「せっかくのチャンスなのに着ないんだ」そんな風に私が失望していたのは金曜日、次のレアル・マドリーのリーガ戦の相手、エイバルのメンディリバル監督のコメントを聞いた時のことでした。いやあ、水曜にCLドルトムント戦が終わった後、思わずマルカ(スポーツ紙)のガイドブックを開いて、エイバルのユニフォームの色をチェック。第3ユニが黄色だということに気づいたのは私だけじゃなかったようで、その件についてはここ数日、マスコミでも取り沙汰されていたんですけどね。サンティアゴ・ベルナベウで彼らを迎えるチームはlos blancos(ロス・ブランコス/白の人たち、マドリーの愛称)とあって、アウェイのエイバルはどのユニフォームを選ぼうと自由だったんですが、どうやらメンディリバル監督は「El amarillo tampoco nos ha ido bien a nosotros/エル・アマリージョ・タンポk・ノス・ア・イドー・ビエン・ア・ノソトロス(黄色はウチにもいい結果じゃなかった)。ここ2年、負けているし」と、まったく乗り気ではないよう。

でもねえ、ドルトムント戦の後、バランなどは「Pagara la cuenta el Eibar este domingo/パガラ・ラ・クエンタ・エル・エイバル・エステ・ドミンゴ(この日曜はエイバルがツケを払うことになるだろう)」なんて、悔し紛れに言っていましたし、彼らの第1ユニはバルサ系のazulgrana(アスルグラナ/青と緋色の縞)。それを見るだけでマドリーの選手たちが永遠のライバルを思い出し、むやみに発奮されてしまっても困るのでは?

ただ実際のところ、相手がビジャレアル、ラス・パルマス、ドルトムントと黄色いユニを着たチームと対戦して、ここ10年間なかった3試合連続引き分けという不調に陥ってしまった本当の理由は、負傷でカセミロが出られなかったことですからね。この週末にも彼の回復は間に合わないとわかっているとなれば、わざわざジンクスに頼る必要はないと、監督が判断したのも当然だったかもしれません。

まあ、そんなことはともかく、今週のCLグループリーグ2節でマドリッド勢がどうだったか、お伝えしておかないと。火曜に先にプレーしたのはマドリーの方だったんですが、ジグナル・イドゥナ・パルクの圧巻のスタンド全面黄色の応援にも怯むことなく、立ち上がりは順調だったんですよ。そう、前半16分には中盤の1人して先発したハメス・ロドリゲスのスルーパスをベイルがエリア内で戻すと、そのボールをクリスチアーノ・ロナウドが撃ち込んで見事に先制ゴールをゲット。おかげで先日のラス・パルマス戦では残り時間が20分もあるのに温存交代させられて不機嫌を隠せず、ジダン監督との確執が心配されていた当人もベンチ前まで駆けつけて、仲の良さを披露することもできたんですが…。

雲行きが怪しくなってきたのは40分過ぎで、いえ、元はと言えば、セルヒオ・ラモスが不必要なファールでドルトムントにFKを与えてしまったせいだったんですけどね。不運だったのは、昨季終了後にアキレス腱の手術をして、ようやくこの日、満を持して実戦復帰したGKケイロル・ナバスが「No vi salir el balon y tome una mala decision/ノー・ビ・サリール・エル・バロン・イ・トメ・ウナ・マラ・デシシオン(ボールの出所が見えなくて誤った判断をしてしまった)」と、ゲレイロのFKをパンチングで処理。これが「es un poco mala suerte porque el balon me toca la cara/エス・ウン・ポコ・マラ・スエルテ・ポルケ・エル・バロン・メ・トカ・ラ・カラ(ちょと運が悪くて、ボールがボクの顔に当たった)」というバランを経由してゴールへ。入る直前に押し込んだオバメヤングの得点となって、ハーフタイムを前に同点に追いつかれてしまったとなれば、どこかラス・パルマス戦を彷彿させるイヤな展開じゃないですか。
ええ、ツイていないことに、その予感は的中してしまいます。後半も22分にはロナウドのクロスをベンゼマはvolea(ボレア/ボレーシュート)でゴールポストに当ててしまったものの、こぼれ球をバランが押し込んでマドリーは再びリード。その後、どこか引き気味なった彼らはナバスの汚名返上のparadon(パラドン/スーパーセーブ)にも助けられ、いよいよ試合はラストが見えてきたんですが、悲劇が訪れたのは41分のことでした。そう、19歳のデンベレの代わりに入った18歳のプリシッチが右サイドから上げたクロスを、カルバハルがオバメヤングにも邪魔されてクリアしきれず。おかげでゲッツェから代わったシュールレにエリア内から弾丸シュートを撃ち込まれ、またしてもリードがふいにって、学ばないにも程がある?

ジダン監督もその後、ようやくモラタを投入、少ない残り時間で根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)を期待したんですが、時すでに遅し。結局、2-2で引き分けて、「Al final siempre lo mismos, es ya el tercer partido/アル・フィナル・シエンプレ・ロ・ミスモス、エス・ジャー・エル・テルセール・パルティードー(最後はいつも同じ、もう3試合目だ)」(ジダン監督)という顛末に。うーん、まだグループリーグは4試合もありますし、マドリーとドルトムントは同じ勝ち点4で3位のスポルティングCPを1ポイントリードしていますから、そういう意味では心配することはないんですけどね。

この試合では20回もシュートを撃たれ、ナバスが12回もセーブしなければならなかったとはいえ、そんなマドリーにガンガン、攻撃を仕掛けてくるチームなど、数が限られているとなれば、そうそう悲観したものではないと思うものの、試合後のジダン監督は「Estoy jodido por los jugadores, no es merecido/エストイ・ホディードー・ポル・ロス・フガドーレス、ノー・エス・メレシードー(選手たちのために最悪に感じている。ウチは引き分けに値しなかった)」と残念がることしきり。曰く「あと1ゴールが足りなかった。リードが1点だけではこんなことも起こる」そうなんですが、まあ確かにgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)体質の彼らからしたら、2点しか取れないなんて、あってはいけないことなのかもしれません。

そして翌水曜にはお隣りさんがホームでバイエルン戦だったんですが、たとえ、グループリーグとはいえ、ヨーロッパのビッグクラブを迎えるとなると、俄然張り切ってしまうのがアトレティコのファン。まだ9月だというのに大掛かりなモザイクを準備して、ハートマークが浮かんだバックスタンドに「Dale Alegria a Mi Corazon/ダレ・アレグリア・ア・ミ・コラソン(私の心に喜びを与えて)」」という横断幕が出現、そこへアカペラのイムノ(クラブ歌)で迎えられれば、選手たちだって、恐れを忘れてドイツの強豪に立ち向かう勇気が沸いてくるってもんじゃないですか。

え、それでも試合は昨季のCL準決勝の2試合みたいに相手に攻められてばかりだったんだろうって?それがこの日はちょっと趣が変わって、いえ、序盤にはミュラーに至近距離から撃たれたりして、ドッキリさせられたりはしたんですけどね。どうやら本当の役目はシャビ・アロンソのチェックだったようですが、シメオネ監督に予告されて先発したフェルナンド・トーレスがハッスル。前半からシュートをゴールポストに当てるわ、エリア内から惜しくもネット脇に撃ち込むわと、場内を騒然とさせることに。

ただ彼が本当に得点に貢献したのは35分のことで、敵陣でハビ・マルティネスからボールを奪うとそれをグリースマンにパス。そこから、「Lo vi que se iba, que estaba solo y le meti el balon/ロ・ビ・ケ・セ・イバ、ケ・エスタバ・ソロ・イ・レ・メティ・エル・バロン(走り出したのを見て、フリーだったからボールを渡した)」(グリースマン)とカラスコに繋がったところ、彼のシュートがゴールポストに当たってネットに収まってしまったから、ビックリしたの何のって!
いやあ、後で当人もこれには「tuve la suerte de que fue palo y para adentro/トゥベ・ラ・スエルテ・デ・ケ・フエ・パロ・イ・パラ・アデントロ(ポストに行って中に入ったのはラッキーだった)。これまでずっとポストに弾かれていたから」と喜んでいましたが、それもこれもアトレティコの前線が敵の守備ラインにしつこくプレスをかけていた賜物。加えて、グリースマンはアレックス・ビダルをチェック、アラバとリベリはガビ、サウル、ファンフランでコントロールし、ラームとボアテングの前でボールを奪えば前方に走り込める大きなスペースができるというところまで、シメオネ監督の作戦がツボにはまったんですが、その指示通り、「Esta ha sido una de las mejores actuaciones que hemos tenido/エスタ・ア・シドー・ウナ・デ・ラス・メホーレス・アクトゥアシオネス・ケ・エモス・テニードー(これはウチがやった中で最高のパフォーマンスの1つだった)」と指揮官も絶賛していた程、しっかり働いた選手たちも偉かった?

そして1-0のままで後半が始まったところ、ビセンテ・カルデロンでは前職のマドリーを率いて、最後のリーガダービーで4-0の大敗をした苦い思い出が蘇ってきたのかもしれませんね。前日、記者会見のためにスアジアムに来た時には、プレスルームへの行き方を訊きにチケット窓口の横にあるマスコミ用の受付にいきなり、ジャージ姿で現れ、私を驚かせてくれたバイエルンのアンチェロッティ監督は早いうちにロッベン、フンメルス、キミッヒと交代カードを次々使用。

「jugamos muy lentos, ese fue el problema para tener mas ocasiones para empatar/フガモス・ムイ・レントー、エセ・フエ・エウ・プロブレマ・パラ・テネール・マス・オカシオネス・パラ・エンパタール(ウチはとてもゆっくりしたプレーをしていた。それが同点のチャンスをもっと作るためには問題だった)」(アンチェロッティ監督)とのことで、それで流れを変えようとしたんですが、あまり効果は上がりません。いえ、それどころか、38分には敵エリア内に侵入したフィリペ・ルイスをビダルが臆面もなく突き倒し、ペナルティを取られているって、よっぽどフラストレーションが溜まっていた?

おかげで、まだ不安を抱いていたファンたちもこれで勝利は確定とばかり舞い上がったんですが、そこで期待をしっかり裏切ってくれるのは、未だに根絶することはできないアトレティコの十八番。そう、キッカーを務めたグリースマンが見事にPKを枠に当てているんですから、困ったもんじゃないですか。いえ、昨季のCLミラノ決勝でもPKを失敗している当人は、「入れようとしているんだけど、入る時もあれば入らない時もある。No es el ultimo que voy a fallar/ノー・エス・エウ・ウルティモ・ケ・ボイ・ア・ファジャール(あれがボクが外す最後じゃないよ)」と試合後、開き直っていましたけどね。

幸い試合終了間際にヘッドを放ったのがセルヒオ・ラモスではなく、ロッベンだったため、2年前のリスボンでの決勝でのように痛い思いはせずに済んだものの、これはちょっとねえ。シメオネ監督も「Ha fallado una pena como ha fallado Maradona o Messi/ア・ファジャードー・ウナ・ペナ・コモ・ア・ファジャードー・マラドーナ・オ・メッシ(マラドーナやメッシのようにPKを失敗した)」と庇っていましたが、MSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)が揃うバルサではともかく、前者がアルゼンチン代表で失敗して悲惨な結果になった昨夏のコパ・アメリカ決勝のような例もあるんですから、ここは少し真剣にPK練習をしてもいいんじゃないでしょうか。

まあ、そんな感じで最後までアトレティコはリードを守り抜き、バイエルンを1-0で破って勝利。スタジアムに駆けつけたサポーターを失望させることはなかったんですが、唯一の悪いニュースはこの試合でゴディンが足首を捻挫してしまったこと。ええ、今週はマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場の芝の状態が悪いため、そこからあまり遠くないラス・ロサスのスペイン・サッカー協会施設のグラウンドを借りてセッションをしている彼らですが、金曜の時点でも彼は1人リハビリメニューだったため、この週末のリーガ戦に出場するのは難しいかと。何せ、今はウルグアイ代表後輩のヒメネスも太ももの負傷で治療中ですからね。一応、CBはサビッチとルーカスのコンビで乗り切れるはずですが、いざとなったら、同日、協会施設内でロペテギ監督が発表したスペイン代表招集リストにコケと共に名を連ねた、マルチプレーヤーのサウルが出動することになるかも。

逆に朗報は、ヒザの靭帯断裂で全治7カ月となってしまったアウグストと入れ替わりで、チアゴにalta(アルタ/全快通知)が出たことで、これで中盤は安泰ですが、日曜正午(日本時間午後7時)からのバレンシア戦では、すでにアジェスタラン監督の後任が元イタリア代表監督のプランデッリ氏に決まったというものの、まだボロ代理監督が指揮を執るというのはちょっと懸念の種。何せ、相手は抜群の勝ち運の持ち主で、今季1勝も挙げてなかったチームを引き継いで以来、アトレティコが引き分けるしかできなかったアラベス、レガネスに連勝していますからね。バイエルンを倒したことで、選手たちの気が大きくなって、うっかりボロ・マジックにはまってしまわないといいのですが。
一方、前節にその犠牲になってしまったマドリッドの新弟分、レガネスは土曜午後1時(日本時間午後8時)にグラナダとのアウェイ戦ですが、守備崩壊でチームが昨季のラージョ状態になっていたせいでしょうかね。6節終えたところで相手のパコ・ヘメス監督が解任されてしまい、この試合はBチームを率いていたプラナグマ監督が担当することに。そのため、どんな戦略でくるのか、まったくわからなくなってしまいましたが、この先、2週間は代表戦でリーガがありませんからね。できれば、勝ち点を増やして気分よくparon(パロン/休止期間)を過ごしたいところかと。

そして日曜午後4時15分(日本時間11時15分)にエイバルを迎えるマドリーの最新の情報は今季、ローテーションを積極採用しているジダン監督がとうとう、ここまで全試合に出ていたラモスを控えに回すらしいこと。何せ、彼は来週のスペイン代表ユーロ予選、イタリア戦とアルバニア戦でも出づっぱりになる可能性が高いですからね。となれば、ここでお休みして、逆に出場時間が少ないながら、ロペテギ監督が声をかけてくれたイスコやナチョ、ルーカス・バスケス、モラタらが足慣らしをできるといいのですが、さて。そうそう、これまでマルセロの代わりの左SBにナチョ、ダニーロを使ってきたジダン監督ですが、この試合ではいよいよコエントランが見られるかもしれませよ。

【マドリッド通信員】
原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。