「いつものようになってきたわね」そんな風に私が頷いていたのは月曜日、最後の1カードを残してリーガ4節が終了した時点での順位表を見た時のことでした。いやあ、シーズンも始めの数試合はどのチームも団子状態で、意外なところが首位に立って、話題を呼んだりもするんですけどね。さすがに4連勝ともなると、できるチームも限られてきて、レアル・マドリーが勝ち点12で堂々の1位。続いて2位には前々節、アラベス戦で躓いたせいで勝ち点9のバルサ、3位のラス・パルマスには少々、首を傾げる向きもあるかと思いますが、開幕から2連続引き分けとスロースタートだったアトレティコもいよいよ4位にまで順位を上げ、5位セビージャ、6位ビジャレアルとなれば、今季もまた優勝やヨーロッパの大会出場権は同じような面々で争われることになる?

まあ、そんなことはともかく、先週末のマドリッド勢の試合がどうだったか、お伝えしていくことにすると。土曜に先陣を切ったのは新弟分のレガネスだったんですが、どうやらアシエル・ガリターノ監督は2節でアトレティコをスコアレスドローに抑え込んだせいで、つい欲が出てしまったんでしょうかね。残念ながら、私はブタルケ(レガネス)まで行くことができなかったんですが、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に午後1時過ぎに足を向けたところ、バルサに前線からプレスを激しくかけていたのが裏目に出たか、すでにメッシに1点目を奪われているのですから、先が思いやられるじゃないですか。

その後もルイス・スアレス、ネイマールと前半だけでMSNに揃い踏みされ、いえ、後半はキャプテンのマントバーニが「vamos a salir a romperles el culo/バモス・ア・サリール・ア・ロンペールレス・エル・クーロ(奴らの尻を割るつもりで行こう)」とゲキを飛ばしていたのに従って、更にメッシのPK、ラフィーニャの豪快な一発で0-5となりながらも、ドリブルやフェイントといった、こじゃれた技を繰り出すネイマールなどには特に厳しく対応してはいたんですけどね。結局は後半35分にガブリエウが見事なFKで一矢を報いただけで、同じ昇格組のアラベスに続くことはできず、1-5の完敗をしてしまうことに。

ただ、それでもスタジアムを満員にしたファンたちはリーガの強豪と堂々と戦う地元のチームの姿を見られただけで幸せだったようですが、むしろ私が気になったのはこの水曜にはアトレティコとの試合が控えているにも関わらず、ルイス・エンリケ監督のローテーションが意外と少なかったこと。いえ、レガネスの攻撃力の弱さに3バックを採用、マスチェラーノに右SBの役目を与え、セルジ・ロベルトを温存していたなんてことはあったんですけどね。後半途中で交代したのはラキティッチ、ルイス・スアレス、イニエスタでしたが、メッシとネイマールはフル出場って相当、彼らの体力を信頼している?

その後、私は次の時間帯のアトレティコvsスポルティング戦を見にビセンテ・カルデロンに向かったんですが、こちらはキックオフからすぐ、呆気に取られることに。だって2分も経つ前に自陣でガメイロがイスマ・ロペスのバックパスを奪い、グリースマンにパスしたところ、GKクェジェルを物ともせず、先制点を叩き込んでしまったんですよ。おまけにそれから2分もしないうちに今度は左サイドからエリアに入ったガメイロがGKの頭を越えて斜めにネットに突き刺さるgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を挙げたとなれば、たとえ相手が「Hemos salido pensando que somos terceros/エモス・サリードー・ペンサンドー・ケ・ソモス・テルセーロス(3位なのはこっちだと思って、ウチはゲームを始めてしまった)」(アベラルド監督)という、油断大敵火がぼうぼう状態だったとはいえ、文句のつけようがないじゃないですか。

ところがその日のアトレティコは、自分たちが1点も取れなかった弟分から、次節のライバルが5点も奪ったという報に触発されたんでしょうかね。18分には先週、2020年までだった契約を2018年までに短縮したシメオネ監督に異議を唱えるのではなく、温かいコールがスタンドから送られた後の30分にもグリースマンがエリア前からビシッと決めて、前半だけで3点をゲット。もうこうなれば勝利は確実と、シメオネ監督も中盤はコケとサウルで、ガイタン、カラスコを両サイドに置いた超攻撃的布陣を、後半頭からカラスコの代わりにボランチのアウグストを入れてマイルドにすると、ガメイロ、グリースマンも早めに引っ込め、水曜に備えます。

ただ、それでもその日の彼らの攻撃力は衰えなかったんですよ。ええ、26分にはピッチに入ったばかりだったフェルナンド・トーレスがコレアのラストパスをゴール前でコースを変えて4点目。更に彼は44分にもガイタンがエリア内でリジョに倒されて獲得したPKを決め、とうとうバルサと同じgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を完成させてしまったとなれば、ここ10年間、白星を挙げていないカンプ・ノウに乗り込むに当たって、どんなにファンが心強く思ったことでしょう(最終結果5-0)。

え、だからって、バルサ戦でこんな景気のいいアトレティコを期待する訳にはいかないんじゃないかって?その通りで、温存策とは無縁の体力自慢のカンテラーノ(アトレティコB出身の選手)、コケなど、当人も試合後、「muy bien preparado fisicamente/ムイ・ビエン・プレパラードー・フィシカメンテ(フィジカル的にとてもよく準備ができている)」と言っていた通り、後輩のサウルと共に水曜も先発するでしょうけどね。この日の試合で休養できた先輩ガビがボランチには入るため、ガイタンかカラスコのどちらかがベンチスタートになるはずかと。

ついでに言えば、シメオネ監督が「Para mi el ano pasado fue el mejor jugador de Europa, no tengo ninguna duda/パラ・ミー・エル・アーニョ・パサードー・フエ・エル・メホール・フガドール・デ・エウロッパ、ノー・テンゴ・ニングーナ・ドゥーダ(昨季はヨーロッパ最高の選手だったことに、私はまったく疑いを持っていない)」と褒めてやまないグリースマンがプレーするのは確かですが、コンビを組むのはアトレティコが最後にアウェイで勝利を挙げた2006年2月のリーグ戦で2ゴールを決め、通算11試合で11得点とバルサに相性のいいトーレスか、その日のスポルティング戦で今季、プレーからの初ゴールを挙げ、怪しげなオフサイドで取り消されなければ、前線の同僚たちと並んでdoblete(ドブレテ/1試合2ゴールのこと)となっていたはずのガメイロかは迷うところ。

何であれ、「La dinamica es positiva y es un buen momento para visitar al Barcelona/ラ・ディナミカ・エス・ポシティーバ・イ・エス・ウン・ブエン・モメントー・パラ・ビシタル・アル・バルセロナ(チームの状況はポジティブで、バルセロナを訪れるにはいい時期)」(トーレス)というのは事実ですが、相手もMSNが絶好調ですからね。水曜午後10時(日本時間午前5時)からの一戦では、シメオネ監督も「Es futbol y unas veces se esta mas lucida que otras/エス・フトボル・イ・ウナス・ベセス・セ・エスタ・マス・ルシダ・ケ・オトラス(サッカーだから、他の時より冴えていることもある)」と言っていた、いい方のアトレティコが出てくれるといいのですが。

そして翌日曜はマドリーが一足早くバルセロナで試合をしたんですが、これはカンプ・ノウではなくてRCDEスタジアム。もう、毎年のように名前が変わるんでややこしくて敵いませんが、要はエスパニョールのホームです。ただそれだけでなく、実際、今季の彼らはキケ・サンチェス・フローレス監督が就任したことを始め、選手もかなり変わっているんですが、その日は初っ端からツキがありませんでしたね。というのも前半9分に早くもピアッティが負傷。ふくらはぎに全治3週間の肉離れを起こし、昨季までヘタフェにいたアルバロ・バスケスに代わったんですが、昨季同様、どうにも彼がパッとしないのは古巣に戻っても同じだったよう。

それとは対照的にアトレティコで居場所が作れず、ここ3年、ベティス、ラージョ、ビジャレアルとレンタル移籍を続け、今季からエスパニョールに河岸を変えたレオ・バチストンには先制のチャンスが回ってきたんですが、エリア内からの絶好のシュートを2年前まで当地の守護神だったカシージャに弾かれてしまう始末。うーん、開始早々にセルヒオ・ラモスに吹っ飛ばされ、相手にイエロカードをゲットさせたのはお手柄でしたけどね。25分に当人はエリア前で敵のパスを手で弾いたものの、「El sonido es a mano y no a cara. Ramos lo hizo muy bien, fue listo/エル・ソニードー・エスア・マノ・イ・ノー・ア・カラ。ラモス・ロ・イソ・ムイ・ビエン、フエ・リスト(あの音は手で顔じゃない。ラモスはとても上手くやった。賢かったね)」とフローレス監督も後で言っていたように、咄嗟に頭に当たった振りをしたのに審判が騙されて、2枚目のイエローカード&退場にはつながらず。

そうこうするうち、やはり風邪を引いたクリスチアーノ・ロナウドとCLスポルティングCP戦で腰に打撲を受けたベイルがお休みしていては、前半から点が取れなくても仕方ないと私も諦めていた前半ロスタイム、今季初先発したハメス・ロドリゲスがエリア前から放ったシュートがGKディエゴ・ロペスの脇をすり抜けて決まってしまったから、そこはさすがマドリー。そう、何せこのチーム、FWだけでなくて、MFまでゴールを決める才能を持った選手が揃っていますからねえ。その日は前半途中、ディオプに足を蹴られて負傷したカセミロの代わりに入ったクロースが2節のセルタ戦で挙げた決勝ゴールや次のオサスナ戦でモドリッチが決めたチームの5点目など、別に今季に始まったことではありませんが、前線が不発の場合でも何とかしてくれる中盤がいるっていうのは本当に羨ましい限りかと。

そして後半はリードしたことで、マドリーの選手たちもリラックスできたか、動きが良くなってきたんですが、待望の追加点が入ったのは25分。今度はカルバハル、ルーカス・バスケスとパスが繋がり、後者がゴール前に出したボールをベンゼマが決めてくれます。うーん、エスパニョールも途中出場のカイセドが至近距離のシュートを放つなど、得点のチャンスがなかった訳ではないんですけどね。正GKケイロル・ナバスの復帰が遅れている間にできるだけアピールして、出場機会を増やしたいカシージャに阻止されてしまい、結局最後は0-2のまま終了。前日の勝利で首位に並ばれていた宿敵にまた勝ち点3差をつけると共に、ジダン監督もグアルディオラ監督(現マンチェスター・シティ)がバルサ時代に作った16連勝というリーガ記録に並ぶことになりました。

え、この試合ではBBCが揃っていなかったにも関わらず、モラタが控えスタートだったのはこちらも次戦を見越しての休養だったのかって?いやあ、マドリーはお隣さんと違って、ホームでのビジャレアル戦と、それ程、片肘張って挑むことはないんですけどね。チームの和を重んじるジダン監督がハメスやアセンシオ、イスコらにも出番を与えたかったからだと思いますが、ここ20日前後で7試合の強行日程というのはCL、EL出場チーム、皆同じ。適度にローテーションをしていかないと早々にバテてしまいますので、ここ近年、お得意様となっているエスパニョール戦はいい機会だった?

といっている間に月曜の練習にはロナウドもベイルも復帰、水曜午後8時(日本時間翌午前3時)からの試合ではカセミロは無理としても、それ以外はバストメンバーで挑めそうなんですが、相手チームで今回、注目したいのはドイツ生まれのイタリア人FWサントーネ。ええ、日曜のレアル・ソシエダ戦ではチームの2点を挙げ、2-1の勝利に貢献した、サッスオーロから加入した新戦力なんですが、その2点目がセンターライン近くの右サイドから、50メートル近いロングシュートだったんですよ。

いえ、もちろんアトレティコから修行に出ているサントス・ボレの成長ぶりや、ベニテス監督下のマドリーで出場停止を知らずにコパ・デル・レイの初戦に出て、規則違反による敗退の原因となった後、移ったビジャレアルでも大ケガ。ようやく先日、実戦復帰が叶ったチェリシェフの様子も気になりますけどね。果たしてサンティアゴ・ベルナベウで波乱を起こすことができるんでしょうか。

そして最後にレガネスはこのミッドウィーク開催のリーガ、木曜にデポルティボとのアウェイ戦なんですが、ここまで1勝1分け2敗の彼らは現在14位。もちろんリーガにはまだ今季、1勝もしていないチームが6チームもありますし、どうしたことか、バレンシアなど、勝ち点1すら獲得できていないため、そんなに状況は悪くないんですが、そろそろ降格を争うことになりそうな相手からは白星をつかんでいかないと。そういえば、対戦相手の指揮官もガリターノ監督ですが、あちらは1年前までエイバルにいたガイスカ・ガリターノ監督。順位は11位と向こうの方が上とはいえ、新入団選手が多くて、まだ本調子になっていないのは同じなので、いい勝負になると思います。

【マドリッド通信員】
原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。