前作アルバム『Night Rainbow』では海外のクラブシーンの影響を大胆に取り入れた新しいサウンドアプローチで、これまでの“正統派ピアノトリオ”というバンドのイメージを大きく塗り替えたWEAVER。



アルバムを引っさげた全国ツアーでは、かつてないほどフレキシブルな空間を作り上げることにも成功した彼らは、その確かな手応えを胸に、さらに大きな進化を刻む両A面シングル『S.O.S. / Wake me up』をリリースする。アディショナルプロデューサーには世界的に注目を集めるフィンランドの奇才Lennoを起用した今作は、アルバムでは届かなかった部分まで100%具現化できた「WEAVERの答えだ」と言う。今まで以上にオープンなスタンスでポップシーンと対峙することを決めた3人に話を訊いた。(インタビュー&文:秦理絵)


新曲「S.O.S.」は進んだWEAVERを出せる作品になった



―まず「S.O.S.」はアニメ『うどんの国の金色毛鞠』のオープニングテーマになっていますけど、書き下ろしになるんですか?



杉本雄治(Pf・Vo):そうなんです。



―香川県の田舎を舞台にしたノスタルジックな作品なので、それが最近のWEAVERが目指す80'sのキラキラした世界観と合わさるって斬新ですね。



杉本:最初にアニメのお話をいただいたときは、マンガを読んで、ちゃんと作品を引きたてる曲を描きたいという想いで曲を書いたんです。でも、そこから実際に監督といろいろ話をしていくと、柔らかくて温かい(アニメの)ストーリーに寄り添うのも良いけれど、もっと勢いづけるというか。その主人公を応援できるキラキラとしたピアノサウンドを書いてほしいっていうリクエストをもらったんです。じゃあ、あんまりストーリーに寄り添い過ぎず、いまのWEAVERがやっていることをちゃんと見せられる曲にしても、監督は受け入れてくれるんじゃないかな?と話し合って、そこから書き直したのがこの曲です。



―WEAVERの一般的なイメージはピアノポップだから、タイアップとなると、なおさらそのテイストが求められるんじゃないかと思うんだけど、そのあたりは?



奥野翔太(Ba&cho):お話をいただいて、監督が最初にイメージを持ってくださっている段階ではこれまでのWEAVERらしい曲ではあったんです。でも、いままでの(アニメ『山田くんと7人の魔女』タイアップソングとして書き下ろした)「くちづけDiamond」とかの経験を踏まえると、意外とイメージと違うものを提案しても、「それも良いね!」って言ってもらえることもあって。そういう意味では今回の「S.O.S.」は、もともとは監督もイメージしていなかったものを提案できた曲かなと思います。



杉本:最初のままだったら、以前のWEAVERと変化のない曲になってしまったと思うんですけど、ちゃんと進んだWEAVERを出せる作品になったのは大きいですね。





アルバム『Night Rainbow』でつかんだもの



―今作は新しいWEAVERの方向性をより強く押し出す作品だと思いますけど、やはり『Night Rainbow』で掴んだ手応えが大きかったですか?



杉本:そうですね。『Night Rainbow』は、この1年間ダンスミュージックだったり、80'sのサウンドだったり、R&Bだったりっていう新しい要素を模索し続けてきて、ようやくかたちになったアルバムだったと思うんです。その答えが今回のシングルですね。いまの自分たちのやりたいことを100%出せたというか。やっぱり僕のなかでは『Night Rainbow』ではまだ完成し切れない部分があったんですよ。もっと“いまの”クラブミュージックシーンの音も混ぜていきたいなというのがあって。だから今回はLenno(レノ)というフィンランドの若手ミュージシャンにアレンジをお願いして作ったんです。



―なるほど。懐古趣味的な80'sサウンドにはしたくなかったんですね。



杉本:そうですね。クラブミュージックというと、やっぱりいまはDJが主流になっていて。それをバンドでやることの面白みがあって、そこに新しい要素が生まれてくるんじゃないかなっていうのがあったんです。いまのクラブミュージックと生のバンドの融合という意味で何か科学反応が起きればなと思ったんです。



河邉徹(Dr&cho):初めてだったよね? 海外の方にやってもらうのは。最初に杉本が出したデモとは全然タッチが違うものをLennoが戻してくれたので、いまの僕たちだけではできなかったものになったんです。海外のアーティストとやった意味が出たと思います。



奥野:たぶん日本のバンドを知ってるプロデューサーだと、遠慮をして振り切れない部分もあったんと思うんです。でも、彼だから行き切れた部分もあったりして。Lennoとやったから、「S.O.S.」はこういうかたちになったのかなと思います。



―海外のプロデューサーが入ったことで、メロディよりもリズムが強調されるサウンドになったと思いますけど、そのあたりは意識したんですか?



奥野:今回は音色としてパーカッシヴな部分を出したいなとは思ったんです。それは杉本がデモの段階から提案してくれたんですけど、指弾きだけじゃなくて、フレーズのなかでひとつだけスラップを混ぜることで、よりパーカッシヴに聴こえてきたりするんです。それは僕のなかでも新しいチャレンジでした。

杉本:クラブミュージックのなかから、すごくインスパイアされてる部分がリズムなんです。クラブミュージックっぽい打ち込みをリズム隊のふたりが生でやったらどうなるんだろう?っていう、実験的な部分が僕のなかにあって。やってることが洋楽的になってきているから、メロディも必然的にそれっぽくなってきてる。僕のなかにも絶対に手グセがあると思うんですけど、それを壊していきたかったんです。



―河邉さんは、歌詞に関してもアニメを意識して書いたんですか?



河邉:そうですね。もともと応援歌がテーマにあったんですけど、杉本も言ったとおり最初はアニメに寄り添う感じだったので、歌詞も書き直したんです。フルではないですけど、全部で7種類書きました。その中からみんなに選んでもらって。最終的には、それぞれ人に言えない悩みとか言葉にできないものを抱えてると思うんですけどそれを見つけてあげられる、そういう歌詞にしようと思って書きました。



―歌詞を7種類書くなんてこと、いままでありました?



河邉:ないです。ちょっと意地になってたところはあると思います(笑)。歌詞って答えがないものだから、「そうじゃないんだよね」って言われたときに、「じゃあ、どうなんだよ!?」ってなっちゃって。だから全然違う種類の歌詞をいっぱい書いて、その中で今のWEAVERはどんなものを歌えばいいんだろう?っていうのを話し合いました。僕ひとりだと書かなかった歌詞を選べたので、今までと違う新しいものになったと思います。



「Wake me up」はシングルとして持つべき要素を全部持ってる曲



―2曲目の「Wake me up」もLennoがアディショナルプロデュースとして参加してるんですか?



杉本:そうです。



―この曲も新しい路線の曲ですけど、ジャミロクワイとかを連想するようなアシッドジャズというか。オシャレなんだけど泥臭いグルーヴ感がかっこいいです。



奥野:世に出していくシングルだったり、先陣を切って出していくもので大事なのは、新しさとキャッチーさだと思うんです。「Wake me up」はデモを聴いた段階で『Night Rainbow』の次のサウンドとして、「あ、そうよね、いまWEAVERはこっちに行ったらええんよね」っていうのを導いてくれる力を持ってたんですね。聴いているだけで体が揺れてくるような、シングルとして持つべき要素を全部持ってる曲だと思います。



河邉:飛び抜けてパワーがある曲ですよね。リフもサビもキャッチーだし、音楽的にも素晴らしいけれど、それでもポップさがあると思うんです。『Night Rainbow』の延長線上でもあり、いままでのWEAVERも踏襲してるからバランスも良いし。この曲をもってここから先も歩いていけるなっていう自信になる曲ですね。



杉本:ここ数年、ずっと僕たちはポップな部分と向き合ってるというか。いまの日本の音楽シーンにない新しいポップスのかたちを打ち出したいなというなかで、できたひとつのアンサーなんです。そういう意味で勝負もしていける曲じゃないかと思います。



―歌詞は大人っぽい雰囲気ですけど、《電話器》とか《カセット》とか、ちょっとレトロなアイテムが登場するのも80'sを意識したんですか?



河邉:言葉にしなくても80年代の景色はサウンドからも浮かんできますよね。この曲のストーリーは杉本からキーワードをもらってたんです。「くちづけDiamond」のころから、ちょっとだけ誠実じゃない男性像というか、いま付き合ってる人がいるけれども、昔の人が忘れられなくて、いまの人を愛せないみたいな悪い男を書いてるんですけど。そういう世界観のものも歌えるバンドになれればなと思って「Wake me up」も書きました。



WEAVERらしいピアノバラード「AMI」



―3曲目の「AMI」はこれまでのWEAVERらしいピアノバラードですね。



奥野:レコーディングをしてて、こういうザ・トリオサウンドみたいな感じの曲をやるのは久しぶりだなっていうのを思いましたね。『Night Rainbow』からはシンセをふんだんに使ったタイトな楽曲が多かったので。クリックに対してピタッとあわせて演奏するんじゃなくて、3人がお互いの音を聴きながら、ちょっとした(テンポの)揺れが聴こえる曲だったりもするので。あ、久しぶりの感覚だなと思いました。



―シングルのなかに新しい路線とこれまでの路線の両方を入れることで、作品としてのバランスをとろうとした部分はありましたか?



奥野:そこはそんなに意識してなくて。最初の2曲がシンセの曲だから、3曲目はこういうピアノサウンドの曲にしようっていうのではなく。いまは自分たちのなかでやりたい曲をやれてるし、こうじゃないといけないっていうのは完全に払拭できてるんです。だから気が付いたら、3曲目はこういう感じになってましたね。



―タイトルの「AMI」っていうのは、読み方は……。



河邉:「アミ」です。



―フランス語で友だちという意味だそうですね。



河邉:今回、ラブソングを書こうと思ったときに、再会とか、そういう言葉が浮かんだんです。僕たちは28歳になる年なんですけど、再会で恋愛するとき、お互いに「パートナーはいるの?」みたいなことがリアルになってくる年齢だなと思っていて。そこには駆け引きもあるけど、ピュアなところもある、みたいなことを書いてみたんです。最初、タイトルは「ピースとクローバー」にしようと思ったんですけど、女性の名前をタイトルにしてみたいなと思って。しかも名前にも意味があるものがいい。それで、フランス語でAMI は友だちっていう意味なので、これにしました。この関係は友だちのままなのか、友だちから始めようなのかっていう、Friendとはちょっと違う感じを出せたらと思ったんです。



―わかりました。今回のシングルを出すことで、WEAVERがいつまでも“ピアノトリオ”のままだと思ってたら時代遅れですよ、ということになると思いますよ。



杉本:そうですね(笑)。僕たちは大きくポップスという分野で勝負していきたいなと思っているので、そういうなかから生まれてきたのが今回の3曲なんです。



奥野:欲張りなバンドだと思いますよ。こういう楽曲を両A面っていうかたちでシングルを出せて、カップリングに「AMI」という曲が入っている。それがバンドとして誇らしいです。希望を持てることじゃないかなと思うので。今年は残りもライブをたくさんやっていくので、もっと自分たちの作品をいろんな人に届けられたらと思います。



―12月には初の対バンツアーがありますね。杉本さんはラジオで雨のパレードがゲストに出たときに、若い世代の対バンを羨ましそうにしてましたもんね。



杉本:最近のバンドは仲間が一緒にあがっている感じが多いじゃないですか。それに憧れている部分もあったんです。「いいなあ」って。いままで僕らはワンマンにこだわってやって活動してきて、そのスタンスも、「WEAVERって我が道を進んでいるよね」って言ってもらえるので、それはそれで良かったんだなって感じてはいるんです。でも、自分たちの音楽をどんどん外に広げたい想いは持っているので、そういう意味で対バンをやっていきたいなと思ったんですよね。



―対バンツアーへの意気込みは?



奥野:WEAVERのお客さんって、WEAVERのライブしか来ないっていう人もいると思うし、ライブに行き慣れてない人もたくさんいると思うんです。だから、お互いに新しいことを見つけていける機会じゃないかなと思ってます。



河邉:負けないようにがんばります(笑)。……と言いつつ、僕らはそんなにバチバチしてやっていくバンドでもないんですけど。僕たちのことを初めて見るお客さんもきっとたくさんいると思いますので、そういう人たちに僕たちのことを好きになってほしいです。しっかり準備していちばん良いものを届けたいと思います。



杉本:もちろんWEAVERの音楽は好きになってほしいんですけど、全バンドの音楽を通して、やっぱり音楽って良いなと思ってもらえる、そういう1日にしたいですね。



―対バンを組むのもそうですけど、杉本さんもツイッターを始めたりして。いまのWEAVERは本当に気持ちが外に向いてますよね。



杉本:自分たちがやりたい音が定まって、自信をもって鳴らせるようになってるからですね。それを外に出す、ちょうど良いタイミングが来たんだと思います。



WEAVER リリース情報






初回限定盤






通常盤







S.O.S. / Wake me up



2016年10月19日発売



初回限定盤:CD+DVD AZZS-50 / 1,800円((税抜))※EPサイズ紙ジャケ仕様

通常盤:CD AZCS-2055 /1,200円(税抜))※特典「うどんの国の金色毛鞠」描き下ろしイラストワイドキャップステッカー




【CD収録曲】M-1.S.O.S. [アニメ「うどんの国の金色毛鞠」OPテーマ] M-2.Wake me up [フジテレビ系「魁!ミュージック」10月度エンディングテーマ] M-3.AMI



【DVD】 (初回限定盤のみ収録) タイトル: WEAVER 11th Additional TOUR 2016「Walk on the Night Rainbow」at 松山W studio RED 収録曲: 1.You 2.アーティスト 3.Hard to say I love you 〜言い出せなくて〜 (ver.R&B) 4.マーメイド 5.希望の灯 6.サマーチューン 7.Wake me up



※通常盤特典:「うどんの国の金色毛鞠」描き下ろしイラストワイドキャップステッカー




WEAVERライブ情報



12月14日(水) [大阪] なんばHatch

OPEN 17:30 / START 18:30

ゲスト:BIGMAMA / LAMP IN TERREN

(問)キョードーインフォメーション 0570-200-888(全日10:00〜18:00)



12月18日(日) [東京] 恵比寿The Garden Hall

OPEN 16:00 / START 17:00

ゲスト:androp / 雨のパレード

(問)ホットスタッフ・プロモーション03-5720-9999(平日12:00〜18:00)



【料金】

¥4,500(税込/スタンディング [大阪公演のみ2F指定あり])

※入場時に別途ドリンク代が必要となります

※お一人様4枚まで



【チケット一般発売日】

11月12日(土)10:00〜



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