ロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の第3戦、日本代表vsイラク代表が6日に埼玉スタジアム2002で行われ、日本が2-1で勝利した。

試合後会見に出席したヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、「美しい勝利ではないが、勇気の勝利」とイラク戦を分析。チームに最後まで声援を送ってくれたファン、日本国民、そしてメディアに対して、「ありがとう」と感謝の意を表した。

◆ヴァイッド・ハリルホジッチ監督(日本代表)
「手短に話したい。選手は強い気持ちと勇気を持って戦い、勝つことができた。それから、観客のみなさんにも最後まで応援してくれたことを感謝したい。これは本当に価値の高い勝利。『強い気持ちを見せろ』と言ってきた。難しい試合だったが、勝利に値したと思う」

――清武弘嗣(セビージャ/スペイン)を先発起用した意図、評価について
「清武は(所属クラブで)プレータイムが短い現状があったが、(香川)真司より1日半早く帰国したので、そこのアドバンテージがあった。この時間が私にとって重要だった。(清武は)良い試合をしてくれた」

「今まで通りの綺麗なフットボールはできなかったし、ゲームのリズムもなかなか生まれなかった。ただし試合前にみなさんに伝えたが、これはメンタルと勇気が必要な試合だった。FKから失点したが、それも少し厳しくやっていかないといけないと思う。(ボスニア・ヘルツェゴビナ戦で)FKから3失点目を喫したのはちょっと多い」

――ドイツから帰国時、「日本に戻ってきて残念」と言っていたMF山口蛍(セレッソ大阪)の評価について
「タイ戦で山口は、スーパーな試合をしてくれた。今回(先発から外れたの)はタクティクスチョイスだ。柏木(陽介)が後ろから組み立てることが必要だった。失点する前から、この交代を考えていた」

「ボールを奪うところで少し疲労を感じていた。山口に説明していたので、失点のシーンを見ていない。少し投入が遅かった。できるだけ高い位置でプレスをかけ、そして可能であればシュートを打つように指示した」

「今日は山口に関して、かなり良いフィーリングがあった。アグレシッブさをもってボールを奪うところが彼は興味深い。山口はそんなにゴールを決めないが、(今日のゴールは)嬉しい」

「今日は山口と長谷部(誠)に冗談で『今日、得点を決めたらシャンパンをおごる』と言ったが、彼はシャンパンを2杯飲めるぐらいの価値をもたらしてくれた」

──オーストラリア戦の見通しについて
「おそらく2〜3人の変更はあると思う。それから選手たちがどれだけ回復するかも重要だ。2試合目はよりフィジカルを重視する。試合前の2日で急に疲労が回復することはない。今回は少し時間があるが、この勝利でより喜びは湧いた」

「このような形で勝利することはこれまでなかった。これがW杯(予選)。これが、我々の強い気持ちをつくっていく。この勝利は勝ち点3だけではなく、メンタル面、勇気というものをチームは学んだ。困難に直面したとき、より良い結果を出せるかどうかが重要だ」

──原口元気(ヘルタベルリン/ドイツ)が2試合連続でゴールを決めた。今日は山口も決めたが、チーム内に競争が生まれると感じるか
「このチームの強みは多くの選手が点をとっていることだ。浅野(拓磨)もチャンスが2回あったし、山口もそうだし、(吉田)麻也もヘディングでチャンスがあった。全員でチャンスをつくった。得点率をもっと高めたい」

「なぜなら、毎試合10回もチャンスをつくれないからだ。特に、中盤のグループにはしっかり枠を捉えればゴールを狙えるという話はしていた。山口は頻繁ではないが、点を取ってくれて嬉しい。もっと頻繁に点をとる選手が必要。探し続けないといけない」

──苦戦した理由は何か
「確かにイラクは力強い選手が多く、空中戦とデュエルで挑んできた。就任当初から空中戦、地上戦でデュエルをやっていこうと話してきたが、そこはおっしゃる通りパフォーマンスがなかなか上がらない。それもあって、中盤でボールを奪えるように山口を入れた」

「イラクは我々よりもデュエルが強く、身長も高く、困難な状況になった。もう一度言うが、選手が多くの戦いをしていない。予測、デュエル、リズムの変化もそう。プレー時間が少ない選手に影響が出た」

「今までやってきた美しい繋ぎは、確かに出せなかった。しかし、それがなかったとしても、今日はいくつかビッグチャンスをつくった。伸びしろはたくさんあると思う。おっしゃるように、空中戦のデュエル、地上戦のデュエルをしっかり伸ばさないといけない」

「4-0、5-0で常に勝てるという希望を私は持っていない。今日はしっかりと勝てたことが素晴らしかった。次のオーストラリアでは、より空中戦と地上戦が多くなる。選手はしっかりデュエルで勝てる習慣をつけなければならない試合となる」

「どのようなチーム編成でオーストラリアに臨むか。今は考えているところだ。オーストラリアはイラクよりもパワーがある」

──ゴール近くでFKがいくつか取れていたが
「(W杯2次予選の)カンボジア戦でFKをとって以来だ。あれが最後のFKだった。日本はファウルを誘わず、16メートルのFKもPKもない状況だった。いつも通り一対一でファウルを誘うように言ってきた」

「今回のイラクは、多くファウルをする傾向があった。ただ、まだ真ん中ではもらっていない。今日は素晴らしい試合をしたわけではないが、勇気を持った試合になった。それを私は求めていた」

「このチームが、どのようなフィジカル状態か理解していた。選手にはメンタルが、勇気が大事だと伝えていた。このことが勝利につながってよかったと思っている。

「ただイラクも良いチームだった。彼らはオーストラリアにも、サウジアラビアにもしっかりプレーしていた。イラクはオーストラリア相手に、我々よりもチャンスを作っていた。イラクを過小評価してはいけない」

「若い年代でも結果を残している。ロングボールとデュエルを挑んできて、困難な状況をつくった。FKの3失点目ということで、21番(サード・アブドゥルアミール)に対するファウルを2回与えてしまい、2回目で失点に繫がった。しっかり説明していかないと」

「もう一度、埼玉のみなさんにありがとうと言いたい。サポーターも苦労を味わったが、彼らの励ましが我々への後押しになった。国民のみなさんにも、心の底からありがとうと言いたい。チームも非常に苦しかったが、国民のみなさんが最後の最後に選手に勇気を与え、それが結果に繫がった」

──長い後半のアディショナルタイム中に引き分けを覚悟したか
「今になって言うのは簡単だ。ただ、勝つことはずっと考えていた。チームの強い気持ちを感じた。ナイーブさは見られたが、そうはいっても選手は強い気持ちを見せていた。勇気を見せた。初めて選手たちがピッチ上で叫んでいた。それが報われた」

「美しい勝利ではないが、勇気の勝利だった。これまでは美しいパスワークなどが見られたが、今回は強い気持ちと勇気でももぎ取った勝利。強豪国もいつも美しい勝利をしているわけではない。本当に選手はキツかったと思う」

「選手には、キツい中で本当によくやってくれた。メディアのみなさんも疲れたと思う。メンタルで戦ってくれて、選手、観客の皆さん、そしてメディアのみなさんにもありがとうと言いたい」