4日、都内で第29回東京国際映画祭の「JAPAN NOW」部門の記者会見が行われ、監督特集を組まれた岩井俊二監督が、椎名保(東京国際映画祭ディレクタージェネラル)、安藤紘平(「JAPAN NOW」部門プログラミング・アドバイザー)と共に登壇。岩井監督は自身の海外での人気について「自分でもこうなるとは全く思っていなかった」と語った。



岩井監督が特集を組まれたのは、現在の日本を代表する作品の数々を、映画祭独自の視点でセレクションする「JAPAN NOW」部門。同部門で5本(『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』『Love Letter』『スワロウテイル』『ヴァンパイア』『リップヴァンウィンクルの花嫁』)が上映されることとなった岩井監督は「5つの作品を上映してもらえるということで、非常にうれしく思っています」とコメント。海外での人気については「自分でもこうなるとは全く思っていなかったです。『Love Letter』を作るまでは、お隣の韓国にも行ったことがなかったですし、どんな人が住んでいるのかも見当が付かないくらい、ピンとも来ていませんでした。映画というものを通して、中国、韓国、香港、台湾、マレーシア、シンガポール、タイなど、アジアの色々な国と交流させていただく機会があって、たくさんの友達ができました」と自身のキャリアを振り返りながら、喜びの表情を見せた。



さらに「先日も、韓国にキャンペーンで行ってきたんですけど、キー局のニュースに招待されまして、後で聞いたら、ポリティカルなことなどがあってということなんでしょうけど、日本人としては初めてニュースに出たと言われて「え」って感じでした。僕自身は意識していないんですけど、気が付くと、架け橋的な立場に置かれることが多くて。こんな自分がやっていて荷は重いんですけど、そういう運命の下に生まれたと観念しながら、結局は映画を作って見せるということしかできないんですが、自分なりにやれることは頑張ろうと思っています」と続けた。














海外の記者から、映画市場が急速に拡大中の中国と、共同で映画を製作する方針があるか問われると「すでに、プロデュースなどの立場でいくつか一緒にやっているんですけど、中国は本当に市場が拡大しています。色々な映画のバリエーションが増えるということは、僕のようなタイプの映画も作りやすくなるというか、映画市場が盛り上がってくれた方が、アート映画はやりやすくなるものです。そういう意味では、色々な可能性があると思います」と回答。



続いて「ロシアはどうか?」と記者から 問われると「一度、モスクワ映画祭に招待していただいて、あとは少ない機会ですが、ロシア映画を映画祭の審査員として拝見していて、非常にクオリティが高いし、良い意味ですごくゴージャスな…。ドストエフスキーではないですが、割と大作が多い印象があります。ロシアの人たちは、長い物語が好きだと聞いたことがあって、僕のテイストとも近い気がするので、もしその機会が与えられたら、ぜひ。やれるものなら、やってみたいですね。機会をください(笑)」と答えた。



『花とアリス殺人事件』など、アニメ作品でも活躍を見せる岩井監督は、今後もアニメ作品を作っていくのかについて尋ねられると「日本のアニメーションとは作り方が違う、岩井流のアニメの作り方なんですが、今でもチームがあって、ミュージッククリップを製作中なんです。僕は絵も描くものですから、絵描きも楽しみで、実は(アニメも)ものすごくやりたいです。実写もやりながらアニメもやりたいと、欲張りにも思っています(笑)。『花とアリス殺人事件』は、今年ヨーロッパの方で上映していただいたという流れがありますし、現状ではヨーロッパではアニメ監督だと思われていると思いますので(笑)、そちらのファンにもぜひ、アニメをお届けしたいなと思っています」と前向きな様子。



映画祭については「監督としては、意外とリラックスして、映画ファンや評論家の方と向かい合って、一緒に映画を見て楽しめるような場所。劇場公開時には、言い知れぬプレッシャーがありまして(笑)、なにも楽しめないんですけど、こういう機会はちょっとバケーションに近いくらい、楽しみでしかない。そんな感じですね」とにこやかに答えていた。



(取材・文:岸豊)