映画『君の名は。』の勢いが止まらない。観客動員が既に1,000万人を超え、大ヒットしているアニメだ。10月9日には韓国の釜山国際映画祭でも上映、大絶賛された。



“聖地”岐阜県飛騨市 異例の「注意喚起」も



映画ライターが、その出来栄えについて語る。


「映像が美しく、リズム感のいいストーリー展開、何よりも作品の前半で、観客の心を鷲づかみにします。笑いがあって涙もある。年配の方も若い人も楽しめるように仕上がっているところが、多くの人が足を運ぶ要因でしょう」



作品の中に登場する「糸守」という架空の町には、ヒロインの女子高生・三葉が暮らしているが、それは岐阜県飛騨市がモデルといわれている。そのため、飛騨が聖地とされ、巡礼するファンが殺到し、近隣住民から苦情が出るほど。



映画の製作委員会では「節度ある行動、マナーに十分心掛けていただきますようお願い申し上げます」と、異例の注意喚起を行っている。



『聲の形』も岐阜が舞台



同じ岐阜県の大垣市を舞台としている映画『聲の形』もまた、大変好評なアニメだ。



“難民”も発生している『聲の形』 (c)大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会

“難民”も発生している『聲の形』 (c)大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会




ポスト『君の名は。』とさえいわれている。『君の名は。』の4割しか上映館がない『聲の形』だが、9月の公開以降2週間で興収10億円の大台を突破。週間ランキングも、『怒り』や『真田十勇士』などを抑え、2週連続でベスト3に入っている。



大今良時の漫画を原作としているこの作品は、大垣市の大垣公園や水門川などと思われる風景が描かれている。先天的に聴覚障害がある少女と、元同級生との触れ合い、心の交流を丹念に描写している。



『聲の形』は元々、週刊『少年マガジン』(講談社)に連載されており、「このマンガがすごい!」オトコ編で1位を獲得。第19回「手塚治虫文化賞」新生賞を受けるなど、評価は高いものがあった。



“難民”が生まれるほどの人気に



『君の名は。』に触発されたというわけではないだろうが、その次に観るべきアニメとして認知されたのが『聲の形』だった。公開3日間で30万人を超える動員を記録し、興収も4億円あまり。スタート当初から人気を呼んだのだが、その結果、「難民」が生まれるまでになっているという。



どういうことか。



実はこの『聲の形』、上映館が全国で120館ほど。



通常、ヒット作といわれる映画は300館以上のスクリーンにかかるため、各地で満員状態が続き、観たくても観れないファンが続出しているのだという。



たとえば、北海道は札幌の映画館しか上映しておらず、距離的な問題であきらめる人も多いようだ。そんな評判が、さらに評判を呼び、人気に拍車がかかっているのだ。



そんな作品中のセリフに、次のような胸を打つ「聲」がいくつかある。



<俺とお前、友達に…なれるか?>



<いいことも悪いことも全部含めて“友達”なんだ>



<欠点なんて人それぞれ! もっと堂々としてればいーんだよ!!>



<苦しんでるのはあなただけじゃないんだよ? みんな苦しい! 苦しんでるの! それが命なの! でもその命は、一番大事なんだよ……>



伝えようとする聲、伝えられる聲。聴かせたい聲、聴きたい聲、そして、聴こえてくる聲――。さまざまな「聲の形」が、この映画から読み取れる。



(文:高城龍二)