秋ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の放送が始まりました。新垣結衣さん演じる主人公・森山みくりが、独身サラリーマン・津崎平匡と「仕事としての結婚」をすることになる物語。同作のように結婚をテーマにしたドラマ作品は数多く存在しますが、そのどれもが様々な悩みやトラブルを抱える夫婦を描いた作品が多く、結婚、夫婦という関係の難しさを実感させられます。

そこで今回は、結婚・離婚トラブルに関する相談内容や、良く起こる問題について、弁護士の先生に色々とお話を聞いてみました。今回“結婚トラブル”について教えて頂いたのは、アディーレ法律事務所の篠田恵里香先生です。

--記者
離婚だとまだ分かりやすいのですが、結婚や結婚生活に関するトラブルだと、実際どういった相談が多いのでしょうか?ドラマのように「契約結婚」みたいな例は少ないと思いますが、やはり結婚に関するトラブルというのは多いのでしょうか?良くある相談のケースや、逆に先生が驚かれた相談内容などがありましたら教えて下さい。

--篠田先生
結婚にまつわるトラブルといえば、やはり婚約破棄のトラブルが多いです。特に、結婚を約束し、お腹に赤ちゃんまでいたのに、相手男性の浮気によって婚約破棄に至るというケースは、法的にも大変です。慰謝料はもちろん、今後生まれてくるお子さんの認知や養育費、面会交流をどうするかなど、取り決めるべき事項がたくさん出てきます。結婚式の内容を決めるのに、相手家族がいちいち口出しをしてきて嫌だ、なんて話も時々聞きます。

とにかく「許せない」ひどいケースは、「職場恋愛で婚約に至ったのに、相手男性があろうことか別の職場の女性と浮気をした」という事例です。一緒に働き続けるのも辛く、会社を辞めざるを得ないことも少なくありません。そのような場合は、しっかり婚約の不当破棄について慰謝料を請求し、納得のいく責任をとってもらいます。

--記者
ちなみに相談に来られる方の性別や世代はどんな方が多いのでしょうか?また性別・世代によって相談内容は異なるものでしょうか? 具体的な相談例などありましたら、教えて下さい。

--篠田先生
私のところにご相談に来られる方は、20代後半から30代前半の女性が多い印象です。婚約関連のトラブルは、相手が男性なので、「男性に嫌な思いをさせられた」状況で「男性弁護士に相談する」のはちょっと気が引ける、怖い、といった理由もあるかと思います。若い世代の方は、「とっとと慰謝料をとって別れてやる」という意気込みの方が多い気がしますが、30代半ば以降になると、やはり、ご年齢のこともあり、「この人と一緒にやっていくべきか慎重に考えたい」ということで、「婚約を破棄すべきか」「離婚すべきか」という「関係を解消すべきか」の点を中心に、ご相談される方が多いですね。

--記者
結婚生活のトラブルですと、やはり最終的にはどうしても離婚というワードが出てくるかと思います。相手が離婚を言い出してきた場合、離婚を回避するためには、どのような対応、どのような準備をする事が望ましいのでしょうか?男性・女性で違いがあるようでしたら、それも教えて下さい。

--篠田先生
相手が離婚を切り出してきた場合、離婚をしたくない気持ちがあるなら、「強制的に離婚を強いられてしまうのか」をまず考えるべきです。この点は弁護士に相談してもらう分野ですが、離婚には、「話合いによるもの(協議離婚)」「調停によるもの(調停離婚)」「裁判で離婚するもの(裁判離婚)」があり、強制的に離婚させられるのは裁判離婚のみになります。裁判離婚が認められるには、法律で定められた離婚原因がなければなりません。よく使われる離婚原因は「婚姻を継続しがたい重大な事由」ですが、このハードルは相当高く、少々の性格の不一致や、喧嘩ばかりといった理由では到底認められません。相手が離婚を申し入れてきても、あなたに「暴力をした」「浮気をした」といった悪行がない限りは、最終的に裁判で相手に勝ち目はありません。したがって、ただ、「離婚しません」と拒絶し続ければよいことになります。

ただ、法的にはそうですが、実際には、「離婚しないでいればいい」という訳でもありませんよね。やはり、「夫婦関係を修復する」ことを目的とすべきです。なので、例えば、「自分にも悪いところはなかったか」と見直して、それを直すというのも大事なことです。

女性は「ずさんにしていたメイクやファッションを少し変えてみて女を磨く」「夫の仕事について共感を示す」「思いやりの言葉をもっとかけるようにする」など、ちょっとしたことで夫婦関係が変わることもあります。男性は、「疲れたばかり言っていないでたまには家事や子育てを手伝う」「ちょっとしたプレゼントや記念日のお祝いをする」「感謝や謝罪の気持ちを言葉にする」といった「妻を女性として大事にしてあげる」工夫が、効果的かもしれません。

--記者
結婚トラブルとは少し違うかもしれませんが、ドラマや映画では結婚・離婚トラブルの際に、良く「親権」というワードが出てきます。一般的に「親権」はほとんどの場合は女性が持つ事になると聞きますが、実際のところはどのくらいの割合(男女比)になっているのでしょうか?また、男性が親権を得る為には、どのような対応が必要になりますでしょうか?

--篠田先生
現状、父親が親権者になるケースは、いまだ1〜2割のようです。母親が親権者になるのが多い理由は、一つには男性が仕事に出ていて母親に子供を任せざるを得ないということでしょう。通常、お互いの話し合いで親権者を「母」と決め、離婚届けに「親権者は母」と記載して提出することになりますが、話し合いがまとまらない場合は裁判所の判断を仰ぐほかありません。親権が争われた場合、親権者を決定する要素としては、「これまで誰が子供を監護してきたか」という点が最も重要です。やはり、小さいころから身の回りの世話をするのは母親であることが多いでしょうから、多くの場合、母が親権者と判断されるわけです。さらに、子供が乳幼児であった場合は、「母親の方が親権者として優先されるべき」という母性優先の原則という考え方があり、子供が小さければ小さいほど、やはり母親が有利ということになります。

ただ、父親が親権を取るケースも度々あります。例えば、お子さんが「お父さんのと一緒にいたい」と言っていたり、父親の元に残った方が子供の福祉に適している場合は、父親が親権を取るケースもあります。15歳以上であれば、子供の意見が通りますし、それ以下でもある程度子供の意見は尊重されますので、まずは子供を味方にすることが必要でしょう。また、「子供の監護ができる環境であること」は必須なので、自身が仕事をしている場合などは、その間両親が面倒を見てくれる等の環境づくりもしておくべきです。仮に親権を争っている母側に「虐待」や「夜まで外で遊んでいる」等、監護にふさわしくない事情があれば、その証拠もつかんでおくとよいでしょう。

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というワケで、今回は“結婚トラブル”について、弁護士の篠田恵里香先生に色々とお話を伺いました。結婚関係を修復すべく、法的に対応する事ももちろん可能なようですが、やはり大切なのは互いを思いやる心。結婚を決めた当初はきっと互いを想い合い、相手を大切にしていたハズ。もし、自分がそのような状況に置かれた場合、その当時の気持ちを思い出した上で、夫婦間トラブルを円満に解決したいものです。

・取材協力
篠田恵里香(しのだえりか)弁護士(東京弁護士会所属)
弁護士法人アディーレ法律事務所