8日から公開となった『お父さんと伊藤さん』。お父さんに藤竜也。伊藤さんにリリー・フランキー。二人に挟まれながら物語をリードする34歳の主人公・彩に上野樹里。魅力的なキャストで描かれるのは年の差20歳の同棲中カップルと、そこに突然やってきた、さらに20歳年上のお父さんとの予測不能な(?)共同生活。第8回小説現代長編新人賞を受賞した中澤日菜子の『お父さんと伊藤さん』(講談社刊)をタナダユキ監督がリアルな息遣いで映画化。愛すべき映画に仕上がった。監督と上野樹里に撮影秘話を聞いてみると――。



―原作や台本を読まれたご感想は?



タナダ:プロデューサーから原作を渡されて、映画化を前提に小説を読むと、いろいろ考えてしまうので純粋に楽しめないのですが、すごく面白かったんです。



―どんなところですか?



タナダ:まず、主人公の彩が人の好き嫌い、特に嫌いが激しいところに共感しました。それと自分の父親が死んだ時、自分は泣けるんだろうかと自問自答するところがあるんですね。そこにドキッとさせられて。これはちょっとやってみたいなと思って『四十九日のレシピ』を一緒にやった黒沢久子さんに脚本をお願いしました。



上野:私は先に台本を読んだのですが、お父さんが突然、伊藤さんと彩が住んでいるアパートに転がり込んできますよね。最初はこんなことあるかなと思ったんです。でも、読んでみると派手なストーリー展開があるわけではないのに、すごく面白くて。女性のリアルな台詞がたくさんあって、これまでそういう役はなかったので楽しみでした。



―彩は言いづらい台詞をサラッと言いますよね。お父さんがいなくなった時、心配する伊藤さんに「本当は伊藤さんもホッとしているんでしょ。そういう時だけ、いい子ぶるのずるいよ」とか。子どもはどうするんだと言われた時の反応だとか。



上野:そうですね。そんなしっかりと自分を持った彩が翻弄されるぐらい、周りの人たちのキャラクターが強いんです(笑)



(C)中澤日菜子・講談社/2016映画「お父さんと伊藤さん」製作委員会

(C)中澤日菜子・講談社/2016映画「お父さんと伊藤さん」製作委員会




―原作を読むと、もっとシリアスになってもおかしくない話ですが、監督のユーモアと上野さんの…



タナダ:そうなんです。上野さんの持っている「陽」の感じが出ていて、それがすごく良かったと思います。お父さんからすれば、人生の最後をどうするのか。彩からすると、老いていく親とどう向き合うのか。結構重いテーマもあるのですが、自分のことのようにクスっと笑える感じになって「そこまでシリアスに受け止めなくても、なるようにしかならないよ」ぐらいの感じに受け止めてもらえたらいいなと思って。それができたのは脚本や音楽、役者さんたちの力が大きかったなと思います。



上野:こういうお話だからこそ、あまり重くならない方がいいかなと。お父さんを集中攻撃するのもどうかと思ったし、思春期の娘とお父さんの関係でもないので。藤さんのお父さんが思った以上にチャーミングだったところにも助けてもらいました。



―本当にチャーミングでした。



上野:家で完成した映画を2回目に観た時、ボーリングの場面でお父さんがガーター出すじゃないですか。あのあたりから涙腺が崩壊しちゃって(笑)。お父さんが、かわいいじゃないですか。娘が自分を1日遊びに連れ出してくれたから、いいところ見せようと思って、お父さんなりに真剣に狙っているのにガターン!ってすごい勢いでガーターになっちゃって(笑)。



―あの場面、おかしいです。



上野:ガーター出したら、すぐ横で見知らぬ子どもがストライク出してイエー! とか盛り上がっていて(笑)。伊藤さんも全然空気読まないし(笑)、お父さんがどんどん傷ついて、帰るとか言い出しちゃって。もう切なすぎて泣けてきちゃって(笑)。ボーリングって逃げ隠れできないじゃないですか。いつも藤さん、キューピーちゃんみたいな髪型にわざとセットしていたんですけど、その感じもチャーミングに見えてくるんです。そういう温かい感じで涙をそそられる映画になっていて、よかったなと思います。



タナダ:撮影の時は実際、藤さんの方がストライクを出して、その日リリーさんはあまり調子が出なくて。だから、劇中で伊藤さんがストライクを出して喜んでいるのは、本気で喜んでいるんです(笑)でも、リリーさん、本当はうまいんですよ。『東京タワー』にも書かれていますけれど、笹塚ボウルの上に住まれていたから。



上野:色々なバランスに落とすことができる原作で、娘と父親の合わない感じをもっと深刻にもできたと思うんです。でも、詰め込んで作りすぎるよりは、ちょっと余白を残す作りの方が、結果としていろいろなタイプの人たちが自分の家族を投影しやすいかなと。すごく仲が悪いわけでも、良すぎるわけでもない。いろいろな人に当てはまる映画になったかなと思います。



毎テイクが新しい贅沢な撮影現場



―上野さんの彩、いいですよね。



タナダ:そうなんですよ。撮影当時まだ29歳だったのですが、ちゃんと34歳のリアリティを出してくれて。34歳っていろいろ諦めたり傷ついてきてもいて、芯はあるけど、まだ揺れる部分もある。その加減がすごくよかったですね。



上野:彩という人のマインドが脚本を読んで、ちゃんと見えたので。お父さんがどのぐらいの感じで来るのかによって、ギスギス加減が変わっていくと思うのですが、藤さんのお父さんもリリーさんの伊藤さんも憎めない人たちだったので、この映画の仕方のない感じになったところはあります(笑)。



(C)中澤日菜子・講談社/2016映画「お父さんと伊藤さん」製作委員会

(C)中澤日菜子・講談社/2016映画「お父さんと伊藤さん」製作委員会




―撮影現場で役者さんがやってみたのを見て、監督が「ああ、こうなるんだ」と気づかれるところもありましたか?



タナダ:それはもう毎日でした。常に発見があって。私はあまり細かいことを役者さんに言わないんですけれど、役作りをきちんとされつつもそれに固執することなく、役者さん同士の反応を大事にお芝居される役者さんたちなので、テイクを繰り返すと一度として同じにはならないんです。それが面白いんですよ。最初のテイクでもいいんだけど、私も言葉にできないような何かが、この役者さんたちなら出るかもしれないなと「もう1回」と廻してみると、毎回、新鮮な空気をお互いに感じながらやってくださって。毎日すごく贅沢なことがやれているなと思って見ていました。



―本番前のテストはどのぐらいなさるんですか?



タナダ:数回ですね。できれば、早く(カメラを)廻したくて。今回、ヘリが結構飛んでいて、お芝居はいいのにヘリの音で「もう1回」となることの方が多かった気がします。



―息遣いが生っぽいですものね。



タナダ:本当はいきなり本番にいきたいぐらいなのですが、テストはスタッフにとっての大事な確認でもあるので。一度撮った場面のアングルを変えて撮影する時は、段取りがわかっているので、すぐに本番に入ることが多いです。



―役者さんの力でからっと明るくなっているところもあると思うのですが、タナダ監督の描く女性像って、自分の責任をちゃんととろうとしますよね。そのせいもあるのかなと思います。



タナダ:とろうとしているというか、最終的には考えすぎてもしょうがないよねという境地というか(笑)



上野:監督の現場は居心地が程よくて、ストレスがなかったですね。キャストもそうですし、スタッフもすごく多いわけでもないし。芝居に入る時の空気感も静かすぎて緊張することも、わいわいダレることもなくて、普段のまま撮影ができました。



なんともいえない伊藤さんの魅力



―原作の伊藤さんは色っぽい人ですね。リリー・フランキーさんはぴったりだと思いました。



タナダ:原作を読んだ時から、リリーさんだと思っていて。そうしたら、この前、舞台挨拶でご一緒した時に「じゃあ俺は給食のおじさんだと思われていたのかな」って(笑)。そっちよりは精神的に自立した人というところなんですけれど(笑)、きっと伊藤さんは彩のことを年下でかわいいというだけでなく、彩の欠点も「この人、面白いな」と面白がれる人なんじゃないかと。だから、彩の背中を押す部分もあれば、余計なひと言を言っちゃうところもあるんだろうなと思います。



―わりと厳しいことを静かに言いますよね。



タナダ:伊藤さんはバツイチという設定で、人生において家族に対する後悔があるから、普段は「人は人」とそれぞれの自立性を重んじるタイプだと思うんですけれど、伊藤さんなりにここぞという時は、彩の機嫌が悪いとわかっているのに敢えて言ってしまって余計に彩の機嫌が悪くなるんです(笑)。リリーさんはいつもリラックスして現場にいて下さって、三鷹で撮影していた時も、空き時間にふらりと吉祥寺の有名なコロッケをご本人がわざわざ並んで買ってきてくれて。それでも時間が余ったらしくて、シュークリームも買ってきてくれて(笑)。



(C)中澤日菜子・講談社/2016映画「お父さんと伊藤さん」製作委員会

(C)中澤日菜子・講談社/2016映画「お父さんと伊藤さん」製作委員会




―伊藤さんっぽいですね。



タナダ:実年齢も上野さんとも20歳ぐらい離れているのですが、年下だからって下に見ない感じも伊藤さんらしくて現場でもしっくり来ていたなと思います。



―彩のことを“彩さん”とさん付けで呼ぶのがいいですね。



タナダ:そうなんですよね。彩をちゃんと自立したひとりの人間として見ているんだと思います。



―最初、彩のナレーションで伊藤さんは「人生の落伍者」と言われているじゃないですか。一方で、お父さんは元教員で社会的にエライ人なんだけど、二人の見え方が映画が進むうちに変化していくのが面白いです。



タナダ:お父さんは教員で、だからこそ子どもたちは厳しく育てて、彩はその反発心があったんだろうなと思います。伊藤さんは今は給食のおじさんのアルバイトをしていて、社会的地位が高いわけではないんだけど、生きる力はやたら強い人というか(笑)



上野:伊藤さんは彩とぶつかることはないけれど、彩にとって図星の厳しいこともちゃんと言ってくれるのがいいと思います。喧嘩にならずに本当のことを言ってくれる。それは真面目な彩にいちばん効くと思うんです。あとは、ふらふらクッションみたいに皆の間に立って、年上なのに全然力を貸してくれない(笑)皆で仲良く行こうよみたいな感じで(笑)。



―後半の見せ場、実家のシーンも面白いです。



上野:実家に着いて他の人たちは深刻なのに、伊藤さんだけ家中を回って「いい家ですねえ、いくらぐらいになるんだろう」って勝手に査定までして、ひとりだけ空気が全然違う(笑)。本当に生きる力が強いというか。そういう人がいることで、私たちも救われるところがありますね。でもお父さんに「一緒に住まない?」と言われた時の反応はスゴイ。そういう伊藤さんが面白かったです(笑)。



(C)中澤日菜子・講談社/2016映画「お父さんと伊藤さん」製作委員会

(C)中澤日菜子・講談社/2016映画「お父さんと伊藤さん」製作委員会




父と娘の微妙な関係



―父親と娘って微妙な関係だと思うんです。そこに伊藤さんみたいな「他人」が入ることで、風通しがよくなりますね。



タナダ:そうなんですよね。家族だけだと、どうしても行き詰まるし、家族だからわかりあえるという驕りもあると思うのですが。お母さんがいた時は、お父さんとお母さんはもともと他人なので、お母さんが中和剤になっていたんだろうなと思います。



上野:伊藤さんは換気扇みたいですよね。家の空気を換気してくれる人。伊藤さんがいなくて、彩とお父さんだけだったら間がもたないと思います。お父さんと娘ってお父さんと息子以上に複雑な感情が入って来て、娘の方が100倍ぐらい「イヤ」が膨らんでしまうと思うんです。だから、劇中でお父さんはいつも謎の箱を持っているのですが、彩はその中身をすごく想像しちゃったりして。でも、その分、お父さんのことがかわいそうに思えたり、私が楽しい1日を送らせてあげなきゃっていう母性もあったりするから。そういう感情が混ざり合っているのが複雑で面白いですよね。



―上野さんがごはんを食べるシーン、よかったですね。お父さんが目の前でうるさいことを言って来るんだけど、彩はもりもり食べている(笑)



タナダ:朝ごはんのシーンですよね。ぶすってフォークで刺して食べるんだけど、あれ、効果音入れていないんです(笑)。あそこは私の想像とは違っていたんですよ。嫌なこと言われて、彩はちょっとずつ食べるのかなと思っていたんですが、上野さんにお任せしたら、もりもり食べてくれて、これが彩だ!と。彩の生命力を感じたし、脚本の黒沢さんとも「これだよね」って裏で絶賛していました。



(C)中澤日菜子・講談社/2016映画「お父さんと伊藤さん」製作委員会

(C)中澤日菜子・講談社/2016映画「お父さんと伊藤さん」製作委員会




上野:あそこは食べることで抵抗しているというか(笑)。あと、朝だから時間がないし、外で食べるとお金がかかるから、できるだけ家で食べた方がいいじゃないですか(笑)。でも目の前にうるさいお父さんがいて「急いでる!」っていうのを無言で主張しているのと、食べなきゃいけないのと、後は思ったよりバターロールがぱさぱさしていて、口の中にたまっちゃって(笑)。若さで行っている感じが出て、よかったと思います。お父さんはあんな食べ方はしないし、お父さんとの対比として彩は体に悪い生き方をまだしている感じで。別の場面でも彩はビールもいっぱい飲んじゃうし。そういう抵抗というか……勝負というか(笑)。



タナダ:勝負(笑)。ビールのシーン、彩は敢えてお父さんを見ながらビールを飲んでいますからね(笑)。そういうところの「娘」感が絶妙で、現場で何度笑いをこらえたか。



上野:父親の言うことを何とも思っていない感じ(笑)。いちいちくよくよする娘じゃない。動じない。自分の今やることをやり遂げていくっていう。



タナダ:それがあのシーンでは、「私は今ビールを飲む」っていうことなんだね(笑)。



上野:彩は都合よく解釈しているんです。「だっておとうさんがビール買ってきてくれたんでしょ、いいじゃん、楽しく飲もうよ」ぐらいの感じで(笑)。



タナダ:そうそう、都合よく解釈(笑)お父さんの威厳はもちろんあるんだけど、所々で娘の強さが出ていて。あと「妹」感もすごく感じました。お兄ちゃん(長谷川朝晴)はお父さんに対して、彩と同じことはできないだろうなと思いますね。



(C)中澤日菜子・講談社/2016映画「お父さんと伊藤さん」製作委員会

(C)中澤日菜子・講談社/2016映画「お父さんと伊藤さん」製作委員会




上野:実家でお兄ちゃんと彩がいる場面で、監督に「畳の上をゴロゴロ転がって」って言われて(笑)。



タナダ:あそこも爆笑でした。



上野:寝転ぶぐらいでよかったみたいないんですけれど、箱のところからお兄ちゃんのところまでゴロゴロ転がって(笑)。お兄ちゃんと妹でじゃれあえるシーンはあそこしかなかったから。昔からこの兄妹はこんな感じで遊んでいたのかなと。



タナダ:あの場面を見ていると、子どもの頃を思い出すんですよね。きっとこんな感じで、彩が何かを仕掛けて、お兄ちゃんがいつもそれをなだめていたんだろうなと。あと、兄妹が実家に帰った時、「お父さん、俺たちだよ」ってお兄ちゃんが戸を開けて、二人がお父さんの荷物のダンボールを見つけるシーンがあるんです。その時の目線がまったく一緒なんです。「何、この兄妹感!」って秘かに感動して。打合せもしていないのに間もぴったりで同時に見るんですよ。本当に細かいところまで反応してやってくれているので、そういう細かい点も見ていただきたいポイントです。



―クライマックスの実家のシーン、すごくいいですね。皆が知っている家族の息遣いがあって。面倒臭いんだけど、懐かしい家族の匂いがして。



タナダ:あそこは他人である伊藤さんがいないことで、彩とお父さんとお兄ちゃんの3人だけで家族の思い出を話したりするので。彩としても、自分が何とか空気をよくして、お父さんの機嫌を直そうと思っているから「お母さんとどうやって出会ったの?」と聞いてみたり。そこは家族の空気を出せたらなと思いました。



上野:家の中のシーンなのに、キャンプしているみたいで。ごはんにシチューかけて食べて、普通は合わない組み合わせなのに、なんかそれがおいしくて。本当は彩が「なんで自分がこんな思いをしなきゃいけないの?」って思うような場面なんだけど、実際に暗い部屋で毛布にくるまってランプひとつでお父さんとお兄ちゃんとああやって食べていたら、なんだか楽しいんですよ。そういうのがリアリティだし、台本を読んでいる時にはわからなかったことですね。そうか、彩もちょっとこういう気持ちだったんだなって。



タナダ:あのシチュー、レトルトなのに、おいしいそうに見えるんです。決して高い食べ物ではないのに。



―彩の中には、気難しいお父さんを面倒くさいと思う気持ちもあれば、お父さんに対する懐かしさや情もあるんですよね。



タナダ:それが彩を苦しめているところでもあるんです。苦手なだけだったら突っぱねることもできるけれど、そうじゃないから、ああやってお父さんを1日遊びに連れ出したりもするし。そこが彩の揺れ動くところなんだと思いますね。



(C)中澤日菜子・講談社/2016映画「お父さんと伊藤さん」製作委員会

(C)中澤日菜子・講談社/2016映画「お父さんと伊藤さん」製作委員会




―端々にそれが出ているから、映画全体が明るいのかもしれないですね。最後に、チャーミングなお父さん・藤竜也さんとのお仕事について聞かせてください。



タナダ:ご自分で車を運転されて、白いシャツにジーンズで現場に来られるんです。本当にダンディでかっこよくて、藤さんのイメージそのものなんですけれど、お父さんの衣装を着ると、猫背で内股になって。そのギャップが、ああ、役者さんって衣装着たり、メイクしたりしながら役に入るんだなと改めて思いましたね。カメラの前にいると、もうお父さんなんですよ。素晴らしいなと思いました。



上野:ロケ地に自分で行ってみたり、下調べして土台をしっかり作ってから、安心した状態で作品作りをしたいという方で、役に本当に興味をもって楽しく参加されている感じがしました。でも、それだけじゃなくて、そこにさらに藤さんの思う、お父さんのキャラクターを載せて演じている。なんとなくでやっていないんです。お父さんは小学校の先生だった役だから、ちゃんと退職金の額を調べたり、本当にお父さんが見たであろう景色を、そこが劇中に出てこないシーンでも見に行ったり、そういうものが藤さんの中にあるから、本当にこの映画の世界の人として、お父さんの空気を醸し出していて。私もお父さんとして見られたし、何も不安に思うことがなかったです。今回、リリーさんも、もの書く人だし、作品を客観的に理解しながら、リリーさんならではの伊藤さんのオリジナリティを入れていて。二人とも人間力のある方だったから、すごく安心して、いい環境で作品に臨めたなと思います。



トゲのある表現になってもおかしくない父と娘の関係を、何とも言えないユーモアで描いた『お父さんと伊藤さん』。次々に気になるシーンが現れて、ジャンルで括れない面白さがあるが、それは物語と監督と出演者の持ち味が予測不能にミックスされた結果なのだなとお二人の話を聴いていて思った。予測不能な「伊藤さん」の魅力、クセに(?)なります。



(取材・文:多賀谷浩子)


映画『お父さんと伊藤さん』

公開中





出演:上野樹里 リリー・フランキー/長谷川朝晴 安藤 聖 渡辺えり/藤竜也

原作:中澤日菜子『お父さんと伊藤さん』(講談社刊)

脚本:黒沢久子 監督:タナダユキ

助成:文化庁文化芸術振興費補助金

企画協力:講談社「小説現代」制作プロダクション:ステアウェイ オフィスアッシュ

企画・製作・配給:ファントム・フィルム