9mm Parabellum Bulletが4月にリリースした6thアルバム『Waltz on Life Line』を引っさげた全国ツアー「TOUR 2016”太陽が欲しいだけ”」のZepp Tokyo公演を開催した。


6月から開催を予定していた今回のツアーは滝 善充(G)の左腕の負傷により、冒頭6公演は公演中止となったが、メンバーの意向により急遽アコースティック編成で各地ライブを行い、9月18日熊本からバンド編成で再開した。



まだ滝が本調子ではないため、ギターにサポートメンバーを迎え、滝自身はギターとシンセを弾くという変則的な形態。前説で登場した菅原卓郎(Vo)が「ライブのMAXの長さが決まってて、そのなかで今日も命がけてやろうと思うんですけど。いつもより時間が短いから、くれぐれも最初から全開で飛ばしてください」と異例のコメントを伝えると、オーディエンスもまたそんなバンドの心意気と凝縮されたエネルギーを全力で受け止める、かつてないエモーショナルなライブが始まった。



オープニングアクトのHERE

オープニングアクトのHERE




オープニングアクトに登場したのは、自称“インディーズロック界でもっとも米米CLUBに近いバンド”と名乗る4人組HERE。ビビットなアニマル柄の衣装を着たメンバーは1曲目の「死ぬくらい大好き愛してるバカみたい」から、ツインギターを擁するフロント4人が競うようにステージ前面へと繰り出すアグレッシヴなスタイルで、歌謡曲テイストの熱いロックを投げかけていく。







MCでは尾形回帰(Vo)が、かつて無名時代に9mmが対バンに誘ってくれたこと、リリースツアーにも駆けつけてくれたことに触れて、「大事なときに9mmがいてくれた。ちょっとでも力になれるのが嬉しい」と、熱弁。







エキゾチックなロックナンバー「アモーレアモーレ」では、ドラムセットから取り外したタムをお客さんの頭上に持たせて叩くという破天荒なパフォーマンスで盛り上げると、最後に届けた「感情超常現象」ではメンバーが騎馬戦のようなフォーメーションでビシッとポーズを決めてフィニッシュ。が、一瞬で崩れ落ちるというオチまでついた見事なエンターテイナーぶりだった。







9mmはHEREの武田将幸(G)をサポートギタリストに迎えた5人編成でステージに現れた。

いきなりツアータイトルにもなった「太陽が欲しいだけ」。宣言どおり全開のパフォーマンスで、激しくも緻密な9mmのバンドサウンドが容赦なくフロアに切り込んでいく。《さあ両手を広げて すべてを受け止めろ》。一際ドラマチックな展開に合わせて、菅原が大きく両手を広げると、怒号のような歓声が湧き上がった。その瞬間、たとえいまはバンドにとって満点のライブではなくとも、この日のライブを見られて良かったと思った。



中村和彦(B)が勢いよくベースを振りまわし、かみじょうちひろ(Dr)は隙あらばスティックを回す鮮やかなプレイで魅せていく序盤。滝はツインリードのギターとして脇に立つ武田に一部演奏を任せながらも、ここぞというところで渾身のリフを聴かせてくれた。MCでは「今日はHEREの力と、武田くんの力と、みんなの力でステージに立っています」と、菅原が心から感謝を伝える場面も。







「Kaleidoscope」からは、滝はギターを置いてシンセサイザーへ移る。その編成で原曲とは少し違う味わいを醸し出しながら、軽やかな曲調の「スタンドバイミー」、様々にリズムを変えていく「Lost!!」といった『Waltz on Life Line』からのナンバーを披露していった。「Talking Machine」では怒涛のツーバスにのせて、この曲だけギターに復活した滝がまるで打楽器みたいにジャキジャキと弦を掻き鳴らす。そしてラストは「生命のワルツ」。ノスタルジックなシンセのラインから爆発した9mmの美しい轟音に熱狂がピークに達すると、菅原と武田はがっしりと抱き合ってライブを締め括った。



曲数にして10曲。HEREも含めたトータルでも2時間強のライブだった。それは本来の9mmが持っている力の全てが発揮されたライブではなかったかもしれないが、間違いなく現時点のベストだった。







実は10月10日は9年前にDebut Disc『Discommunication e.p.』でメジャーデビューした記念日でもあった。そのことに少しだけ触れた菅原は、今回のツアーで大きく貢献してくれたHEREの武田に敬意を払いながらも、「滝の代わりはいないんだよね」と言った。ロックバンドは、たとえば誰かひとりが欠けたとき、同じように弾ける上手いプレイヤーがいればいいわけではない。一緒に歩んできた歴史と絆が鳴らせる音がある。いつ9mmが完全復活するのか? 先のことはわからないが、いまできる全力を賭して、バンドを転がしてゆく道を選んだ9mm Parabellum Bulletの決断と勇気にエールを贈りたい。(文:秦理絵)





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