『陽だまりの彼女』(13)以来3年ぶりの主演映画となる上野樹里が、自分のペースで日々の暮らしを大切に生きる主人公の女性・彩を伸びやかに演じた映画『お父さんと伊藤さん』が10月8日(土)に公開する。公開に先立ち、主演の上野樹里とタナダユキ監督が登壇する公開直前試写イベントが実施された。



今までは、『のだめカンタービレ』『陽だまりの彼女』のような作品で、キラキラしたヒロインを演じてきた上野樹里が、本作では、30代・独身女性のリアルを見事に体現。タナダユキ監督とともに、撮影や思い出のシーンを振り返るとともに、”家族”を描く本作の見どころをたっぷり語った。





約800名の応募の中から選ばれた約40名の観客に迎えられながら、2人が登場。監督から「楽しんでいただけましたか?」という問いかけに、温かな拍手が会場を包み込んだ。



まず、監督より原作について「親が老いていく瞬間を感じるときがあるが、老いていく親とどう向き合うのかは日本の社会問題とも言える。それをオオゴトとしてではなく、誰にでも起こりうる普通の人たちの話で、軽やかにユーモアを交えて描いている作品だったので、これは映画化したら面白くなるのではと思いました」と映画化のきっかけを説明。



印象に残っているシーンについて監督は、「彩がお父さんに小言を言われて朝食を食べるシーンで、(小言を言われているので)ボソボソ食べるのかなと思いきや、彩はモリモリ食べていて(笑)。まずそれにすごく感動して、これが彩という人の生命力だと感じたし、そのような行動には彩なりの理由があり、それがすごく伝わったので“コレだ!”と思った。(上野さんの演技は)私の想像を軽く飛び越えてくれる」と、上野の演技や表情に撮影現場では毎日新たな発見があったこと、上野さんの感性が作品にたくさん反映されていることを話すと、上野も「食卓の家族のシーンは好き。あと、お父さんと伊藤さんの3人でボーリングに行くシーンが好きで、植木鉢をお父さんが『僕が払う』って買うシーンで、現場でカットがかかってから涙がボロボロ泣いてしまった。そんな話を取材時に話していたら取材陣の女性の方も一緒にボロボロ泣いてしまって」と、女性からの共感度が高く、何気ない場面でグッときてしまったエピソードを披露。



本作で30代のリアルな女性を演じたことに関して、上野は「彩の一言一言が現代に生きる人に親近感を持ってもらえるような飾らない言葉が魅力だと思う。お父さんと伊藤さんの3人の関係性は一見いびつだけど、実は誰にでも当てはまる話。彩は彩なりに地に足をつけて、「これが私の生き方なんだ」と、そういう彩を楽しんで演じられました」と役に対する思いを語った。



監督は「今まで上野さんが演じられてきた役はどこかキラキラしたものがあったので、この彩という主人公どう演じるんだろうとすごく興味があったんです。意外だったのがクランクイン前から生真面目に役のことを色々と考えてきてくれていて、(監督である)私よりも深く彩のことを考えてくれていました。でも、考えてきたことを曲げないわけではない。相手のお芝居を見て、どんどん変化させられる。もう1テイクというときのお芝居が、上野さんも藤さんもリリーさんも3人がお互いの呼吸を感じてお芝居をしているので、全く同じにならない! それがすごく面白かった」と、上野さんのことを「役者として最強」と本人を目の前に、照れながらも大絶賛!!



観客からの質疑応答で彩という役とご自身との共通点を聞かれた上野は「生きることにシンプルで、嘘がない。自分が決め道を自分で信じて、自分の中で満足しながら生きている」ことだと答えると、監督から「興味があると思ったことに突き進むところや料理が上手いところも似ている。日常でも料理をしていらっしゃるのがよく分かったので安心して撮影できた」と、役者としてだけでなく、女性としても“最強”であると賞賛。



最後に監督から「公開前に見て下さった方は一緒に宣伝部として拡げてください!」、上野からは「3世代、すべての世代の物語が入っているので、どの世代の方でも楽しんで見てもらえるし、また2回目を見ると違う視点で見れて、色んな味わい方ができる映画です! 家族は良いことも悪いことも色々あるけど、皆さんの家族のカタチを3人に投影しながら、本作を見て頂いて家族について考えるきっかけになれたら嬉しいです」と本作が持つ力と、公開へ向けての期待に目を輝かせながら話していた。


映画『お父さんと伊藤さん』

10月8日(土)より、新宿バルト9他全国ロードショー





出演:上野樹里 リリー・フランキー/長谷川朝晴 安藤 聖 渡辺えり/藤竜也

原作:中澤日菜子『お父さんと伊藤さん』(講談社刊)

脚本:黒沢久子 監督:タナダユキ

助成:文化庁文化芸術振興費補助金

企画協力:講談社「小説現代」制作プロダクション:ステアウェイ オフィスアッシュ

企画・製作・配給:ファントム・フィルム