰の映画監督。それがクリント・イーストウッドだ。昨年、『アメリカン・スナイパー』でキャリア最高の興行収入を記録したばかりの彼が、最新作の題材に選んだのは、「155人の命を救いながら、乗客を危険にさらした罪で容疑者になった男」の物語だった。人命を救ったはずの“英雄”が、過失責任を問われる不条理。巨大組織との対決を余儀なくされる一市民の苦悩とは?



常に有名、無名を問わず、信念を胸に戦い抜くヒーロー、ヒロインを見つめ続けたイーストウッド監督だからこそ、描き切ることができる人間の尊厳がここにある。全編IMAXカメラでの撮影を行うなど、新たな挑戦も含めて「まだ傑作を作るつもりですかっ!」と思わずうなってしまう一作に仕上がった。



観るべき理由:2――決断の208秒に何があったのか? エンタメ性もたっぷり



それだけに、もし本作に対して「普段あまり洋画は見ないし、ちょっと敷居は高いな」と感じているとすれば、それはとってももったいないこと! アカデミー賞の常連である監督の骨太な人間ドラマであると同時に、トラブル発生からハドソン川への不時着水に至る208秒間に何があったのか?…という実は機長と副操縦士しか知りえない事実をめぐるサスペンスが緻密に描かれており、エンタメ性もたっぷり。「不時着水せず、空港に戻れたはず」と主張する国家運輸安全委員会との静かなるバトルにも、手に汗握るはず。全米で大ヒットを記録しているのはその証拠だ。



何より主人公サリーと、副操縦士のジェフが仕事に対し、揺るぎないプライドを持ち続けようとする姿勢には、誰もが考えさせられる。彼らが成し遂げた偉業は特別だが、彼ら自身は普通の人間なのだ。



観るべき理由:3――トム・ハンクス&アーロン・エッカートが語る、イーストウッドの「ここがスゴイ!」



先日、プロモーション来日を果たした主演のトム・ハンクス(チェズレイ・“サリー”・サレンバーガー役)、共演するアーロン・エッカート(ジェフ・スカイルズ役)を直撃! ともに初めてのタッグを組んだクリント・イーストウッド監督の“すごさ”を語ってくれた。



サリー役のトム・ハンクス、ジェフ役のアーロン・エッカート

サリー役のトム・ハンクス、ジェフ役のアーロン・エッカート




トム・ハンクス:クリントの現場は素晴らしいの一言だよ。アメリカの映画史を振り返っても、彼ほど洗練された監督はいない。現場では俳優に何かをくどくど説明したり、指示はしないし、俳優にも議論や相談は求めないタイプなんだ。現場に現れて「じゃあ、どうぞ」とカメラを回すだけ。テストもほとんどないから、時間の無駄が一切なく、そこにはエネルギーと集中力だけがあるんだ。クリントとなら今後、何十本でも一緒に映画を撮りたいよ。



アーロン・エッカート:まったく同じ意見だね。僕の目には、まるで苦労なく現場で演出をしているように見えるんだ。その理由のひとつは、入念な準備をしているクルーたちとの信頼関係が築かれているから。クリントが尊敬されているのはもちろん、彼もクルーに敬意を示している。だからこそ、いざ現場入りすれば、家族の一員になれたような気分になれるし、自然と「最高の仕事をしたい」と思えるんだ。映画界のアイコンと仕事ができて光栄だったね。



(撮影・文:内田涼)


映画『ハドソン川の奇跡』

9月24日(土)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー他全国ロードショー





監督:クリント・イーストウッド(『アメリカン・スナイパー』『硫黄島からの手紙』)

キャスト:トム・ハンクス(『ダ・ヴィンチ・コード』『フォレスト・ガンプ/一期一会』)、アーロン・エッカート『ダークナイト』、ローラ・リニー他

配給:ワーナー・ブラザース映画