2016年9月11日、BUCK-TICKが横浜アリーナで「CLIMAX TOGETHER 3rd」を開催した。この「CLIMAX TOGETHER」は、1992年、2004年と、12年周期で行っており、今回で3回目。


CLIMAX TOGETHER」をBUCK-TICKが開催する意義とは?



そもそも「CLIMAX TOGETHER」とは、1992年にビデオシューティングのためだけに横浜アリーナで行ったスペシャルライヴで、アリーナを横使いにしたダイナミックなステージ演出やライティング、ど迫力のパフォーマンスで話題を集めた。その後リリースされたビデオ作品は、当然ながら最高のクオリティで当日のライヴパフォーマンスが収められており、後続するアーティスト達にも大きな影響を与えることになった。



そして2004年9月11日に開催した「悪魔とフロイト –Devil and Freud- Climax Together」。その3年前に起こった世界的大事件と同日であったこともあり、アンコールで黙祷を捧げたこと、終演後のスクリーンに映し出された“すべての亡骸に花を すべての命に歌を”の言葉が深く印象に残っている。



12年と一口に言うが、この12年の間にオリンピックは3度開かれたし、12年あればだいたいの小学一年生が高校を卒業する。よく考えたらとてつもなく長い年月を経ても、この「CLIMAX TOGETHER」をBUCK-TICKが開催する意味とは何なのだろうか。そんなことを考えながら横浜アリーナを訪れた。



「どうもありがとう。LOVE&PEACE」







櫻井敦司


今井寿


星野英彦


樋口 豊


ヤガミ・トール










オープニングのSEが流れると、ステージに張られた紗幕に、1992年、2004年、2016年それぞれのロゴマークがゆっくりと形作られる。やがて映し出された大きな目の瞳にメンバーの顔が現れると、1曲目の「スピード」のイントロに合わせて紗幕が勢い良く落ちた。



目の前に現れたメンバーに大歓声が沸く。「スピード」の疾走感をもって、2曲目「MACHINE -Remodel-」へ。今回披露されたのは2012年にリアレンジされたバージョンだったが、「スピード」〜「MACHINE」の流れは1991年にリリースされたアルバム『狂った太陽』と同じ流れ。一気にその時代にタイムスリップした人も多いだろう。



そして、打ち込みのリズムと共に赤と黄色のド派手な照明がステージを覆った、「エリーゼのために」の甘美さ、ヤガミ・トールの地を割るようなドラムから始まった「唄」の破壊力。最強のロックナンバーが次々と畳み掛けられる。戦争をテーマにした「無知の涙」では櫻井敦司がマシンガンを持つようにマイクスタンドを持つシーンも。歌い終わると「どうもありがとう。LOVE&PEACE」と思いを言葉にした。



手拍子で一体感を誘った「羽虫のように」、思わず息を止めて聴き入ってしまった今井寿のギターソロを経て「ドレス」へ。静かに、しかし激しく心を揺さぶってくるバンドアンサンブルは圧巻だった。「ROMANCE」では、会場中に吊るされた18台のシャンデリアが真っ赤なライトに照らされ、気高く妖艶な「ROMANCE」の世界観に会場を塗り替えた。



盟友・森岡賢への想い、そして24年の時を経ての“共演”







「OK!ダンスしよう!」。櫻井の言葉をきっかけに「独壇場Beauty –R.I.P.–」へ。イントロに合わせて揃いのリズムで手拍子が鳴る。星野英彦がギターを鳴らす右手を時折高く上げて観客を煽れば、樋口豊も一段高い立ち位置からベースを弾きながらステージのセンターに降りて来て、実に楽しそうに体を揺らしている。そして多幸感あふれる「GIRL」、突き刺すような今井のギターソロでよりヘヴィに響いた「メランコリア –ELECTRIA–」、キャッチーで疾走感ある「Jonathan Jet-Coaster」と、4様のダンスナンバーでフロアを揺らした。



そしていよいよ終盤戦。「極東より愛を込めて」ではステージから上がる炎で熱気は増し、会場のボルテージはピークに。琉球民謡の音階で一体感を生んだ「Memento mori」。そして本編ラストは「世界は闇で満ちている」。このラスト3曲はダイレクトに心に問いかけてくる。



“汝の敵を 愛する事が 君に出来るか”(「極東より愛を込めて」)、“人生は愛と死”(「Memento mori」)。この日、この時だからこそ強く感じるメッセージがそこにはあった。



「Memento mori」の後、櫻井は「世界中で忘れられない日ですね。音楽を、人生を楽しんでいきましょう」と語っている。そして「Memento mori」ではもう一つ、忘れられないシーンがあった。間奏の今井が弾いたギターソロはSOFT BALLETの楽曲のフレーズ。続く「世界は闇で満ちている」は、今年急逝した森岡賢がレコーディングにピアノで参加した曲であることから、あのフレーズは今井なりの追悼だったのだろうと思う。



“でも世界は何も変わらないだろう それでも夢に羽つけて飛ばせ”。その歌詞に合わせて、櫻井がした紙飛行機を飛ばすような仕草を目で追いながら、輝く星空の中へと飛んで行く紙飛行機をイメージした。とても美しくて温かいラストだった。







熱烈なアンコールに迎えられて再びステージに登場すると、厳かな今井のギターソロから、星野の柔らかなアコースティックのイントロへと続く「JUPITER」へ。櫻井が歌い出すと、後ろのスクリーンにシルエットが浮かんだ。ロングヘアに肩パット入りの衣装。24年前の「CLIMAX TOGETHER」では「JUPITER」が一曲目を飾ったのだが、まさにその時の演奏シーンが映し出されていた。思わぬ共演に沸き上がる感動。



さらに「無題」「夢魔 –The Nightmare」を披露。ダブルアンコールでは、9月21日にリリースするニューシングル「New World」を初披露した。新しい世界の扉を開くような開放感が心地いい。そして「Alice in Wonder Underground」のシアトリカルな世界観で魅せ、ラストはこのスペシャルライヴと同タイトルを持つ「CLIMAX TOGETHER」へ。24年という時空を超えて、同じ場所で変わらないメンバーと一緒に同じ時間を楽しめる。その事実が何よりも尊い。それがこの日改めて確信したことである。







来年デビュー30周年を迎えるBUCK-TICK。その長いキャリアを持ってしてもまだ、「New World」を見せ続けてくれる彼らから、ますます目が離せない。(文:大窪由香 撮影:堀田芳香)



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