10月3日から放送されている、NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」の主題歌「ヒカリノアトリエ」を手掛けていることで、注目が高まっているMr.Children。



90年代から今まで、日本の音楽シーンのトップを走り続けているので、意外と初期の名曲を忘れてしまっている人もいるかも。そんな人の記憶の引き出しを開けるべく、「ミスチルの90年代前半(92年〜94年、1stアルバム〜4thアルバム)の名曲10曲」をセレクトした。(文:高橋美穂)


これぞ青春!「君がいた夏」










君がいた夏




1stシングル。1992年8月21日に先にリリース(5月10日)されていた1stアルバム『EVERYTHING』からシングルカットされた。これぞ青春!と言いたくなるような、キュートなラヴソング。とは言え描かれているのは、夏の恋の終わり。



《おもちゃの時計の針を/戻しても/何も変わらない》などといった耳に残る桜井の独特の歌詞は、当時から健在だ。イントロのギターなど、90年代らしい音色に懐かしさもこみ上げるし、全てにおいて若々しさが際立っているが、それ以上に、1stシングルの時点でこのポップセンスを誇っていたことに驚かされる。





 



永遠の愛の歌「抱きしめたい」










抱きしめたい




2ndシングル。初期の名曲がふんだんに詰まった2ndアルバム『Kind of Love』と同日(1992年12月1日)にリリースされた。



ブレイク後に脚光を浴び、今ではファン以外にも幅広く知られている彼らの代表曲である。永遠の愛を誓うような、ドラマティックなバラード。聴き進めていくごとにエモーショナルになっていき、ラストの《もしも 君が さみしい時には/いつも 僕が そばにいるから》と念を押すように歌いかけるところは、まさしくハイライト。これからも時代を越えて永遠に歌い継がれていかれるであろう、真っ直ぐなラヴソングだ。





 





 



ひそやかなラヴソング「車の中でかくれてキスをしよう」










車の中でかくれてキスをしよう(『Kind of Love』)




2ndアルバム『Kind of Love』収録。シングルとしてリリースされていないにも関わらず、名曲として名高く、2000年代に入った後にライヴで演奏されたこともある。《もう二人は 子供じゃない》というドキリとする歌い出しから、ゆっくりと始まっていくラヴソング。



歌が際立ったシンプルな演奏と展開で、彼らのメロディの美しさや、映画のワンシーンのような歌詞を、剥き出しで味わうことができる。幼い頃に、こんなひそやかで胸が高鳴るような恋愛を夢見た人もいるのではないだろうか。今聴いても、静かに感情を揺さぶられる。





 



夢見る全ての人へ「星になれたら」










星になれたら(『Kind of Love』)




2ndアルバム『Kind of Love』収録。この曲も、シングルとしてはリリースされていないが、初期の彼らを語る上では重要だ。旅立ちと別れが描かれた、恐らく若かりし彼らしか描けなかったであろう、夢見る全ての人への応援歌。



《長く助走をとった方が/より遠くに 飛べるって聞いた》という一節に、励まされた人もいるだろう。のちに本当にポップスターとなり、よりいっそうこの楽曲の輝きは増すこととなった。久しぶりに耳にすると、90年代らしいきらめくシンセの音色に、そっと閉まっておいた思い出の宝箱のカギをこじ開けられずにはいられない。





 



タフでキュートなポップソング「Replay」










Replay




1993年9月1日にリリースされた3rdアルバム『Versus』に先駆けた形で7月1日にリリースされた3rdシングル。「ポッキー」のCMソングに起用され、初めて大々的に彼らの楽曲がテレビで流れたこともあり、この楽曲で彼らを知った人もいるはず。



短いイントロから、パッと開けるようにサビがはじまる、ポップそのものと言えるような展開。そして、何があっても揺るがぬ愛を描いた歌詞。どこをとっても眩しい。爽やかさの中に、《髪を切るだけで 忘られるような/恋じゃないだろう》なんて生々しいフレーズを盛り込むあたりが桜井らしい。





 



甘酸っぱさが凝縮された「LOVE」










LOVE(『Versus』)




3rdアルバム『Versus』収録。この曲もシングルとしてはリリースされていないが、初期の彼らの甘酸っぱさが凝縮されており、愛され続けている。



歌詞は、青春時代の一コマを描いたような、具体的な描写が印象的だ。後に壮大な愛も描いていく彼らだけれど、こういった誰にでも重ね合わせられるような恋愛を歌った楽曲に「LOVE」と名付けたところは、当時の等身大な彼らを象徴しているのではないだろうか。また、歌声、特にサビのスウィート度合いは、彼らの楽曲の中でも群を抜いて高く、最後の《Love》のリフレインが耳に残る。





 



スケールがぐっと広がった「CROSS ROAD」










CROSS ROAD




1993年11月10日にリリースされた4thシングルで、後に1994年9月1日リリースの4thアルバム『Atomic Heart』に収録された。ドラマ「同窓会」の主題歌となり、彼らにとっては初めてのミリオンセラーを記録した、ブレイクのキッカケと言える楽曲。



青春真っただ中、恋愛真っただ中にいる人だけではなく、老若男女、あらゆる立場の人が聴いても名曲と思えるようなキャパシティが感じられる。特にラストの《遠く想い焦がれて はりさけそうな夜も/この手に受け止める つかの間の悲しみは/やがて輝く未来へと続く》という歌詞のスケール感は秀逸だ。





 



まばゆくもリアルな「innocent world」










innocent world




1994年6月1日にリリースされた5thシングルで、後に4thアルバム『Atomic Heart』に収録された。ブレイクへの階段を、一気に駆け上る起爆剤となった楽曲。「アクエリアス ネオ/アクエリアス イオシス」のCMソングとしてお茶の間で大々的に流れ、国民的ロックバンドという彼らの地位は不動のものとなった。



多くの人にとってこの曲は、まさにサビの《いつの日も この胸に流れてるメロディー》なのである。頭からお尻までまばゆいポップスでありつつも、歌詞は深く、このリアリティが彼らへの信頼感を揺るぎなくしたのだと思う。





 



ユーモアとリアリティが光る「雨のち晴れ」










雨のち晴れ(『Atomic Heart』)




4thアルバム『Atomic Heart』収録。シングルではないが、彼らのリアリティやユーモア、音楽的な面白さや幅広さを象徴する楽曲だと思う。



小気味いいビートとギターをバックに《新人のマリちゃんに言い寄っても/まるで手応えが無い》、《1DK狛江のアパートには/2羽のインコを飼う》などと歌う、リアルな描写が耳に残る。そういった平凡な日々を、開けたメロディと《イメージはいつでも/雨のち晴れ いつの日にか 虹を渡ろう》という歌詞のサビで、一気に希望へと連れて行くのだ。このコントラストが、多くの人とシンクロしているから魅力的に響くのだろう。





 



泣き笑いの失恋ソング「Over」










Over(『Atomic Heart』)




4thアルバム『Atomic Heart』収録。穏やかなイントロから、泣き笑いのような桜井の歌声へ。失恋ソングでありながら、どっぷりと悲しみに浸るわけではなく、愛らしいエピソードや男の強がりといった、「いい思い出」として昇華したからこそ生まれたようなユーモアも綴られている。とは言え《嘘のつけない大きな声や/家事に向かない荒れた手のひらも/君を形成るすべての要素を愛してたのに》など、自分が過去に大好きだった誰かを思い出す引き金になるような歌詞も多く、涙腺を刺激されずにはいられないだろう。





 



>「Mr.Children」の記事をもっと読む



Mr.Children オフィシャルウェブサイト