9月28日に最新シングル「『LOSER / ナンバーナイン」をリリースしたシンガーソングライター、米津玄師(別名、ハチ)。10月15日より全国公開される映画『何者』においても、中田ヤスタカが書き下ろした主題歌『NANIMONO (feat. 米津玄師)』のゲストボーカルを務めることが明らかとなった。



ニコニコ動画でのボカロP活動を経て、2013年にメジャーデビューした彼は、中田ヤスタカや野田洋次郎(RADWIMPS)といったヒットメーカー達も一目置く存在であり、インターネットや口コミでの知名度も急上昇中!そんな米津玄師/ハチの魅力を、彼がこれまでに発表してきた楽曲を通して探っていく。(文:斉藤碧)


ハチ名義のヒット曲「マトリョシカ」



高い作曲技術と独特の歌詞センスで、2013年にメジャーデビューして以降、駆け上がるようにヒットチャートの常連となった米津玄師。その才能は、メジャーデビュー前の2009年頃からインターネットの世界で花開いていた。



当時は“ハチ”名義で、ニコニコ動画にて、VOCALOIDの初音ミクとGUMIを用いたオリジナル楽曲を多数投稿していた彼。なかでも、コアなニコ動ユーザーを夢中にさせた。そうしたハチ名義でのボカロP活動が関係者の目に留まり、メジャーデビューへと繋がったのだという。



メジャーデビュー以降、ハチ名義での楽曲発表(自分で歌唱するのではなく、ボーカロイドを用いた楽曲)はほとんどないが、2013年10月28日にはニコニコ動画およびYouTubeに「ドーナツホール」をハチ名義で投稿。ライブでは、この「ドーナツホール」を始め、「マトリョシカ」や「パンダヒーロー」なども自ら歌唱し、披露していた。









米津玄師の記念すべきメジャーデビューシングル「サンタマリア」



2013年5月29日にリリースされた、米津玄師の記念すべきメジャーデビューシングル曲。ハチ名義で発表してきたクセの強いアップテンポの楽曲とは対照的に、しっとり語りかけるような穏やかで希望を感じさせるロックチューンとなっている。



人気曲「ゴーゴー幽霊船」「vivi」などが収録されたアルバム『diorama』(2012年5月16日リリース)が、作詞・作曲・アレンジ・プログラミング・歌唱・演奏・ミックス・動画・アートワークの全てを独りで手掛けたコンセプチュアルな1枚なのに対し、本作はたくさんのミュージシャンと共にバンドスタイルで制作。自分の個性を尊重したいと強く思いながらもバンドサウンドを好む、彼らしい楽曲となっている。



さらに、MVでは、モノクロ映像と温かみのある歌声、自ら描いたというレトロなタッチのイラストが心地よく融合。完全には顔を出さない謎めいた演出も加わり、リスナーを歌詞の中に広がる神聖な世界に惹き込んでいく。







ハートフルなメッセージソングが胸を打つ! 「アイネクライネ」



2014年4月23日にリリースされた2ndアルバム『YANKEE』収録のハートフルなメッセージソング。



東京メトロの広告キャンペーン「Color your days.」CMソングとして書き下ろした曲でもあり、本作について米津は「辛い事があっても、ちゃんと前を向いて生きていこうとする曲です。強くあるためには自分の弱さを見つめなきゃいけないと個人的に思います。毎日変わらないでいる事、前を向き続ける事は、本当に難しい事だと思いますが、それを続けているのが、東京メトロだと思い制作しました」と語っている。



彼がタイアップに曲を書き下ろしたのはこれが初めてだが、このCMを機にアーティスト米津玄師を知った人も多く、代表曲の1つといえるだろう。また、同年6月27日には初のワンマンライブも開催。観客と顔を合わせて曲を届ける機会が増えたことで、その長身イケメンっぷりにさらにハマる人続出⁉









小栗旬出演のニコンCM曲に抜擢!「Flowerwall」



「アイネクライネ」に続いて2作目のタイアップ曲となったのが、2015年1月14日にリリースされた3rdシングル「Flowerwall」(同年10月にリリースされたアルバム『Bremen』にも収録)。

小栗旬が父親役を演じたニコン「D5500」のテレビCMソングに起用され、父と娘の幸せな日常を切り取ったストーリー(CM)を鮮やかに彩っている。



「アイネクライネ」が少し切なさを含んだ曲調だったのに対し、「Flowerwall」は陽だまりの中にいるような光を感じさせるポップな楽曲となっており、今作をキッカケに、さらに米津玄師の歌がお茶の間に浸透したように思う。



また、これ以前のMVでは、顔出しをしないイラスト映像や黒を基調とした衣装でミステリアスな印象を与えていた彼だが、本作では真っ白の衣装で登場。真っ白の衣装を“花の壁”をイメージした色とりどりのカラーパウダーで塗り替えていく様からは、穏やかな曲調の奥に潜む、ここからさらに新たな色を提示していこうとする彼の攻めの姿勢が感じられる。









驚くほどしなやかに踊る衝撃の「LOSER」



前作から約1年、今年9月28日にリリースされた両A面シングル「LOSER / ナンバーナイン」の1曲。それまでも、作詞・作曲に始まり、アレンジ・プログラミング・歌唱・演奏・ミックス・動画・アートワーク……と何でも1人でこなす個人主義アーティストとして注目されていた彼だが、今回、驚くほどしなやかに踊る衝撃のMVがYouTubeで公開されるやいなや、“ダンスもできるの⁉”と話題に。



以前『ZIP!』に出演した際、「そもそも人に見られるのがあまり好きじゃなくて、(メディア出演を)やらなくて済むんであればやりたくないですね」と語っていた彼だが、MVでは、広がり続ける己の可能性を存分に見せつけている。





顔を隠して活動することが長く定着していたニコ動出身アーティストにとって、顔を出したMVやメディア出演は挑戦的なことだと思うが、顔を出し、ダンスを披露してもなお深まる“この人、何者⁉”という印象……。私達がまだ見たことのない米津玄師をこれからも見せてくれそうな予感を煽る。









ハロウィンシーズンにピッタリ「Mrs.Pumpkinの滑稽な夢」



番外編として、最後に、これからやってくるハロウィンにピッタリな1曲をご紹介!



2009年10月12日にハチ名義で発表されたボカロ曲「Mrs.Pumpkinの滑稽な夢」は、タイトルの通り、ハロウィンを意識して制作されたナンバー。人気曲「結ンデ開イテ羅刹ト骸」にも通ずるような不気味さが漂う歌詞、幻想的かつゴシックホラー調の自作動画も合わさり、唯一無二のハチワールドを展開している。



クセの強い楽曲だが、遊び心のある曲だけに歌い手からの人気も高く、赤飯・ぽこた・みーちゃんといった人気歌い手達が“歌ってみた”動画を投稿。間違いなくニコ動黎明期を支えた1曲であり、クリエイター“ハチ”、そしてニコ動カルチャーの歴史に欠かせない曲だといえるだろう。アーティスト“米津玄師”から興味を持った方は、聴いてみてはいかがだろうか?



シンガーソングライターやミュージシャンという言葉では表現しきれないほど、多才すぎるアーティスト、米津玄師。



今年もたくさんの驚きを届けてくれた彼は、前述した通り、10月15日より全国公開される映画『何者』の主題歌『NANIMONO (feat. 米津玄師)』に作詞家・ゲストボーカルとして参加。11月から12月にかけては『米津玄師 2016 TOUR / はうる』も開催決定しており、年末も何かと話題を呼びそうだ。



“流行っているけど、一体何者?”と思っているそこのあなた、今のうちにチェックすることをオススメする。



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