W杯予選は4試合を終えて日本は2勝1分け1敗の3位につけている。初戦のUAE戦にFKとPKによる失点で逆転負けを喫したのは誤算だった。ここで勝点3を確実にモノにしていれば首位だっただけに、返す返す残念でならない。とはいえ思い通りにならないのがサッカーでもある。残念といえば、11日のオーストラリア戦も、もしもUAEに勝っていれば、もう少しアグレッシブなサッカーができただろうし、勝点3を奪えたのではないだろうか。

というのも、日本と同様にオーストラリアも世代交代の端境期で、アジア王者とはいえかつての破壊力は感じられなかった。攻撃陣ではケーヒルやレッキー、クルーズは以前ほどの存在感はなく、スピラノビッチとセインズバリーの両CBも守備に不安を抱え、ビルドアップ能力にも特筆する点はなかった。それはベンチにいたマーク・ミリガンも同様だろう。キャプテンのジェディナクが最終ラインに入ってゲームを組み立てていたが、彼にプレスを掛ければオーストラリアの攻撃は手詰まりになっていた可能性も高い。

ただ、そうするとオーストラリアはリスク回避のため、日本にとって嫌なロングボールでの攻撃が増えるだろう。このため最終ラインにはあまりプレスをかけず、オーストラリアが自画自賛する地上戦に持ち込んだ方が得策でもある。アウェイで勝てなかったのは残念とはいえ、オーストラリアの実力を確認できたのは収穫だった。

意外なのはスタートダッシュに成功したサウジアラビアだ。格下(イラクとタイ)相手に連勝したのは組み合わせに恵まれただけと思っていたが、オーストラリアと点の取り合いから引き分け(2-2)、UAEには3-0と完勝した。“中東の雄”復活の気配が感じられるだけに、11月15日の試合は警戒が必要だろう。サウジだけでなく、UAEとイラクも若手選手が台頭してきて、簡単に勝てる相手ではないことを日本は身をもって実感した。

グループAでは実力者のイランが首位に立ち、日本と同様に韓国は2勝1分け1敗の3位と出遅れている。海外組が主力の日本、韓国、オーストラリアが苦戦しているが、それは海外組のコンディションだけが問題ではないかもしれない。若年層の育成はどの国も力を入れている。しかしながら、日本を例にとるとロンドン五輪やリオ五輪の選手がすぐに日本代表の主力や中心選手になっていなのが現状だ。このタイムラグをどう解消していくか。

代表監督にすべての責任を押し付けるのでは解決しないターニングポイントを、アジアのサッカー界は迎えているのかもしれない。これまでの日本は1990年代からカズ、ヒデ、俊輔、圭佑と自然発生的に代表を牽引する選手が生まれてきたが、それももう限界を迎えようとしているのかもしれない。もしもそうであるならば、日本はどのような道を選ぶべきか。代表監督のクビを挿げ替えるだけで済む問題ではないほど、根は深いと思う。

【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。