26日、都内で第29回東京国際映画祭(10月25日〜11月3日まで開催)のラインナップ発表記者会見が行われ、上映される作品が一挙に発表された。当日はゲストとして、コンペティション部門に出品される『アズミ・ハルコは行方不明』で主演を務めた蒼井優、同作のメガホンを取った松居大悟監督、同じくコンペティション部門に出品される『雪女』で主演を務めた青木崇高、そしてアニメーション特集「映画監督 細田守の世界」から細田守監督が登壇。『アズミ・ハルコは行方不明』で主演した蒼井は、出演を決めた理由について、劇中で行方不明になる自身の役柄が「楽かもしれないと思ったから」と明かした。



今年で29回目を迎える東京国際映画祭は、誰もが参加したくなる映画祭をコンセプトに、国内外へ向けた映画の情報発信基地として、クリエイターに陽を当て、世界へ羽ばたくステージを作ること、そして未来の映像作家・映画ファンの創出を目指す映画祭。コンペティション部門でグランプリを狙う『アズミ・ハルコは行方不明』で主演した蒼井は、出演を決めた理由について、「事務所から『アズミ・ハルコは行方不明』のアズミ・ハルコ役と言われて、主演だけど行方不明なのか…。これは楽かもしれない!と正直思いました(笑)。そしたら意外と出番があって、そんなに甘いものではなかったんですけど」と冗談交じりにコメント。



続けて、「引き受けさせて頂こうと決めたのは、まず脚本が面白かったからです。原作者の山内真理子さんが、女性だから分かる、女性のひどさや情けなさ、たくましさなどの色々なことを、多くの女性に『イタタタ』と思いながら見ていただけるように描いてらっしゃって、脛の傷を愛おしく思える、そんな作品になるなと。そして、男性が見るか女性が見るかで、感想やシーンの受け取り方が違う作品になる、これは面白い!と思って出演を決めました」と明かした。



同じくグランプリを狙う『雪女』で主演した青木は、「日本人だったらだいたい知っている雪女なんですが、また一つ深い解釈がある。外国の方が見たとしても、普遍性のあるストーリーがベースになっているので、とても入りやすく、ぐっと心を掴まれる。なんというか…人間が見えるストーリーになっている、とても面白い映画です」と作品の出来に自信をのぞかせていた。



蒼井は、コンペティション部門に選出されたことについて、「松居監督が東京国際に賭けると言って、もう一つの映画祭を丁重にお断りさせていただいたと聞いていたので、『これで選ばれなかったら、どうなっちゃうんだろう』っていう(笑)。松居監督は、落ち込んだらとことん落ち込むので、良い方も悪い方の結果も、両方どう対処しなければ考えなきゃいけないなと思っていたんですが、松居監督の思いが通じて、本当にほっとしております」とにっこり。


















初めて特集を組まれた細田監督は、「DCPというデジタル上映ですから、良い状態で上映してくださるんじゃないかと楽しみです」とコメント。さらに、「テレビだったり短編もあるんですが、自分の中では、どこか短編映画のようなつもりで作っていたような気持ちがあります。『おじゃ魔女どれみドッカ〜ン!』の40話は、僕らは作りながら秋のアニメフェアと呼んでいたんです。(上映された)東映アニメフェアは、春と夏しかないんですけど」と懐かしそうに過去作を振り返った。



また、是枝裕和監督や堤大介監督を含む多彩なゲストとの対談については、「いま現在、映画というものを、この日本の中でどのように作るかという問題意識みたいなものを、この間もお会いしてお話したんですけど、さらにそういう話を深めていければなと思っています」と楽しみにしている様子。ロシアの記者から、国内外での人気の秘密について質問を受けると、「日本だけじゃなくて、色んな国の人にとっても共通する、人間だったら共通する悩み・問題について、描くようにしていることかもしれません。例えば、僕の作品だったら、家族というものについて描きます。家族というものは、各国それぞれ在り様は違うかもしれないけど、今の日本で家族をどう描くかということが、面白く、共感される形で伝わっているのではないかなと思います」と語り、影響を受けた作品については、「ディズニーの『美女と野獣』です」と答えていた。



昨年のブライアン・シンガー監督に続いて、コンペティション部門の審査委員長を務めるのは、『青い夢の女』などで知られるジャン=ジャック・ベネックス監督。審査委員は、『エヴェレスト 神々の山嶺』の平山秀幸監督、『天使が消えた街』などに出演してきた俳優のヴァレリオ・マスタンドレア、アカデミー賞で作品賞に輝いた『スポットライト 世紀のスクープ』のプロデューサーとして知られるニコール・ロックリン、『宋家の三姉妹』のメイベル・チャン監督が務める。また、同映画祭の顔であるフェスティバル・ミューズには、監督特集が組まれている岩井俊二監督の最新作『リップヴァンウィンクルの花嫁』で主演を務めた女優の黒木華が選ばれた。



第29回東京国際映画祭の主な上映作品は下記の通り。



【オープニング作品】



『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』/監督:スティーヴン・フリアーズ



【クロージング作品】



『聖の青春』/監督:森義隆



【コンペティション部門】



『7分間』/監督:ミケーレ・プラチド

『誕生のゆくえ』/監督:モーセン・アブドルワハブ

『天才バレエダンサーの皮肉な運命』/監督:アンナ・マティソン

『ビッグ・ビッグ・ワールド』/監督:レハ・エルデム

『ブルーム・オブ・イエスタディ』/監督:クリス・クラウス

『アズミ・ハルコは行方不明』/監督:松居大悟

『ダイ・ビューティフル』/監督:ジュン・ロブレス・ラナ

『ミスター・ノー・プロブレム』/監督:メイ・フォン

『フィクサー』/監督:アドリアン・シタル

『パリ、ピガール広場』/監督:モハメド・ブロクバ

『私に構わないで』/監督:ハナ・ユシッチ

『空の沈黙』/監督:マルコ・ドゥトラ

『サーミ・ブラッド』/監督:アマンダ・ケンネル

『雪女』/監督:杉野希妃

『シェッド・スキン・パパ』/監督:ロイ・シートウ

『浮き草たち』/監督:アダム・レオン



【特別招待作品】



『ザ・ネオン・デーモン(原題)』/監督:ニコラス・ウィンディング・レフン

『いきなり先生になったボクが彼女に恋をした』/監督:朝原雄三

『種まく旅人〜夢のつぎ木〜』/監督:佐々部清

『イタズラなKiss THE MOVIE〜ハイスクール編〜』/監督:溝口稔

『バース・オブ・ネイション』/監督:ネイト・パーカー

『この世界の片隅に』/監督:片渕須直

『マイ・ベスト・フレンド』/監督:キャサリン・ハードウィック

『ミュージアム』/監督:大友啓史

『メッセージ』/監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ



【映画監督 細田守の世界】



『バケモノの子』

『おおかみこどもの雨と雪』

『サマーウォーズ』

『時をかける少女』

『村上隆作品 SUPERFLAT MONOGRAM』

『村上隆作品 The Creatures From Planet 66 〜Roppongi Hills Story〜』

『明日のナージャ』(OP、ED)

『おじゃ魔女どれみドッカ〜ン!』(40話)

『劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』

『劇場版 デジモンアドベンチャー』



(取材・文:岸豊)