「だったら最初から行かなきゃ良かったのに」そんな風に私が呆れていたのは土曜日、paron(パロン/リーガの休止期間のこと)前のエイバル戦でアップ中にふくらはぎを痛めながら、クラブーの反対を押し切ってコロンビア代表に参加したレアル・マドリーのハメス・ロドリゲスが、この日曜にはマドリッドに戻って来るというニュースを知った時のことでした。いやあ、当人も帯同中に高気圧酸素療法などで早期回復に努めたものの、結局、火曜のW杯予選ウルグアイ戦には間に合わないという理由らしいんですけどね。

直前のバレンシア戦をスタンドで見学して、ウルグアイがベネズエラに3-0と完勝した試合でしっかりキャプテンマークを巻いていたアトレティコのゴディンとは真逆のパターンとなりましたが、実際、そうなるんだったら、木曜のアスンシオンでのパラグアイ戦の後、次戦の行われるバランキージャまで付き合って計2万1300キロもの移動をせず、丁度モドリッチ、カセミロというお仲間もいるんですし、ハメスも一緒にバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でリハビリしていた方が治りも早かったかも。

え、そうは言ってもアトレティコにも代表不思議参加をしてきた選手がいたじゃないかって?その通りで、こちらはサウルなんですが、合宿2日目こそ全体練習に参加したものの、スペイン代表がトリノへ移動した水曜のユベントス・スタジアムでのセッションでは1人、ピッチの外で自転車漕ぎをさせられている始末。当然、翌日の試合にも出られなかったため、ロペテギ監督もだったら、マハダオンダ(マドリッド近郊)のアトレティコ練習場で先輩たちと並んで自転車を漕いでいる方がくつろげていいんじゃないかと思ったんでしょうかね。金曜にはアルバニアに向かうチームと離れ、帰国することになったとはいえ、イタリアースペイン間はせいぜい2時間の旅程ですからね。ハメスと違って時差ボケがないだけ、助かっている?

まあ、そんなことはともかく、そのスペインのW杯予選2戦目がどうだったか、お伝えしておかないと。結論から言えば、夏のユーロからあった彼らの欠点はいまだ改善されておらず、いえ、相手はイタリアで、9月のリヒテンシュタイン戦のような贅沢なgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が望める訳もないのは最初からわかっていたんですけどね。前半は一時、86%もの高いボールポゼッションを記録しながら、なかなか決定打が撃てず。むしろ、21分にはケガで早々にジョルディ・アルバ(バルサ)がナチョ(マドリー)に交代せざるを得なかったことの方が心配されましたが、それはセルヒオ・ラモス(マドリー)に弾き飛ばされて、モントリーボ(ミラン)をヒザの靭帯断裂で失ったイタリアも同じだったかも。

ようやく均衡が破れたのは後半に入ってからで、9分、ブスケツ(バルサ)が自陣から放ったパスを追ったビトロ(セビージャ)がエリア内に突入するのを防ごうと、GKブッフォン(ユベントス)が飛び出して来たところ、当人も「No me esperaba algo asi, en esas ocasiones el portero siempre despeja/ノー・メ・エスペラバ・アルゴ・アシー、エン・エサス・オカシオネス・エル・ポルテーロ・シエンプレ・デスペハ(ああいうことは予期していなかった。あんなケースでは普通、GKがクリアしてしまうものだからね)」と言っていたように、かわして前進できたから、驚いたの何のって。そのままビトロのシュートが決まって、スペインが待望の先制点を手に入れます。

実際、後でブッフォンも「相手が自分の進行方向にいたから、ぶつかるのを恐れたんだ。それでボールをサイドラインの外に出そうと足を回したら、失敗した」と自身の過ちを認めていましたし、これは完全に敵のミスによるラッキーゴールなんですけどね。それまでGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)が脅かされる場面があった訳でもないため、私もこれで上手く逃げ切れるかと思ったんですが、そうは問屋が卸さないのが強豪国たる所以。ベントゥーラ監督がペッレ(山東魯能)をインモービレ(ラツィオ)に代えたことをキッカケに、いえ、その交代が意に染まず、ベンチに戻る時に前者が上司に挨拶をせず、悪態をついていたせいで、その試合後、イタリア代表を追放されたなんて話はまあ、どうでもいいんですけどね。

その頃からスペインのポゼッションが減ってきたんですが、それよりロペテギ監督はセリエAの筋金入りのDFたちとやりあっていたジエゴ・コスタ(チェルシー)がエキサイトしてきたことを懸念。2枚目のイエローカードをもらうことを恐れ、22分にはモラタ(マドリー)と交代させたんですが、せっかく昨季まで2年間、過ごした古巣のサポーターが拍手で迎えてくれたにも関わらず、こちらもほとんどチャンスを作る役には立ってくれません。ええ、そうこうするうち、悲劇が起きて、それは36分。ラモスがエリア内でエデル(インテル)の足を蹴って、またしてもペナルティを取られてしまったから、困ったもんじゃないですか。

いえ、最初は主審もスルーしていたんですが、副審のご注進で判定が出たため、当人が「Es un penalti riguroso, de esos que se pitan uno de 40/エス・ウン・ペナルティ・リグローソ、デ・エソス・ケ・セ・ピタン・ウノ・デ・クアレテンタ(40件あって1つ取られるかどうかの厳格なペナルティだよ)」と文句を言う気もわかるんですけどね。まだ10月だというのに、UEFAスーパーカップのセビージャ戦から始まって、オサスナ戦、ビジャレアル戦ときて、これで今季4つ目のペナルティを犯したとなれば、先日のアトレティコ戦で2本のPKを止めたバレンシアのGKジエゴ・アウベスと同じぐらい注目を浴びても仕方ないかと。

結局、このPKはデ・ロッシ(ローマ)がしっかり決め、そのままイタリアとスペインは1-1で引き分けたため、試合後はマスコミの集中砲火を受けたラモスが、「イタリアでは代表の顔であるブッフォンがミスしても拍手される。スペインではブーイングを受けるんだ」と開き直ることに。とはいえ、片や19年間の代表歴で161キャップ、38歳の大御所と、すでに133キャップとはいえ、まだ10年選手のラモスを比べるのは無理がありますし、当のブッフォンも「批判されるかされないかは、ミスの回数次第だろう。1カ月に1度とかだったら、問題だよ」と言っていたように、猿も木から落ちる程度なら別にいいんでしょうけどね。

それでも「Que disfruten ahora quienes me tienen que rajar porque ya luego callare bocas/ケ・ディスフルエン・アホラ・キエネス・メ・ティエネン・ケ・ラハール・ポルケ・ジャー・ルエゴ・カジャレ・ボカス(ボクを叩いている奴らは今を楽しむといい。前にも自分は口を閉ざさせてきたからね)」と言ってしまえるのは、決して落ち込まないラモスのいいところではありますが、2018年のロシアW杯に直接参加が決まるのはグループのうち、首位1チームだけ。あとでこの勝ち点2を失ったことが、悔やんでも悔やみきれない結果に繋がらないことを祈っていますが…。

そして翌日もトリノで練習して、夕方にはアルバニアのシュコドラに着いたスペインでしたが、どうやら会場となるロロ・ボリチ・スタジアムは木曜に予選初参加のコソボがホームとして使用したため、あまり芝の状態が良くないのだとか。ただ、その際にはモドリッチやラキティッチ(バルサ)が負傷で参加していないものの、コバチッチ(マドリー)が先輩の代役を頑張り、ブルサリコ(アトレティコ)もフル出場したクロアチアがマンジュキッチ(ユベントス)のハットトリックなどもあって、0-6で大勝。とはいえ、アルバニアは現在、マケドニアとリヒテンシュタインに2連勝して首位ですし、昨夏のユーロにも出場しているため、そんなに沢山、ゴールが生まれる展開にはなりそうもありませんが、ロペテギ監督がイタリア戦から、ある程度のローテーションを考えているのかは不明。

いえ、セルジ・ロベルト(バルサ)は故障を抱えているので、カルバハル(マドリー)が右SBをリピートするぐらいはわかるんですけどね。すでにバルセロナに戻ったジョルディ・アルバの代わりに急遽、駆け付けたモンレアル(アーセナル)が左SBに入るのか、ナチョで連投するのかは微妙なところですし、前日記者会見では「Llevamos 9 goles en dos partidos oficiales/ジェバモス・ヌエベ・ゴーレス・エン・ドス・パルティードス・オフィシアレス(ウチは公式戦2試合で9ゴール挙げている)。だからウチのチャンスメークと得点効率には満足しているよ」と言っていたものの、うち8点がリヒテンシュタイン戦だったことはロペテギ監督も承知しているはずですから、前線の変更もありうるかも。ええ、コスタからモラタに代えることだけでなく、ノリート(マンチェスター・シティ)やルーカス・バスケス(マドリー)らが先発に入ったって、ちっともおかしくありませんって。

そんなアルバニアvsスペイン戦は日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からキックオフなんですが、一応、他国の予選でも目立ったマドリッド勢を挙げておくと、うーん、木曜にベイルがオーストラリア戦で自慢の脚力ではなく、腕力を見せつけて、ロングスルーインから、ウェールズに2-2の引き分けをもたらす同点ゴールを導いたことは褒めるべきなのか、ちょっと迷うところなんですけどね。というのもリーガだと、そういうプレーは下位チームの十八番だったりするため、マドリーでは推奨されない気がするからですが、久々に破壊力を存分に披露したのは金曜に、ユーロ以来となるポルトガル代表でプレーしたクリスチアーノ・ロナウド。

ええ、まるで元マドリー監督のカペッロ氏が「チームの問題はロナウド。フィジカル的に良くない」と、ここ4試合連続引き分けの原因に挙げていたのを笑うかのようにpocker(ポケル/1試合4得点のこと)を達成しているんですもの。それも序盤の2分間で2ゴールとなれば、フランスのラジオで「ウチがキックオフから試合に集中できないのは、creo que el problema es psicológico, no físico/クレオ・ケ・エル・プロブレマ・エス・シコロヒコ、ノー・フィシコ(問題はフィジカルでなく、心理的なものだと思う)」と言っていたジダン監督も、たとえ相手はアンドラだったとて、ちょっとは安心できたかと。

一方、アトレティコ勢もそれに対抗するように同日夜にはフランス代表で爆発。こちらはブルガリア戦でガメイロが2発、グリースマンが1ゴールを挙げ、4-1の勝利に貢献していますが、何より良かったのは前者の2ゴール目が後者からのアシストだったことでしょうか。ええ、折しもガメイロはその試合の前、「ボクは彼に今季3アシストしているけど、彼はまだゼロ。自分にもラストパスがほしいね」と言っていましたしね。お互いに代表でも相性のいいところを見せていけば、近々、お隣さんのベンゼマの再招集があってもガメイロがデシャン監督に忘れ去れることはない?

いえ、アトレティコの選手ではフィリペ・ルイスもブラジルのボリビア戦で得点したそうですが、土曜日もドイツのクロースがチェコ戦でゴールを挙げたとかで、まだマドリー勢の方が多いんですけどね。その上、予選3節はポルトガルがフェロー諸島、フランスはオランダ戦とあって、ますます差をつけられてしまうかもしれませんが、まあ、こればっかりはねえ。この代表戦週間が終わると、またリーガ、CLのハードスケジュールが始まるため、とにかく大事なのは皆、ケガをせずに戻って来ること。そうそう、あまり各国代表と縁のないマドリッドの新弟分、レガネスは木曜にエイバルと親善試合だったんですが、乾貴士選手のゴールで1-0と負けてしまいましたよ。

【マドリッド通信員】
原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。