佐藤健ほか旬のキャストで直木賞受賞作を実写映画化



◆PROFILE

朝井リョウ(左)

'89年生まれの作家。『桐島、部活やめるってよ』でデビュー。『何者』で第148回直木賞を受賞。

佐藤健(右)

'89年生まれの俳優。『るろうに剣心』シリーズ、『世界から猫が消えたなら』ほか主演映画多数。



観客の印象に残るのは主人公以外の役(佐藤)



平成生まれの直木賞作家誕生で話題となった小説『何者』が、若手実力派俳優の競演で実写映画化される。主演の佐藤健と原作者の朝井リョウはともに平成元年生まれで、3年来のつきあいだという。



佐藤:初めて原作を読んだ時は、「朝井リョウはなんて性格の悪い人なんだ!」と思いました(笑)。それに共感してる自分、性格悪っ!! とも。



朝井:どの役に共感した?



佐藤:主人公の二宮拓人だね。



朝井:それを聞いてホッとした。でも「拓人役でオファーが来たらどうする?」って聞いたら、健くんは「やらない」って言ってたよね(笑)。



佐藤:拓人役は単純に難しいなぁ、って。映画を観た人の印象に残るのは、主人公以外のキャラクターでしょう?



朝井:拓人は観客を物語に引き込む、世の中の最大公約数のようなポジション。個性があってはいけない役だから、健くんが引き受けてくれたと聞いて本当に驚いた。



佐藤:同世代の俳優たちと一から芝居づくりができるという点に惹かれて。とはいえ、最初はお手上げ状態だった。本を読んでも拓人のイメージが見えてこなくて。



朝井:主人公目線で読んでもらうために、拓人の個性をとことん排除したからね。有名な俳優さんが演じるには、チャレンジングな役だと思う。



佐藤:でも、ある時ひらめいて。「拓人は朝井リョウだ!」って。別人になるためには、何らかの拠り所があったほうがいい。すぐに取材を始めたよね。「美容室はどこ行ってる?」みたいに。



朝井:僕の担当の美容師さんに髪を切ってもらっている健くんの自撮り写真を見た時は、地獄だ! と思った。



原作と映画では映える部分が全然違う(朝井)



――映画『何者』の見所は?



朝井:原作に沿って物語が展開するなか、後半に三浦監督ならではの演出が炸裂する場面が。これぞ映像化の醍醐味だと思いましたね。原作ではドライに書いた男女の関係が、映画では匂い立つように描かれていたのも印象的でした。モノクロのイメージだった部分が、色鮮やかに浮き上がっていて。ぜひ原作と見比べて楽しんでいただきたいですね。



佐藤:展開を知っている僕が観てもまったく退屈しなかったのは、このキャストだったからだと思うんです。魅力的な役者たちが結集した、ぜいたくな映画に仕上がっていますので、ぜひ観てください。



朝井:素朴な疑問なんだけど、撮影中、劇中のテンションを引きずってキャスト同士で火花を散らすことはあった?



佐藤:まったくない(笑)。刺激的で楽しい現場だったよ。




『何者』





『何者』



朝井リョウ/著 新潮社 590円(税抜)



拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良─就職活動の情報交換を目的に集まる5人の男女。留学経験、サークル活動、人脈…それぞれが武器をかき集めて就活戦線に挑むなか、SNSや面接を介して本音や自意識が浮き彫りになっていく。直木賞受賞作。



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(取材・文:村岡真理子/撮影:近藤豊)