昨年1月に開催したバンド初の日本武道館ワンマン以来、グッドモーニングアメリカが新作音源としてはおよそ1年ぶりのニューシングル『ノーファング』をリリースする。



スマホゲームアプリ「Black Rose Suspects」(ブラックローズサスペクツ)との完全コラボとなった今作はゲームの世界観と寄り添いながら、ボーカルの金廣真悟(Vo)が自然な気持ちで書き上げたという内省的なナンバー。オーケストラでダークスリラーを表現したカップリングの「クラスター」も合わせて、作品のテーマには“死”が見え隠れするが、それは“それでも、生きる”というメッセージでもある。今回行なった金廣へのひとりインタビューでは「ノーファング」の成り立ちを訊きながら、武道館以降のバンドのモードを探った。(インタビュー&文:秦理絵)


―久しぶりのシングルですけど、内容はシリアスな感じになりましたね。サビで《死ぬのが怖い》って繰り返すところとか、とても金廣くんっぽいというか。



金廣:昔から知ってる人はそう言いますね。素直に出ちゃいました。



―いままで意外とシングル曲でこういう暗い曲は出さなかったじゃないですか。



金廣:そうですね。いままでも救われない曲はアルバムのなかではあったんですけど。『未来へのスパイラル』だったら、「風で高く舞い上がれる程」とか「下らない毎日が」とか、自殺するのが次は自分の番だとか歌ってるし。内側的には変わった意識はないんです。



―どうして今回はダークな部分が表に出てきたんですか?



金廣:たまたまですね。もともとこの曲の頭で流れてるギターのアルペジオはあったんです。単調で静かだけどちょっとキラキラしてるっていう。それで今年は例の曲作り合宿を、冬に雪のなかでやってたんですけど。その途中で今回の「Black Rose Suspects」の話をいただいたんですね。で、曲とゲームの世界観が合うなと思って。いままで必死に生きてきたけど、それすらも遺伝子レベルで操作された世界を生きていたっていう主人公のゲームなんですけど。そこと冬の山中湖で雪が積もり狂ってる場所にいる自分たちの環境がリンクして、そこに死があるなあって感じたんです。



―冬に曲作りをしたってことは日本武道館が終わってすぐのころ?



金廣:そうです。(武道館の直後)には、作り出してました。いままで合宿は春とか夏が多かったんです。「雪のときに来るな」って言われたんですよ、「やべえから」って。でも、そこしか暇がなくて。行ったら……まあ、実際行かなければ良かった(笑)。



―雪を見て、死を連想するというのはどういうこと?



金廣:俺にとっては普通の感覚なんですけど。その合宿のときは吹雪になると、前も見えないし、音も聞こえないし、本気でヤバいんですよ。つららとかも半端ないし、めっちゃ怖くて。死っていうか天災に近い。命の危険を感じるんです。そういう閉鎖的なところで生きてる自分がいて、死っていうテーマとリンクしたんです。死は解決しない問題だから、じゃあ、どう生きてくかっていう。ちょっとネガティブな感じは出てるけど、言ってることは「ディスポップサバイバー」とかと一緒ですね。生き残っていくぞ!っていう。



―たしかに《生きる事に獅噛み付いてる》っていうのは、一応、生きることを選んでますもんね。でもこういう曲が出てくると、「金廣くん、メンタル大丈夫?」って心配になる。



金廣:よく言われます(笑)。



当たり前のことなんですよね、死ぬことって。だから……常にあるものなんです



―タイアップとか、作った環境がリンクしてるのと同時に、いまの自分の気持ちとはリンクしてないんですか? ちょっとネガティヴ気味になってるとか。



金廣:と言うか、当たり前のことなんですよね、死ぬことって。だから……なんか常に考えてる……いや、常に考えてるわけじゃないけど、常にあるものなんです。だから、大丈夫か、大丈夫じゃないかで言ったら、俺は大丈夫。ふつうなんです。むしろ曲調的に大人っぽい落ち着いた雰囲気の楽曲ができたので、それに歌詞を寄せていったんですよ。



―なるほど。「ディスポップサバイバー」なんかは曲だけ聴くと明るいけど、歌詞はぐちゃぐちゃしてて。「ノーファング」は曲調と歌詞が一致してますもんね。



金廣:そうなんです。今回は曲の雰囲気にそのまま合う歌詞を書いてるんです。それは『空ばかり見ていた』(1stミニアルバム)よりも前にやってたことなんですね。自分のなかではスタンダードな作り方というか。新しい作り方ではないんですよ。



―どうして曲調と歌詞が一致する作り方をしなくなってたんですか?



金廣:自分の曲を自分の歌詞で批判するっていうのが腑に落ちてて、面白かったんです。『ウォールペーパー(ミュージックじゃ踊れない)』とかはそうですね。『未来(へのスパイラル)』(1stアルバム)は「ノーファング」寄りですけど。(曲と歌詞を)ぶつけるのが好きだったので、そういう曲ばっかりやっちゃってました。だから、ここまで暗い曲調で暗いことを歌うのをシングルで出したことはないと思います。



―ちょっと話が逸れるけど、わたし、学生のときに「実は暗いんだね」って人に言われて、けっこう傷ついた記憶があって……。



金廣:あははは!けっこう根に持ってますね(笑)。



―うん。金廣くんは自分のこと暗いと思う? 明るいと思う?



金廣:俺は明るいと思ってます。



―「ノーファング」の思考が普通なのだとしたら、そうは思わないけど。



金廣:あ、でもそれで言うと、俺が学生のときに言われて、いまも忘れないのは、手も繋がなかった元カノの友だちに「なんで金廣くん、いつも笑ってるの?」って言われたんですよ。そのとき、俺は友だちなんてほぼ作らないぐらいの表面的な付き合いをすることが多かったから、作り笑いをするのが上手だったんですよね。いまもそうかもしれないけど。それは心に残ってます。だから、なるべく心から笑おうと思ってるけど。うーん……でも楽しいことのほうが好きだし、暗くはないと思うんだけどなあ。



―まあ(笑)、暗い、明るいだけで語るのはナンセンスだけど、「死にたくないから生きる」っていう思考回路がふつうなのは、やっぱり闇を感じちゃう。



金廣:そうなのかな。でも、絶対にその対極も持ってるとは思ってますけどね。



―そうだね。そのふたつの間でいつも揺れるてるし、さっきの話みたいに昔から器用には生きられなかったことが、いまの歌詞につながってるんでしょうね。



金廣:それはそうだと思いますね。子供のころから転校ばっかりだったから、自己防衛力だけは研ぎ澄まされていったんです。喋りが上手くもなかったし、なかなか人に取り入ることはできなかったから。本当はそっちにいきたかったんですけど(笑)。





「クラスター」はありがたい遊びをさせてもらいました



―そうなったら、いまグドモはないですよ。では、2曲目「クラスター」の話を。この曲はおどろおどろしいイントロに驚きました。この遊びもタイアップがあったから?



金廣:本当に遊びですね。ありがたい遊びをさせてもらいました。「ノーファング」を作ったら、先方がめちゃめちゃ気に入ってくれたんです。で、「もっと相乗効果を出したいね」っていう感じで、「ゲームのスタート画面で流れる音楽を作れませんか?」っていう話をもらって。もし、それがうまくできたら(メインキャラクターをデザインしている)貞本(義行)さんにアーティスト写真も書いてもらって、完全にゲームとコラボしたいなって思ったんです。そうやって俺らが「Black Rose Suspects」に歩み寄ることで、より良いシングルができるんじゃないかなって。それに向かって「クラスター」は作った感じですね。



―曲のイメージについて先方からリクエストはあったんですか?



金廣:オーケストラでダークスリラーみたいな感じで出されました。でも俺、全然そういうのを見ないんですよ。(映画で)ゾンビがバーン!って出てきたりすると、笑っちゃうんです。実際に心霊スポットに行ったら、「マジで無理です」ってなるし、怖い話も苦手ですけど(笑)。だから、どういうのがダークスリラーっぽい音楽なのかがわからなくて、パッと思い浮かんだのが『X-ファイル』だったんです。最初それをイメージして作ったら、「ダークファンタジーですね」って言われて。ハリーポッター的な雰囲気で。



―怖さが足りなかったんですね。



金廣:「マジで!?これがファンタジーなんだ……」と思いましたけど。だいぶ音数を減らして、キラキラしてた部分を消したりして、OKをもらえたんです。



―オーケストラの楽器は生で入れてるんですか?それとも打ち込み?



金廣:音源的には弦とホーンが生なんですけど、それ以外はMIDIなので、生っぽく聴こえるようにボリュームとかベロシティ(強弱)を調整してるんです。めちゃめちゃ細かくやりましたもん。でも、その作業もそんな嫌いじゃないんだなと思います。あと、ドラムも生でぺギに叩いてもらってますね。スネアとシンバル。ペギがマーチングをできるイメージが一切なかったから、「できない」って言われたらどうしようと思いながら。



―歌詞はゾンビに追いかけられるところから始まるけど、夢オチですね。



金廣:やっぱりアンデットとかゾンビみたいなものは現実ではないですからね。何かが急に襲いかかってくるようなイメージっていうは言われてたので、どうにかしてゲームとリンクさせたいなとは思ってたんです。それで、ゲームに没頭してるダメな人間を書くか、夢オチにするか、もしくは完全に振り切り狂って自分がゲームの登場人物になるかは、すごい悩んだんですけど。自分が歌う上で登場人物にはなれなかったですね。(ゾンビに追いかけられたら)俺はすぐ死にますよ(笑)。咀嚼されて終わる。



―(笑)。歌詞では、夢から覚めても何かに追われてますけど。



金廣:そうなんですよ、かわいそうですよね。



―何に追われてるんですか?



金廣:時間と死じゃないかな。本当に最近は時間があっという間なんですよ。だから、死というタイムリミットですよね。だからこの曲でも「死」っていうものを書いてるんです。そこは今回の作品のなかでは一貫してると思います。



死を描くことで、生きることを書いた



―今回のシングルは死を描くことで、生きることを書いた1枚ということ?



金廣:そうできてたら良いなと思ってます。もともと曲自体も出す予定のものではなかったけど、結果的にシングルとして出す流れになったのが良いことだったというか。自分たちらしい、気張ってない感じがするんです。それは他の人が思ってる「自分ららしい」ではなくて、自分が思ってる「自分ららしい」。もっと言うと、今回は「俺らしい」なのかもしれないけど。そういうのが出せたかなと思います。



―いまだに他の人が思う自分たちとのギャップは感じます?



金廣:まあ、明るいバンドだと思われてますからね。明るいって何?って思います(笑)。曲を聞いて結果、明るい気持ちになれるなら良いんですけど。明るくはないですよね。



―そこに対して「もっとわかって!」って思います?



金廣:自分たちも、それを変えようとしたわけではないし、そこに寄せようとしてやってきた部分はあるんです。フェスで盛り上がる明るいバンドって感じでやってきたけど、ある意味、いまは力が抜けたかな。結局どちらも自分たちだし。実は、今年作った楽曲は良いのがいっぱいできてるんですよ。すごく豊作なんです。



―お、それは楽しみ。それが武道館を経た結果というと言い過ぎかな?



金廣:いや、そうだと思います。肩の力は抜けたし、ある部分では、逆に気が張ってるような気もするし。でも、曲作りの面では特にリラックスしてますね。自分はこうじゃなきゃいけないみたいなのは変わってきてるから、「ノーファング」も自然にできたし。無理してないし、自分たちが伝えられることを伝えるっていう感じですね。



―では、最後に来年の1月からスタートするツアーの話を聞かせてください。けっこう全国を細かく周りますけど、会場は狭いですね。



金廣:このぐらいのほうがちょうどいいんです。いままで対バンツアーはけっこうやったけど、ワンマンツアーは大きな都市でしかやってなかったんです。初めてワンマンが(代官山)ユニットだったから。それで小っちゃいところでやりたいっていうのがあるし。「ワンマンツアーにも来てよ」ってよく言われるので、行きますって感じですね。



―それで、タイトルも「あなたの街へ猛ダッシュで」になったんですね。



金廣:良いタイトルですよね。こないだファンクラブイベントをやったんですけど、それも小さいハコだったから、その感覚って良いなと思ったんですよ。肌感があるというか。ギターをこうやったら(差し出す仕草をして)触われるとか。Zeppだったら触われないじゃないですか。そういうところでワンマンができるのはすごく楽しみです。



―楽しそうですね。



金廣:うん、楽しいライブになると思います。



―いや、いま話をしてる金廣くんが生き生きしてて楽しそうだなと思って。



金廣:やっぱりライブが楽しいんですよね。歌もうまくなってきたし(笑)。



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グッドモーニングアメリカ リリース情報






TYPE-A






TYPE-B







ノーファング



10月12日発売



TYPE-A COCA-17239 ¥1,200(税抜)

(Black Rose Suspects の開発チームによる男性キャラクターのオリジナルステッカー封入)



TYPE-B COCA-17242 ¥1,200(税抜)

(Black Rose Suspects の開発チームによる女性キャラクターのオリジナルステッカー封入)




収録楽曲 01.ノーファング スマートフォン用本格サスペンスRPG「Black Rose Suspects」メインテーマ  02.クラスター スマートフォン用本格サスペンスRPG「Black Rose Suspects」オープニングテーマ  03〜06.「グッドモーニングアメリカTOUR 2016」FINAL@新木場STUDIO COAST 2016.4.24 (LIVE音源、TYPEにより収録楽曲が異なります)

<TYPE-A> 3. ディスポップサバイバー 4. キャッチアンドリリース 5. 境界を越えて 6. 言葉にならない

<TYPE-B> 3. 雨の日 4. 空ばかり見ていた 5. 一陽来復 6. 未来へのスパイラル



※封入特典「Black Rose Suspects Special Event」へ抽選でご招待!

「ノーファング」商品外貼り応募シールにてご応募頂きますと、グドモメンバー、豪華声優も出演のスペシャルイベントに抽選でご招待!詳細はオフィシャルサイトへ








グッドモーニングアメリカ主催フェス



八王子天狗祭2016(ハチオウジテングサイ 通称「ハチテン」)



■公演日:2016/11/5(土)



■会場:エスフォルタアリーナ八王子(http://hachioji.esforta.jp/)



■開場開演:10:00/11:00(予定)(終演20:30予定)



■出演:グッドモーニングアメリカ, アルカラ, THE BACK HORN, THE BAWDIES, フラチナリズム, GOOD ON THE REEL, Halo at 四畳半, ircle, KEYTALK, LEGO BIG MORL, ニューロティカ, Northern19, Rhythmic Toy World, STRAIGHTENER, SWANKY DANK, TOTALFAT, THE WELL WELLS



■チケット:前売り 5800円(税込)



詳細は http://hachiten.com



あなたの街へ猛ダッシュで〜ワンマンツアー2017〜



2017/01/07(土)大分club SPOT

2017/01/08(日)熊本Django

2017/01/09(月・祝)福岡CB

2017/01/11(水)長崎Studio DO!

2017/01/14(土)周南LIVE rise SHUNAN

2017/01/15(日)広島CAVE-BE

2017/01/21(土)松本ALECX

2017/01/22(日)神戸太陽と虎

2017/01/25(水)八王子Match Vox

2017/01/28(土)高知X-pt.

2017/01/29(日)高松DIME

2017/02/04(土)米子AZTiC laughs

2017/02/05(日)岡山IMAGE

2017/02/11(土・祝)新潟GOLDEN PIGS RED STAGE

2017/02/12(日)金沢vanvanV4

2017/02/18(土)奈良NEVERLAND

2017/02/19(日)京都KYOTO MUSE

2017/02/23(木)千葉LOOK

2017/02/25(土)水戸LIGHT HOUSE

2017/02/26(日)宇都宮HEAVEN'S ROCK VJ-02

2017/03/04(土)松阪M'AXA

2017/03/05(日)浜松FORCE

2017/03/11(土)旭川CASINO DRIVE

2017/03/12(日)札幌DUCE

2017/03/23(木)仙台MACANA

2017/03/25(土)盛岡CLUB CHANGE WAVE

2017/03/26(日)郡山CLUB #9

2017/04/09(日)大阪心斎橋BIGCAT

2017/04/15(土)名古屋BOTTOM LINE

2017/04/22(土)渋谷TSUTAYA O-EAST



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